川淵「ホームアリーナは必ず設置する」 NBL/NBDL意見交換会<プロ形態>

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NBLチームの交換会:質疑応答2

経営難で活動停止となった和歌山トライアンズも新リーグ参入に積極的。行政の補助も取り付けている 【写真:アフロスポーツ】

和歌山 他のチームもそうだと思いますが、アカデミーという格好でやっています。来季から中学、そして高校のクラスを立ち上げて登録しようと考えています。それは認めていただけますか?

川淵 それはいいんじゃないですか。アカデミーが小学生のレベルであるならば、もう1つ上のレベルのものができると良いと思います。それは1年経てばジュニアユースに行くということになるので、そのまま育てていければ良いと思います。

和歌山 近畿でジュニアクラブ連盟というのを来季から立ち上げます。

川淵 それは当然認めますけれど、チームの財政の中で活動するということですよね。育てるチームを持っていればいいと思います。

和歌山 ホームタウンの話ですが、名前で言えば「和歌山トライアンズ」と言えば和歌山県全体で使えます。ただ北海道だと札幌、函館だけとなってしまう。今回、僕らは和歌山県全体を回るようにしているんですけれど、そうなると県としても応援してくれたり、遠くの市でも来てくれたりと喜んでくれる。県としての動きがだいぶ活発化してきている中で、和歌山市だけで試合をやると都市部だけのチームになってしまいます。田舎には来てくれないのかと。

川淵 広いエリアで(試合を)やれば、それがチームの発展に有利だと思うのは愚かな考え方ですよ。サンフレッチェ広島も広島市は人口100万人くらいしかいないし、鹿島アントラーズなんて当時は4万5千人です。100万人の人口とは関係なくて、ファンの集め方はある種限定された中でやればいい。たとえば川崎市は細長い。等々力のそばの3区くらいで(川崎)フロンターレはPRして、3区の住民がスタジアムを満杯にしている。最初は全部やっていたんだけれど、なかなかファンが等々力(陸上競技場)に来なかった。絞った結果、2万人でスタジアムがいっぱいになり、署名活動なんかも起こり、すごく立派なメインスタンドができました。

 見に来る人の集め方というのは、その県全部で活動をやればいいというのは誤解で、ある程度焦点を絞ってやる。だからホームアリーナが必要だと言っているんです。ビジネスシートを売りやすくなったりですとか、アリーナに行ったら選手の写真が10何枚あるとか、ホームアリーナであるがゆえに醸し出せる雰囲気があって、初めてホームと言えるんです。皆さんはできるだけいろいろなところを回って、広いところだからサービスしないといけないというようなことをやっていれば、将来それこそ8千人〜1万人というアリーナを作って、お客さんに来てもらう発展の仕方はできないと僕は言っているんです。だから2〜3千人でずっと回っていればいいという考え方はしていません。皆さんは夢が小さいんですよ。8千人〜1万人が入るくらいを目指さないと。2〜3千人で回っていればいいよというプロリーグを目指しているんですか、皆さんは? そんなに夢がないことなの? そんなに人気がないスポーツなの? もっと大きく発展できる可能性があるのに、何でそこを目指さないのというのが僕の意見です。だからホームアリーナなんて無駄じゃないのという意見は、そのチームの意見であって、今度できるトップリーグはホームアリーナを必ず設置することを条件に入れているので、それができないならば参加は認めないと、はっきりさせています。先のことを考えてそう言っているんです。

和歌山 和歌山に関してはホームアリーナはすでにあるんです。入るときは2400人くらい入るんですけれど、専用アリーナとして使わせていただいています。僕らとしては8千人〜1万人を僕らも目指していきたいんですけれど、そのために普及として、和歌山は広くバスケットボールは普及していますけれど、やっぱりミニバスケットから見ていくと現実的には厳しいんですよね。

川淵 普及とか子どもたちに対するバスケットボール教室なんかは、全県にまたがってやっていくべきですよ。それを「局地的にやっていけ」と言っているわけではないです。それは全県に対して公平にやっていくべきで、見に来てくれる人に対してはどこに焦点を当てて、集客活動をしていくかということなんです。アクセスが近い方が良いに決まっているじゃないですか。この間、Jリーグの松本山雅FCが清水エスパルスと対戦して、アウェーに6千人のファンが松本から来ています。チームに魅力があれば遠くからも来ます。今までやってきたことの延長線上で物事を考えてくださるなと言っているわけです。今回は大きな改革を図っていこうということで、このような提案をしているので、みんなが条件を超えられないというのであれば、超えられたチームだけで次の発展を目指していくしかないわけです。それくらいの思い切ったことをやろうということなんですよ。

和歌山 うちとしてはアリーナが近くて、15分くらいの位置にあるんです。財政面で言うと今年は和歌山国体があって、その準備に和歌山県はお金を使ってしまいました。そこで新しいアリーナをと言われると厳しい面がありまして。じゃあどうしたらいいのかということを県で話すと、まずはチームとして普及を進めてほしいと。いろいろなところで試合をやってほしいと言われています。

川淵 それを悪いと言っているわけではないです。

和歌山 その中で和歌山市をホームタウンでやってしまうと、和歌山市だけなのかとなってしまうんです。

川淵 世界中のホームスタジアムを見てどういうものか知っているでしょう。ニューヨークヤンキースはニューヨークのものだけですか? 他の人も来るし、ニューヨークからだいぶ離れたところでも人は来ます。ニューヨークヤンキースの試合をあちこちでやれと言いますか?

和歌山 だからそれなりの時間が必要かなと思います。

川淵 時間をかけてやればいいわけで、最初は2部か3部でやればいい。それをいきなり何とかしろと言っているわけではないです。

和歌山 最初は2部か3部でやると思います。それ以外に関しては他のチームもそうかもしれないけれど、ホームタウンは無理でもチームとしての売上はあるとか、全部というのは厳しいのではないでしょうか?

川淵 意味がよく分かってないんじゃないですか? 1部でやる人はこの条件をカバーしてと言っているので、2部の人は2部の範囲内でそれをクリアしていけばいいということですから、和歌山はそういう立場で考えればいいんじゃないですか。

NBLチームの交換会:質疑応答3

北海道 実際に札幌にホームアリーナを設置するべく動いています。問題は地方再生の観点です。今季、われわれは夕張で試合をしました。夕張市に体育館はあるんです。しかしお金がないので電球が全部切れていました。なのであそこで試合をさせてもらうために、北海道と夕張市に働きかけて電球を替えてもらいました。それで試合をして1500人が入りました。なんとかそういう動きをやっていきたいと思っています。私が申し上げたいのは比率8割という中で、ホームタウンでどこまでやって地方で再生活動を行い、北海道全体を盛り上げていくのか。8割という比率がいいのか、7割なのかというところでもうちょっと調整できたらいいなと。ホームタウンを持つことは絶対に必要ですし、札幌に持ちたいと思っています。

川淵 ズルズル下げたらズルズル下がるんですよ。8割と言って、夕張に行くので6試合の中で1試合やればいいと考えるとか、夕張は特別に考えるかというのは、実行委員が出る会議の中でスケジュールを決めるときに「うちは夕張でどうしてもやりたいから枠の外で認めてほしい」と皆さんの了解が得られれば、それは認められるということ。少なくとも2割というとだいたい6試合はできるわけでしょ。そこは函館とかでやって、夕張は特別枠で認めてくれとなれば反対しないでしょ。そういうことなので7割だ6割だと言ったらきりがないです。

つくば 今のお話でいうと、そもそもわれわれは1カ所でやりたいです。ホームアリーナと商圏と普及活動エリアで分けて考えないと、ごっちゃになるなと。試合は1カ所でやった方が圧倒的に効率が良い。普及活動をするのであれば県という枠組みの中でやる。商圏はホームアリーナから半径どれくらいかという定義でやればいいと思うのですが、これまでの考え方とはまったく違うので、今回良いチャンスと思って進めてほしいです。そうなると各チームが最大限の努力をすることが大前提なのですが、リーグとともに一緒に企業へ交渉に行くとか、リーグの方からサポートをいただいて行政に掛け合うとか、そういうところの協力やサポートが必要だと感じているので、昨日条件が出されて、入れるチームというのはおのずと見えてくると思うんですね。ただ当落線上のチームが一番しんどい状況だと思うので、われわれは1部でできることに懸けて活動していこうと思っていますが、当落線上のチームに対しても一緒に訪問していただく、掛け合っていただくとか何かしらのサポートをいただけるとありがたいなと。

川淵 仮に3部のチームであってもプラスになるなと思ったら出かけますよ。扱いを変えるということはありません。それはご心配なく。

丸尾 一つ問題があるのは、4月末までに参入をしなければならないんですね。内容の理解不足がたくさんあると思います。言いたいことがいっぱいあるのに言っていない。こういう機会を設けるのか、個別なのか。もっと接点を多くしてもらえるといいなと。未消化で4月末を迎えたら困るなという気がしています。

川淵 それはおっしゃる通りだと思うので、境田(正樹)弁護士の方に相談してください。

丸尾 リーグとしての立ち位置もあるし、チーム個々の問題もあるだろうから。4月末というタイミングが明確に出されているだけに、そこまでに皆さんが判断できるようにしないといけないと思います。リーグとしてそういう会話が必要なら集まって会話した方が良いと思います。

川淵 なかなか時間がなくて唐突にという感もあると思います。しかし6年かけてまとまらないものが、あと3年かけたらまとまるかと言ったらまとまらない。唐突で期限設定をして「えいや!」とやらないと進まないんですよね。「えいや!」と言ってまずいことがあったら修正していけばいい。修正しながらより良い方向を目指しているというご理解をいただければありがたいです。

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