ソチ金・鈴木猛史の飽くなき挑戦 「全種目で金」を目指すが故の危機感
世界王者としての“凱旋V”は叶わず
2014−15シーズン、世界王者に輝いたソチパラリンピック回転・金メダルの鈴木猛史 【堀切功】
20日から4日間にわたって、長野県の白馬八方尾根スキー場で行われた2015ジャパンパラ・アルペンスキー競技大会は、その鈴木にとっての凱旋レースだった。初日の大回転で日本チームのエース・森井大輝(トヨタ自動車)を抑えて優勝し、満を持して2日目の回転に臨んだ。
「シーズンの締めくくりになるスラロームで世界一の滑りをお見せしたい。そう思ってスタートしたのですが、意気込みすぎてミスをしてしまいました」
攻めの気持ちが強すぎたあまり、1本目でコースアウト。2本目に進むこともできず、国内最高峰の舞台での“凱旋V”は叶わなかった。
ジャパンパラ・アルペンスキー競技大会 ハイライト
(映像提供:日本障がい者スポーツ協会、制作:エックスワン)
痛感した技術不足
「今シーズンはコース状況に応じた滑りで安定した成績を残せたが、今大会では雪質に合わせられない、技術不足を痛感しました。転戦してきた欧州は雪が少なく、硬いバーンもあれば、ザラメ雪の場合もある。技術の幅を広げるために、来シーズンはもっといろいろなバーンで練習をして感覚を研ぎすまさなきゃですね」
目指しているのは、「健常者のような滑り」。チェアスキーヤーの中では鈴木にしかできない「逆手」を駆使する“回転のスペシャリスト”は、3年後の平昌パラリンピックを見据えて飽くなき挑戦を続ける。