川淵「ホームアリーナは必ず設置する」 NBL/NBDL意見交換会<プロ形態>

スポーツナビ

NBDLチームの交換会:各代表者のあいさつ

各チームから具体的な質問が飛び出し、川淵チェアマンと活発な意見交換が行われた 【スポーツナビ】

パスラボ山形 私たちは今シーズンからリーグに参戦しまして、もともとPリーグを目指して立ち上げたチームです。自分たちのチームから代表選手を送り出したいという目的を持っています。

川淵 それは良いね。そういうのを初めて聞いた。

山形 地域活動として、子どもたちに夢を与えることを理念として活動しています。山形は5千人以上入るアリーナがありますし、試合に関して行政から減免いただいていますのでやりやすい環境です。県も市も応援してくれています。今は市の体育館と県の体育館を半分ずつ使っていますが、どちらでも減免していただいています。うちの社長がモンテディオ山形で理事にもなっています。

川淵 それは良いね。同じ名前にすればいい。

山形 そういったことも考えたのですが、なかなかモンテディオサイド方が……。

(一同笑)

川淵 分かってないんだよな(笑)。本当に一緒の名前にすればいいのに。

山形 地方というところで、スポンサーが非常に苦戦しています。今回トップリーグに上がるためにはクリアしていきたいと思っています。

アースフレンズ東京Z 私たちは東京、大田区を中心に城南エリアで活動しています。私たちは日本代表が五輪で金メダルを取ることに貢献したいというチームです。世界に通用する選手、NBAで活躍できるような選手を輩出していきたいと考えています。地域貢献活動も、年間200回ほど選手たちが学校訪問を行っていますし、やはり地域の中から選手を育成して輩出していくことを念頭に置いてやっています。新リーグの話が出たときに「日本代表を強化していくんだ」となり、僕らが5年前から言ってきたことがそのままでうれしいです。新リーグでは何としても1部に入れるように頑張りたいと思っています。大田区には大田区総合体育館という5千人弱入ることができる体育館がありますが、区長とも話しつつクリアし、金銭的なところでも営業しながらクリアしたいと思っています。やはり一番は代表を強化するというところで、各チームが強い日本人選手を育てていくということ。やはりどんどん海外に出ていかないといけない。チームとしても、今年の夏に制裁が解除されて(海外での)活動がOKとなれば、積極的に海外に出て強化をしていきたいと思っています。

川淵 (チームの)名前はどうするの?

東京Z 大田にするかどうかですか? その話はしていまして、いろいろな条件をクリアすることができるということであれば、そういった方法も出てくるのではないかと思います。ただ世界に出て行くとなったときに、やはり東京というのはグローバルブランドなので、そこから世界に出ていくという。実際に東京のビッグマーケットを生かして、豊富な資金や人材交流などもあります。世界に通用する選手を出すと考えたときに、両方(東京も大田も)あるのかなと今考えています。

東京エクセレンス 一昨年よりリーグに参入しまして、とにかくスポーツを文化にするという理念を徹底したいと思います。存在意義そのものが、(スポーツを)文化にするということを徹底しています。スポーツが人生を豊かにするんだということを、区民も含めて、板橋中心でやっているけれど、行政、区長にもこの理念に賛同していただいています。理念の具現化ということでわれわれが大事にしているテーマは、「元気」と「感動」と「仲間」と「成長」というのを、子どもたちがスポーツを通して感じること。これを徹底すれば強化にもなるんだということを信じてやってきました。おかげさまでNBDLでは去年、今年と優勝することができた。理念を徹底すれば強化にもつながるし、ファンも増えるし、行政も応援してくれるということで、理念共有型のチームを徹底的に作りたいとやってきました。

 板橋が本拠地として応援してくださっていて、首長も応援してくださっているのですが、現在のところ1千人ちょっとの体育館しかないです。区は前向きに検討してくださっている段階ですが、まだ大きな回答はもらえていません。理念を追求する延長線上に、すべてのことが解決するのではないかと信じています。理念だけはぶれずに、強化につなげ、スポンサー、行政の方々と一体になってやっていくことがわれわれの存在意義だと思ってやっています。『板橋エクセレンス』というのはないことはないなと思っていますが、東京という名前に魅力を感じていることは正直あります。東京Zさんとわれわれはエリアが分かれていて、八王子さんも上がったので、東京ダービーで盛り上がることもありかなと思っています。エリアは限定して、“東京”という名前にはこだわりたいと思っています。

東京八王子トレインズ われわれは昨年申請を通ったばかりなので、プロチームとしての活動実績は(昨年)10月からです。チームができるまで4年かかったのですが、八王子に大きなアリーナができるということがきっかけです。八王子は都内でもバスケットが盛んで、中学、高校と非常に強い学校もあります。基本的に行政は前向きに、親しく応援をしてくれています。NBDL参戦が決まってからは、特に多摩地区の議会の方からも支援をするという署名をいただけるような流れになっています。あくまでも八王子をバスケで盛り上げることをコンセプトにやっていますので八王子がベースになるのですが、ホームゲームの8割は守りつつ、多摩地区を中心に活動していきたいと考えています。

レノヴァ鹿児島 08年にJBL2時代から参入しています。私どもはバスケットボール協会と一緒にというくらい仲良く立ち上げて、今でも良好な関係を築けています。鹿児島のどこに住んでいても日本一バスケットボールを楽しむことができて、日本一、世界一を目指す牽引者になっていくということをチーム理念として掲げています。スクール事業や学校訪問事業、地方貢献型のいろいろな活動を続けています。

 新統合リーグの話がマスコミに出るまで、なかなかJBL2もNBDLもbjリーグも、一般の方々は「県で1位なの?」「九州で1位なの?」という質問を受けたりして営業活動的にもやりにくかったのですが、昨年度から鹿児島市からも金銭支援があったり、5千人以上のアリーナがあるのですが、優先使用の確約もいただけそうな流れです。財務的な規模感は何とか2部でという状況で、正直3〜4年くらい前から横ばいで非常に苦しいですが、感覚的には今回の動きの中で飛躍的に改善できる感触を得ております。少しでも近づけるような規模にしていきたいと思います。

NBDLチームの交換会:質疑応答1

川淵 なんかNBDLが一番純粋で、理念があって良いね(笑)。純粋は良いね。日本代表を強くしたいって、弱いチームがよく言えるなと思ったけれど、そういう夢を語らないとね(一同笑)。皆さんの話を聞いていると、本当にバスケットを愛していて、日本代表を強くしたくて、地域に……という気持ちが伝わってきた。気持ちだけならみんな1部に上げてやりたい(一同笑)。いろいろな条件面その他がどんな感じかだね。今、外国人なんかはどうなっているの? 採用しているの?

丸尾 外国人がまったくいないチームもあります。

東京Z 僕はオンザコート1が良いと思っています。代表を強化するときに、日本人が外に出て行くのか、bjリーグみたいに外から呼んでオンザコート3でやる場合がある。僕は(外国人を)入れてやるならば、世界の中でもトップリーグにならないといけないと思う。日本人の出場時間を増やして、育てて(海外へ)チャレンジしていくというやり方。

川淵 細かいルールに関しては、(外国人)3人は認めないけれど、2人にするか1人にするかはチーム同士が強化を考えるべきです。チームを運営する、バスケットボールの技術を理解した人が中心になって決めればいいし、僕は決める気がない。ただ3人だけは認めませんよと明確に言います。

山形 5千人のアリーナと言っているが、将来的な夢は?

川淵 やっぱり1万人が皆の望むところじゃないかと思うけれど。

山形 その発言があったので、山形では「とにかく人を集めよう」ということを声掛けをしまして、3001名でした。そういった地方のバスケット熱を自分も感じて、上を目指してチャレンジしていきたいとあらためて感じました。

川淵 バスケットボールは冬場に体育館でやれるスポーツだから、ものすごく人気が出ると思いますよ。

 あと東京EXさん、さっき「“東京”という名前に魅力がある」と言っていたけれど、“東京”という名前は掃いて捨てるほどあるわけですよ。だから例えば品川とか板橋としておいて、世界に飛躍する時に“東京”と変えればいいんですよ(一同笑)。コツコツと。大田区と言うと、「うちにもチームがあるんだ」ってなるんだよ。“東京”なんて言うんじゃないよ(笑)。小さなとこからコツコツと。世界に出るときにリーグにお願いして「東京・大田」とかにしてもいいんじゃないの? まだ“東京”は早いよ。ネーミングはぜひ考えた方がいいと思いますよ。

東京EX そのときに、大田、品川、目黒とか城南エリアでの活動があって、そこはどうしたらいいんでしょうか?

川淵 (Jリーグの)ベルマーレ平塚を湘南ベルマーレと付けるときに相当迷ったんだよ。神奈川ならともかく湘南でしょ。でも「藤沢市が、小田原市があるからなんとか湘南にしてください」と言うから、しょうがないなと思った。

 皆さん北海道や青森といっても「広いからたくさん回りたい」などと言うけれど、拠点がないと立派に大きく育たないんですよ。皆さんは経験がないから、あたかもそれが良いと思うんだけれど、言いわけがない。“東京”の名前があまりに多すぎて、見る人の選択というか、どこだろうというか、(ファンとチームの)相性が分からない。ということを配慮のうちに入れていただければと思います。

 八王子はどうするの?

八王子 そうですね……これ“東京”は取った方がいいんですか?(笑)

(一同笑)

川淵 活動エリアで言うと多摩周辺?

八王子 そうですね。売り上げが1億円を超えてくると、八王子市内では限界があると感じています。ゆくゆくは多摩という名前も考えています。

川淵 それは発展の度合いであって、承認を得ればOKになるよ。

NBDLチームの交換会:質疑応答2

新リーグへの参入表明期限は4月末まで。丸尾理事長は理解不足を懸念しており、各代表者に積極的なコミュニケーションを求めた 【スポーツナビ】

東京Z 将来、選手が世界に出て行ったときに、移籍金でどうやって収入を上げていくのかについては?

川淵 サッカーのことは分かるけれど、バスケのことはよく分からないね。移籍金をもらったという話は聞かないね。

東京Z そういったことの整備も、せっかくの機会ですし、バスケットもこの国から選手を輩出していくとなったとき、チーム経営を考えると一つの大きな収入元になると思うんです。

川淵 FIBAが決めることなのか、その国の協会が決めることなのか。移籍の書類が出ないとサッカーの場合は移れないんですね。バスケもそれがあるならば、そのときに連動していれば……。でもそれはあった方がいいよね。

NBL理事 FIBAは今、代理人制度すら廃止しようとしているので、チーム間の移籍金を払うという考えには立っていないんじゃないかと思います。「個人としてやりなさい」という方向に行っていると思います。

川淵 サッカーでは育成費は最低もらえるのと、契約期間内で動く場合は違約金のような形になっている。日本の中では今回決めるつもりでいます。2部になった選手が1部に移りたいとなったときに、移籍金をどう決めるか? そのルールはきちんと決めようと思うし、そのルールはあった方が良い。極端に言えば1部2部になったとき、1部に良い選手が集まる仕組みを、移籍金でやれればいいですよね。

山形 リーグが16チームくらいになる見通しですけれど、西と東に分けてやるなどは考えていますか?

川淵 今2つのカンファレンスに分けてやっているので、分けてやった方がいいのでは? 交通費その他を考えたら、そっちの方が良いのかなという気はしますね。

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