戦い続けることを選んだ北島康介の覚悟 リオ五輪へ向けジャパンOPで再スタート

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現役続行を決断させたもの

リオ五輪まで、もう1年チャレンジしようと決断した北島 【写真は共同】

 最終的に北島は、4月中旬には現役を続けることを決断する。ジャパンオープンでは、レース後にあらためてその理由を語った。

「リオ五輪がなかったら続けることはなかったかもしれないし、後輩が(世界のトップを争う)58秒とかで泳いでくれていたらやめていたかもしれない。もちろん自分自身のもっと速くなりたいという気持ちが一番大きいけれど、どこかで彼らとまた良い勝負をして一緒に戦える。そういう気持ちがあったからこそ、もう1年チャレンジしようと思いました」

 日本選手権で感じたトップレベルの選手たちと戦える喜びに加え、リオ五輪の存在が04年アテネ、08年の北京五輪と2大会連続2冠に輝いた男に、あと1年戦い続ける覚悟をもたらした。

「勝負が怖いときもあるけれど、良い状態で出られる大会ほど、楽しむことができる」と語る男は、リオ五輪出場を懸けた勝負を楽しむために、これからの1年間で自身を最高の状態に仕上げるべく、腹をくくったのだ。

自分を追い込み、悔いのない1年に

 ジャパンオープン後、北島は6月から欧州グランプリ、7月には米国の大会に出場するなど精力的な日程をこなす予定だ。32歳となり、慢性的な疲労の蓄積から肩やひじ、ひざに背中などが痛くなることはしょっちゅうだという。それでも、あえて夏場にタフなレースに参加することで体に負荷を与え、レース勘や世界と戦う自信を取り戻すことが狙いだ。苦しい状況でも力を出し切り、ここ最近感じられなくなっているという「自力」を付けることも大きな目的だという。

「この1年間はできるだけ自分に厳しいことを課して、来年胸を張って(五輪メンバーに)残れるような準備をしたい」

 1試合1試合には全力で挑みつつ、結果には一喜一憂しない。今できることをひとつずつこなし、壁を乗り越えながら着実に力をつけていく。見据えるのはあくまで1年後だ。

 五輪出場権の懸かった来年の日本選手権で、北島は戦いを楽しむことができるだろうか。

(取材・文:豊田真大/スポーツナビ)

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