迷いが消え、調子を上げた香川真司の1年 ドイツ杯決勝で敗れるも現地では高評価
「ユルゲン・クロップに有終の美を」
香川は先発したもののドイツカップ決勝で敗戦。クロップ監督のドルトムント最終戦を勝利で飾ることはできなかった 【Bongarts/Getty Images】
そしてドルトムントファンがドイツカップ決勝で思い出すのが2012年5月12日、バイエルン・ミュンヘンを5−2で下した伝説の一戦だ。先制ゴールを挙げた香川真司は3得点のロベルト・レバンドフスキ(現バイエルン)と並び、ピッチ上で最も活躍した選手であり、香川にとってはベストゲームの一つ。「クロップの申し子」と言っても過言ではないほど深い師弟関係で結ばれた。クロップがいなければ今の香川はなかったし、香川がいなければクロップはドルトムントに一時代をもたらすことができなかったかもしれない。
シーズン中にはインタビューで「すごく感謝している。僕をブンデスリーガへと導いてくれた。初めから信頼を感じていたし、最初の2年間を楽しむことができた。それにマンチェスター・ユナイテッドから大きなエネルギーで僕を取り戻してくれた。クロップにはもちろんふさわしいお別れで送り出したい」と語っていただけに、並々ならぬ気合が入っていたに違いない。
タイトルを手にしたのはヴォルフスブルク
優勝したヴォルフスブルク。1月に事故で亡くなったマランダに勝利を捧げた 【Bongarts/Getty Images】
こうして決勝は序盤からお互いの気持ちがぶつかり合った好ゲームになった。引いて様子を見るのではなく、どちらも前から積極的なプレスを掛け合い、素早い攻守の切り替えとゴールへ向かう姿勢が見られた。ドルトムントが香川真司の素晴らしいクロスからピエール・エメリク・オーバメヤンのダイレクトボレーで先制に成功するが、ヴォルフスブルクもFKから同点に追いつく。ナウドの強烈なシュートをGKミチェル・ランゲラクが弾いたところをルイス・グスタボがしっかりと流し込んだ。さらにヴォルフスブルクはケビン・デ・ブライネの見事なミドルシュート、そしてバス・ドストのヘディングシュートで一気に試合をひっくり返す。ドルトムントにも得点のチャンスはあったが、シュートミスなど最後の詰めが甘く決めきれない。結局ゲームをコントロールしたヴォルフスブルクが3−1で勝利。09年のリーグ優勝以来となるタイトルを手にした。