ミドル級王座戦は釈然としない判定に 「グローリー」サンディエゴ大会結果

遠藤文康

UFCのレフェリー起用で良好な関係を

釈然としないドローでグローリーミドル級王座を防衛したアルテム・レヴィン(右) 【(c)GLORY】

「グローリー21」米国サンディエゴ大会。ここはアメリカ西海岸カリフォルニア州ロサンゼルスの下に位置しメキシコとの国境に近い温暖な街だ。
 グローリーは昨年来、これまで微妙に迷走した。そのグローリーの方向性が定まってきたようだ。つまり、メインとなる「グローリーファイト」はタイトルマッチとスーパーマッチ。そしてタイトル挑戦者を決めるコンテンダートーナメントを各階級ごとに毎回実施し次の大会へとつなげて行く。前半戦として行われる「スーパーファイトシリーズ」では開催地及び才能ある選手を抜擢発掘し大会に新たな血液と息吹を与えるというもの。
 またUFCのレフェリーも起用することでUFCとも良好な関係を作るようで当初より階級名称をMMAと揃えたことでMMA選手が参戦希望するなら条件さえ合えばそのまま起用することも大会に幅ができて楽しい。分かり易くスッキリしていていい。
 今大会は全10試合中7試合がKOで特にヘビー級全てがKO決着という実に見応えのある大会となった。

ドロー防衛に不満の王者レヴィンは再戦希望

ドロー防衛に不満の王者レヴィンは再戦を要求 【(c)GLORY】

 残念ながらメインのタイトルマッチが盛り上がりに欠ける釈然としない判定で終わった。ジャッジ一人がサイモン・マーカスで後はドロー。よってグローリー規定によりドロー多数による王者アルテム・レヴィンの王座防衛となった。しかし内容としてはマーカス勝利を確信していた人も多かったかもしれない。

 軽いジャブの探り合いから始まった両者。マーカスの飛びヒザ。レヴィンのレバーブロー。マーカスのクリンチからのヒザ。レヴィンのバックブロー。バックスピンキック。様々な技を繰り出した両者はクリンチも多くレフェリーから再三の警告を受ける。こう着気味の展開も続き、序盤〜中盤はレヴィンだったがレヴィンがクリンチ減点1を宣告されてから流れがマーカスに傾いた。マーカスの圧力をレヴィンが要所で反撃するも最後まで何かしら噛み合わない対戦となった。決め技に欠けるのか? それとも互いに決定打を許さなかったのか? フラストレーションの溜まるタイトルマッチとなった。

 試合後にレヴィンは「次の試合では試合中に減点する必要はない。最初から1ポイント相手にやるよ(笑)」とレフェリーを皮肉ってから「なぜ減点だ? 攻撃を伴う5秒間のクリンチはルールで認められている。なぜ俺のクリンチは減点だ? 減点がなければ2:1で明確に俺が勝っていた。俺はマーカスと再戦したい。彼も納得してないだろ。マーカスがどこかで一戦して勝ったなら次は俺と再戦だ」と不満を口にした。

 また全米空手王者のレイモンド・ダニエルズとMMAベテランのジャスティン・バエスマンによる異種対決。予想に反してバエスマンはいいところなく終わってしまった。ダニエルズが開始早々に放ったバックスピンキックでダメージを受けたバエスマンは体勢を立て直したものの再びバックスピンをレバーに直撃されそのまま悶絶してしまったのだ。まさかの51秒という秒殺KOの結果に場内は湧いた。

 次回は6月5日にG22フランス・リール大会。以後のスケジュールは8月G23ラスベガス。9月G24ルーマニア・ブカレスト。10月G25イタリア・ミラノ。11月G26アメリカ。12月G27ニューヨークと続く。あとはどのようなマッチメイク企画なのかが楽しみだ。

グローリー21

MMAベテランのバエスマンはまさかの51秒殺KO負け 【(c)GLORY】

5月9日(現地時間)米国カリフォルニア州サンディエゴ

<ミドル級(85kg)世界タイトルマッチ>
[王者]○アルテム・レヴィン(ロシア)
(5R判定0−1※47−47,47−47,46−48)ドロー多数により王者防衛
[挑戦者]●サイモン・マーカス(カナダ)

<ウエルター級(77kg)スーパーマッチ>
○レイモンド・ダニエルズ(米国)
(1R0分51秒 KO)
●ジャスティン・バエスマン(米国)

<ヘビー級トーナメント準決勝 第1試合>
○ハヴィエル・ヴィグニー(米国)
(1R1分32秒 KO※パンチ連打)
●モーリス・ジャクソン(米国)

 バックキックで先手を取ったかに見えたジャクソンだったがヴィグニーの猛反撃に背を向けてしまいKOに沈んでしまった。

<ヘビー級トーナメント準決勝 第2試合>
○チ・ルイス・パリー(イギリス)
(1R1分40秒 KO※パンチ)
●デモレオ・デニス(米国)

 2週間前にオファーを受けたデニスは短期間ながら良く調整してきた。パリーは前回3月大会でグローリー最短KO記録を樹立し今大会へ連戦。パリーがKOで決勝へ駒を進めた。

<ヘビー級 トーナメント決勝>
○ハヴィエル・ヴィグニー
(2R1分50秒 TKO※パンチ連打)
●チ・ルイス・パリー

レフェリーはUFCのあのビッグ・ジョン・マッカーシー。両者ジャブで探りを入れる始まり。パリーがかなり慎重だ。ヴィグニーがパンチで攻める。警戒しながら反撃を伺うパリーだが試合の流れが徐々にヴィグニーに傾く。中盤もパンチ主体に前後の出入り良く攻め込むヴィグニー。中々反転の機会をつかめないパリーは防戦一方となり最後はコーナーに詰められパンチを浴び続けてしまい腰が落ちた所でレフェリーが試合を止めた。ヴィグニーがヘビー級王座への挑戦権を得た。

[スーパーファイト]

<ヘビー級>
○モーリス・グリーン(米国)
(1R2分12秒 KO※左フック)
●アシュレイ・エプス(米国)

 今大会最初のKO試合かつ勝者グリーンの初KO勝利。グローリー11シカゴ大会のアンダーカードで初勝利しているグリーン。内容が今一つだったので今回はいい試合をしたかったという。これからもグローリー参戦を強くアピールしていた。

<−73kgファイト>
○ギガ・チカゼ(ジョージア)
(3R2分20秒 KO※左ミドル)
●ケン・トラン(カナダ)

 ともにグローリー初参戦。ジョージア(旧名グルジア)からのチカゼは試合6日前の急オファーを受けた。そんな状況に配慮し試合ウエイトは両者合意のもとで73kg。様々な足技を駆使したチカゼは3Rにトランを捕まえ左ミドルをレバーに決めKO勝利。
 チカゼは昨年7月に日本の寒川と地元ジョージアで激闘を繰り広げ判定勝利をものにしている。「日本で試合がしたい」と何度も口にしていたが先にグローリーから声がかかり、このワンチャンスを勝ち切ることで自分の未来を大きく切り拓いた。グローリーの70kg戦線に参入してかき回してもらいたいが契約選手ではないので日本からのオファーもOKだ。

<ミドル級(85kg)>
○マイク・ルメール(米)
(判定3−0※三者29−28)
●キャセイ・グリーン(米)

 ともに『Road to Glory』のトーナメント出身。サンディエゴ市はルメールの地元。序盤の攻防はグリーンの手数が勝った。しかし全体を通してルメールがダメージを与えており終盤グリーンは防戦一方となった。判定ルメール。

<ウエルター級(77kg)>
○オマリ・ボイド(米国)
(判定2−0※29−28,29−28,28:−28)
●クリス・カラダス

<ライトヘビー級(95kg)>
○マニー・マンチャ(米国)
(3R TKO※レフェリーストップ)
●アンドレ・ウォーカー(米国)
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