岡田彰布が語る“伝説の3連発” 色あせない、阪神1985年の追憶

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不安だった藤川の中継ぎ起用

今季は前回リーグ優勝からちょうど10年の節目でもある。当時監督だった岡田氏は藤川(左)を中継ぎに起用し、勝利の方程式「JFK」を確立した 【写真は共同】

――今季は日本一から30年ですが、奇しくも前回リーグ優勝をしてから10年の年でもあります。05年、岡田さんは監督をされていましたが、当時を振り返ってください。

 03年に優勝し、そのメンバーを変えなアカンという思いがあった。特にピッチャー。ちょうど良い選手に巡り会えたのもあったけどな。

――その選手というと、JFK(ジェフ・ウィリアムス、藤川球児、久保田智之)と鳥谷敬でしょうか?

 野手で言うと、打撃力を生かしたいということで今岡(誠)やな。セカンドやと負担が高いからサードへ(コンバートしよう)という構想は持っていた。勝つためには、「ショート・鳥谷」「セカンド・藤本(敦士)」「サード・今岡」を考えとった。

 ピッチャーでは一番不安だった藤川が一番うまく回ったのが大きかった。オレが2軍監督の時の最後(02年)に先発させてな、その際に「お前の生きる道はリリーフでやるしかない」て言うたんや、藤川に。先発をしていた時、5イニング目くらいまでは素晴らしい投球なんだが、スタミナが落ちる6イニング目くらいになると、ガクンと(速球、変化球とも)落ちて打たれていたので、ショートイニングであればやれると思とったよ。

戦力拮抗のセ・リーグ、阪神は優勝できるか?

――今季の阪神についてお伺いします。いろいろと節目を迎えた阪神ですが、ズバリ優勝の可能性は?

 新しい戦力が入って、伸びしろがあるとなったらまた別やけど、昨年のメンバーから大きく変わってないわけやからな。昨年の実績(リーグ優勝の巨人に7ゲーム差の2位)を考慮しても、優勝予想はできないな。ただ、今シーズンは最後まで混戦になるやろ。巨人、阪神、広島、ヤクルトの4チームは戦力が変わらないから、どこも優勝のチャンスがあると思うで。

――阪神が今季、優勝するために必要なことはなんでしょうか?

 新戦力という意味では、優勝のポイントは梅野(隆太郎)やろな。どこまで梅野がもつかやな。特に守備の面。梅野で行くと決めたなら、梅野でどれだけ我慢して使い続けられるかがポイント。

――戦力が拮抗している状況だからこそ、バックスクリーン3連発のような勢いに乗れる象徴的な出来事が起きると、チームは乗っていくような気がします。

 戦力が未知数、伸びしろのあるチームはホンマ怖いと思うよ。勢いをつけたらガーンと行きそうな感じはある。その意味でヤクルトやDeNAは怖い。阪神も個々の力はある。昨年は外国人4人がそれぞれタイトルを獲得しているやろ。それでも優勝できへんかった。チームがまとまるような、勢いがつくことが起きれば、そのまま勢いに乗ることだってあるやろな。だから野球は面白い。

(取材・構成:森隆史/スポーツナビ)

岡田彰布(おかだ・あきのぶ)プロフィール

【写真提供:ソスニック・コブ・スポーツ・ジャパン】

1957年11月25日生まれ。北陽高、早稲田大を経て、80年にドラフト1位で阪神に入団。95年にオリックスで現役を引退後、オリックス2軍コーチ、阪神2軍監督を歴任し、04年から阪神監督を務め、05年にはリーグ優勝に導いた。10年からはオリックスを率い、現在は野球解説者として多方面で活躍している。

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