岡田彰布が語る“伝説の3連発” 色あせない、阪神1985年の追憶
不安だった藤川の中継ぎ起用
今季は前回リーグ優勝からちょうど10年の節目でもある。当時監督だった岡田氏は藤川(左)を中継ぎに起用し、勝利の方程式「JFK」を確立した 【写真は共同】
03年に優勝し、そのメンバーを変えなアカンという思いがあった。特にピッチャー。ちょうど良い選手に巡り会えたのもあったけどな。
――その選手というと、JFK(ジェフ・ウィリアムス、藤川球児、久保田智之)と鳥谷敬でしょうか?
野手で言うと、打撃力を生かしたいということで今岡(誠)やな。セカンドやと負担が高いからサードへ(コンバートしよう)という構想は持っていた。勝つためには、「ショート・鳥谷」「セカンド・藤本(敦士)」「サード・今岡」を考えとった。
ピッチャーでは一番不安だった藤川が一番うまく回ったのが大きかった。オレが2軍監督の時の最後(02年)に先発させてな、その際に「お前の生きる道はリリーフでやるしかない」て言うたんや、藤川に。先発をしていた時、5イニング目くらいまでは素晴らしい投球なんだが、スタミナが落ちる6イニング目くらいになると、ガクンと(速球、変化球とも)落ちて打たれていたので、ショートイニングであればやれると思とったよ。
戦力拮抗のセ・リーグ、阪神は優勝できるか?
新しい戦力が入って、伸びしろがあるとなったらまた別やけど、昨年のメンバーから大きく変わってないわけやからな。昨年の実績(リーグ優勝の巨人に7ゲーム差の2位)を考慮しても、優勝予想はできないな。ただ、今シーズンは最後まで混戦になるやろ。巨人、阪神、広島、ヤクルトの4チームは戦力が変わらないから、どこも優勝のチャンスがあると思うで。
――阪神が今季、優勝するために必要なことはなんでしょうか?
新戦力という意味では、優勝のポイントは梅野(隆太郎)やろな。どこまで梅野がもつかやな。特に守備の面。梅野で行くと決めたなら、梅野でどれだけ我慢して使い続けられるかがポイント。
――戦力が拮抗している状況だからこそ、バックスクリーン3連発のような勢いに乗れる象徴的な出来事が起きると、チームは乗っていくような気がします。
戦力が未知数、伸びしろのあるチームはホンマ怖いと思うよ。勢いをつけたらガーンと行きそうな感じはある。その意味でヤクルトやDeNAは怖い。阪神も個々の力はある。昨年は外国人4人がそれぞれタイトルを獲得しているやろ。それでも優勝できへんかった。チームがまとまるような、勢いがつくことが起きれば、そのまま勢いに乗ることだってあるやろな。だから野球は面白い。
(取材・構成:森隆史/スポーツナビ)
岡田彰布(おかだ・あきのぶ)プロフィール
【写真提供:ソスニック・コブ・スポーツ・ジャパン】