横山典ゴールドシップ常識外れの春の盾V どうしたキズナ……不振原因は精神面?

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ゲート再審査後、宝塚記念へ

宝塚記念では連覇、そしてJRA・GI7勝目を狙う 【スポーツナビ】

 向こう正面からのスパートという前代未聞の、そして破天荒すぎるレースぶりで、ブエナビスタ、オルフェーヴル、ジェンティルドンナに並ぶJRA・GI6勝目を飾ったゴールドシップ。3連覇もかかる次の宝塚記念でシンボリルドルフ、テイエムオペラオー、ディープインパクト、ウオッカに並ぶ史上最多タイ記録に挑むわけだが、須貝調教師は次走に関してはやや慎重な姿勢に終始した。というのも、ゲートに入る際に覆面をかぶせたことで、ゲート再審査を受けなければならないからだ。

「3週後からじゃないと再審査を受けられないということですので、調整が難しくなると思います。そこを踏まえて宝塚記念に向けていきたいですね」

 夏のグランプリも連勝するようならば、再びの凱旋門賞挑戦プランも持ち上がって来るかもしれない。宝塚記念は6月28日の阪神競馬場2200メートル芝。得意の仁川ならばもう心配事はないだろう。黄金の戦艦は今また、完全に勝利の航路のど真ん中に乗ったと言える。

武豊も困惑「コメントのしようがない」

キズナ(右)に何があった? 直線では自慢の末脚が不発に 【スポーツナビ】

 一方、完全復活をアピールしたゴールドシップに対し、迷路に入ってしまったかのように惨敗してしまったのが、キズナだ。3コーナー過ぎから押し上げていったものの、持ち前の切れ味を見せることなく7着に敗れた。

「よく分からないですね。ここまで走らなかったのは初めて。自分が乗っていて初めて伸びるところが1回もありませんでした」

 パドックで見せた馬体はさらに絞れて引き締まっており、「レース前は特に悪いところはなく、いつもの感じだった」。道中も折り合いを欠く場面はなかったし、不利を受けたわけでもない。それだけに、「まったく思いつくところがないですね。コメントのしようがないです」と、武豊も困惑するばかりだ。

 敗因はどこにあったのか? やはり3200メートルの距離は長すぎたのか?

「トップスピードになるのが嫌になっているのか」

宝塚記念での完全復活を待ちたいところだが…… 【スポーツナビ】

 佐々木晶三調教師は、距離うんぬんの前に精神面の可能性を語った。

「ひょっとしたらトップスピードになるのが嫌になっているのか……。トップスピードになるまで反応していない。走れていない感じがする。2速から5速に上がるんだけど、すぐに4速に戻してしまうような」

 もしキズナ自身がトップスピードを拒んでいるのだとしたら、その原因はやはり復帰まで9カ月を要した重度の骨折の影響があるのだろう。我々人間に置き換えても、一度大ケガをすると、どうしてもその箇所が気になってしまい、100%全開で動かすというのは勇気がいるものだ。

「状態自体は良くなっていると思うけど、これだけの骨折をしていますからね。精神的なものから走れていないのだとしたら嫌だね……」

 佐々木晶調教師の推測通りであるならば、不振の根は深い。ここからキズナはどう立ち直るのか。次走は予定通りなら宝塚記念だが、「まずは10日ぐらい様子を見てから。何ともなければいいけど」とトレーナーは語るにとどめた。昨年の悪夢もあるだけに、レース後はまず無事に……という思いだろう。復活ロードは我々が思っている上に険しい道のりなのかもしれない。だが、キズナの完全復活は、競馬ファン誰もが待ち望んでいる。

(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)

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