大神「リオ五輪が具体的な目標です」 女子バスケ代表が川淵三郎と意見交換

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全員の口から「五輪に出たい」

神妙な面持ちで川淵チェアマンと意見を交わす選手たち(左から大庭、渡嘉敷、長岡、諏訪) 【スポーツナビ】

久手堅 私はいろいろなことに関してまだ分かっていない部分があるのですが、一番思うのは五輪に出たいし、五輪予選に出られるのかというところです。そしてその中で私たちは今、何ができるのか? 選手である限りは五輪に出る姿をファンの皆さんに見せたいと思っています。

川淵 女子の選手会みたいなものはないんですかね。やっぱり選手の権利に対して発言するというのがあったほうがいいですよ。五輪予選に出られないかもしれないのに、2月末まで何の結論も出なかったら、「こんなバカな話があるか」と僕は他人事だったらすごく腹立たしかったですよ。選手が何でもっとモノを言わないのかと不思議でした。では次、宮元さん。

宮元 私自身も制裁に関してすべてを把握しているとは言いがたいのですが、選手として言えることは、バスケットボールをやっている小中高の選手たち、そしてこれからバスケットボールを始めようとしている子どもたちも目指すところはWリーグに入りたい、代表選手になりたい、そこから五輪に出たいと目標がつながっていくと思います。今回はいろいろな問題があって、バスケットボールに暗い話題が続いていますけれど、注目してもらえるチャンスでもあるし、どんどんこういうふうに変わっていくというのをメディアの皆さんにも取り上げてもらい、世間の方に知ってもらうチャンスだと思っています。選手としてもバスケットボール界を発展させていきたいというのと、五輪に出たいという思いがあります。

川淵 小さいころから頑張って、夢を実現してきたにもかかわらず、こんな状態では子どもたちも夢を奪われてしまう感じもなくはないよね。うちの孫も小学校1年生からバスケットボールをやっていたんですよ。ずっと補欠だけれど(笑)。バスケットボールというのは子どもたちの夢だなという思いがあります。

大庭 私も選手として日本代表に選ばれるように毎日練習しています。そんな中、日本代表チームが世界大会や五輪への道を閉ざされたとしたら、日本代表選手を目指している選手も大きな目標を失うことになる。自分自身も子どものころから日本代表チームが世界で戦う姿を見て、私もそういう舞台で戦いたいという憧れを持ったので、同じように子どもたちが、今自分たちが頑張っている姿を見て将来を夢見て頑張っていると思います。今回、私たちが世界で戦う機会を失うということは、子どもたちの将来の夢を奪うことになってしまう。早く問題を解決できるようにお願いしたいです。

長岡 国際大会に出られないということは日本バスケットボール界の今後に影響が出てくると思うので、やっぱり早く解決してもらいたいです。今、自分たちができることはリーグで精いっぱい戦うことなので、五輪を目標に毎日やっていくことだと思っています。

篠原 20年に東京五輪が決まって、自分たち若い世代も頑張っている中、世界大会に出られないとなると、頑張っていくものがなくなる。プレーの幅も、世界でやっていかないと広がらないので、世界での試合も経験したいと思っています。できる環境が整えばいいなと思っています。

加藤 小さいころからの夢が日本代表として五輪でプレーすることでした。こういう問題はあまり詳しく分からないのですが、選手としてできることは精いっぱいプレーすることなので……。

選手たちが女子バスケ界に望むこと

川淵チェアマン(左)は大神の話に真剣な表情で耳を傾けていた 【スポーツナビ】

川淵 五輪が夢で、五輪の予選にすら出られない状況をなくしてほしいという皆さんの思いは十分理解しました。その他に女子のバスケットボール界に望むことは、渡嘉敷さん何かありますか?

渡嘉敷 望むというか個人的な話なんですけれど、もっと日本のバスケットボールを盛り上げたいという気持ちがあります。そのために自分が何ができるかと考えました。日本代表でアジア選手権に優勝して、世界選手権に出てプレーしたとき、自分は海外でプレーしたいという気持ちが芽生えてきました。そういう挑戦をすることで日本のバスケットボール界が盛り上がったら「自分、やったな」と思うと思います。

川淵 やっぱり環境的に海外には出ずらいですか?

渡嘉敷 環境というより自分はまだその実力がないので……。その中で海外の選手とプレーすることでいろいろな選手がいることが分かりました。成績はあまり良くなかったのですが、個人としては刺激を受けたので、海外に挑戦してバスケットボールを盛り上げていきたいと考えています。

川淵 あっち(海外)に行って実力を上げるという手もありますしね。

渡嘉敷 自分は身長が高い(編注:192センチ)ので、日本にいるときと代表で世界の選手と戦うときとで、プレースタイルやポジションが変わってくると思うので、自分や日本代表にその経験がプラスになればいいなと思います。

大神 私も08年にWNBAでプレーさせてもらって、昨年中国でプレーさせてもらいました。今、川淵さんが「(日本の選手は)世界に出にくいのか?」と質問されましたが、今Wリーグの中では5月31日が登録の締め切りと期限が決まっています。それで、だいたいFIBAのアジア選手権なり世界選手権が夏の8月とか9月です。昨年の世界選手権で言えば10月〜11月でした。夏場から秋にかけて大会が多い中で、5月に登録締め切りになると、例えば渡嘉敷選手みたいに世界選手権で良いパフォーマンスが発揮できた時に海外からオファーをもらったとしても、その時点でそのシーズンはWリーグでしかプレーできないという事態があります。そこの改善策は、もしかしたら強化だったり、バスケットボールを盛り上げるために「世界へ出たい!」というところにつながるのかなと思っています。

川淵 (移籍期間が)年に2回あればいいんだよね。大体普通は2回ある。僕がここで勝手に発言するのも慎まなければいけないけれども、選手としてはできるだけ(海外に)出て行きやすいような、日本代表の強化につながるようなことに協力してもらえるような話し合いの場がWリーグの関係者と持てるといいですね。今日話を聞いたので、すぐには解決できるとは思わないけれども、解決するべく努力します。

大神 自分自身も中国のリーグがアジア人枠を廃止したことで、自分が中国でプレーする場を断たれて、それでも今季海外でプレーしたかったのでチームを探していました。ただ日本の締め切りが5月末だったので、その(チーム探しの)タイムロスからなかなか契約が今年できなかったという経緯があります。

 もちろん欧州に自分で行き(移籍の)話をさせてもらったりもしてきたのですが、時期も時期なので自分でトレーニングをしている形です。なので所属が日本バスケットボール協会という形になってしまっています。

川淵 今日提案いただいたということで、検討課題の中に入れておきましょう。

境田 この中でプロ契約の人っていますか?

(大神のみ挙手)

境田 みんな普通の従業員なんですね。そうなるとなかなか辞めるのは難しいんですね。

川淵 今日、みんながどういうことを言うのかなと自分なりに想像して、男子のようなプロ化みたいなことを期待しているのかなと思ったけれども、現状で頑張ろうとしてくれていることが分かった。正直現状を考えてみると女子のプロ化はすごく難しい。(女子の)サッカーでも世界一になってもプロとして保障されている選手はごくわずか。世界中の女子サッカーチームでも、プロ契約している選手はごくごく少ないです。ただ僕の考えとしては、率直に言って女子バスケットボールはむしろ恵まれているなと感じます。企業がしっかりバスケットボールをやらせてくれていて、給料もちゃんともらえる。僕に言わせれば企業チームの中で日本代表として、チームの代表で活躍しているということが一番良いのかなと思わないでもないんだけれど、みんなはどう思っている?

(一同無言)

川淵 みんなそんな所までは考えない(笑)? 高校生とか自分の将来のことはどう考えている? 大学のバスケはあまり強くないが、高校から大学のバスケ部に行きたいとは思う? あっ、こんなこと聞いちゃいけないのか(笑)?

(一同笑)

一色 3月で卒業なので、もう内定していると思います。

篠原 自分は春からデンソー(アイリス)に行きます。

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