大神「リオ五輪が具体的な目標です」 女子バスケ代表が川淵三郎と意見交換

スポーツナビ

育成年代の強化について

女子日本代表ヘッドコーチの内海は“個の強化”の重要性を強調していた 【スポーツナビ】

一色 僕はジュニア(の指導者)なので、高体連(高等学校体育連盟)との試合で高校の先生たちとの兼ね合いがありますが、本当にご協力いただいていると思っています。もっとうまくいく方法はあるかと思いますが。

 ただ、今制裁を受けることになって、今年7月にU−16のアジア大会とU−19の世界選手権があるので、海外遠征に一回も行くことができずにアジア大会に臨むことになったら、成績不振になってしまうのではないかと心配に思っています。例年ではU−16で2回、U−18で2回ぐらいは海外遠征に行かせていただいてアジア大会を迎えるので。6月に(制裁が)解除になったとしても登録のこともありますし、その辺が最短で6月に「解除になったから、はいどうぞ」と言われてもな……というところがあります。

川淵 あらゆる競技がそうなのだけれど、国際経験なくして国際試合の中で勝ちきることは無理だからね。やはりフィジカル面もそうだけれど、ボディーコンタクトだとかすべて含めてそういう部分を経験しないといけない。内海さんはどうですか?

内海 やはりナショナルチームには“個の強化”が非常に大事だと思います。今回それ(国際試合)ができないということは非常に強化という部分でマイナスだと思います。海外にチャレンジするという部分も、結局“個の強化”で行って、戻ってきて世界の技術や精神的なものだったりを吸収して、日の丸を付けている。そういう意味では“個の強化”というのは非常に重要で、その中の海外遠征や海外経験というのは、どのスポーツも同じかもしれませんがナショナルチームにとっては大切です。

 われわれ五輪を目指して頑張ってやってきていますが、これが万が一6月に制裁解除ができなかった時には、五輪予選のアジア選手権に出られない。ということは、その次のアジア選手権はディビジョン2からだと思うんです。そうすると、次の世界選手権には自動的に出ることができないんです。ということは、次の東京五輪に向けた強化で世界上位との戦いはできないということになるんです。それは非常に大きな問題になると思います。そこも含めて川淵さんには頑張っていただきたいです。

 あとは国内のリーグを強化していかないとやはり選手は強化できない。国内での切磋琢磨(せっさたくま)というのが非常に重要だと思うので、(男子は)2リーグの話し合いの中で男子はそういった話し合いがされていますが、女子のリーグに対しても発展性をもってやっていただけたらと思っております。6月の制裁解除に向けて何とかご尽力いただければと思います。

 すみません、もう一つだけ。6月に制裁が解除されたとして、7月にアンダー(U−16、U−19)の試合があるがFIBAからレターが来ないと思うんです。その試合に参加するかどうかというのが(大会ぎりぎりの)6月まで来ないと思うんです。

川淵 それはFIBAに聞いてみればいいね。

内海 われわれのアジア選手権もそうですけれど、解除するまでに組み合わせが決まってしまっていて、「解除されてももう出られないよ」ということになるのではと心配しています。

川淵 いろいろな言い方があるが、解除される前提として(FIBAに聞く)とか、考えます。その話は聞けてよかったです。

川淵「強化の方法がまるでなっていなかった」

川淵チェアマンは交換会の最後で「これまでの強化策がまるでなっていなかった」と一刀両断 【スポーツナビ】

大神 最後に一ついいですか。統計的に見てもJBAの競技登録でも競技人口が60万人を超えていると思います。また、以前より減っているとはいえ、他競技と比べてもバスケットの競技人口はすごく多いと思います。自分たち選手も北京五輪、ロンドン五輪と逃してなかなか世界と戦っている姿を見てもらえていないと思いますし、なかなか勝てないという現状も選手として感じているんですけれども、どうしてバスケットボールは日本でなかなか(人気が)上がっていかないのかとずっと疑問に思っていました。そこを川淵さんはどうお考えなのかをお聞きしたいです。

川淵 それはもう強化の方法が悪い以外の何モノでもない。例えば渡嘉敷は背が高いがゆえの(強化のうえでの)ハンディキャップが日本の中であって、海外に行かないと良い競争相手が見つからない。そういう選手は海外へ出したほうが良い。あと僕はこの前試合を見ていて体幹が弱いなと思った。バスケットって本当に(よく)ぶつかって吹っ飛ばされるわりに、本当に体幹鍛えているのかなと思った。そういう部分部分での強化の的が絞られていない。男子が40年近くも五輪に出られていないのはそういうことで、強化のやり方が悪かったからに他ならない。

 国内だけで試合をしていたって国際試合に勝てるわけがないし、どうしたら海外の一流チームや一流選手と四六時中やっていけるかというのを考える考え方の種類が明らかに少なかったと思う。それ以外にない。日本人には俊敏性とか良いものがあるわけで。ユース年代が日本のバスケ界にいても上達しないからと言って(米国の)ハイスクールに行っているという話を聞いたんだけれど、少なくともある身長以上の選手をどういうふうに集めてどう強化していこうかということをやっているの? 僕は調べていないから分からないけれども。僕がちょっとバスケットボールに関わっているだけで「こういうことがあるな、ああいうことがあるな」と考えなくてはいけないことが山ほどあって、(今まで)それをやっているとは思えない。だから強化の方法がまるでなっていなかったと断言して何もおかしくないんじゃないかというのが僕の結論です。

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