さらなる進化を遂げたクッション性 南井正弘のイチオシ!

南井正弘

あらゆる足の形状に対応、長時間走行も快適

アッパーはアディダス独自の特殊な製法で編み上げたプライムニットを採用。あらゆる足の形状やランニング中の動きにも締め付けることなく優しくフィットする 【南井正弘】

 ブーストフォームはこれまでミッドソール部分に採用される際には、70%や50%というように全体の一部のみで使用されることがほとんどであった。これはEVAなど他のマテリアルと組み合わせることで、安定性やモーションコントロール性などを追求したことが1つの理由だが、EVAと組み合わせることで「ブーストフォーム独自のクッション感覚が薄れるのでは!?」という声も上がっていた。

 実は、プライムニット ピュアブーストという100%ブーストフォーム使用モデルは昨春に限定販売された。だが、これはどちらかいうとファッションアカウントを中心に展開されたカジュアルシーン向け商品だったため、パフォーマンス向けの100%ブーストフォーム使用モデルは、このウルトラブーストが第一弾となる。

 ウルトラブーストはミッドソールに他の素材を使用しない100%ブーストフォームという特徴のほかに、アッパー(甲の部分全体の総称)部分に特殊な製法で編み上げたプライムニットというテクノロジーを採用している。

クッション性が必要な部分は網目を粗くして衝撃吸収と反発性を、反対に安定性が必要な個所は網目を細かくして滑らかな重心移動と安定性を提供するストレッチウェブアウトソール 【南井正弘】

 あらゆる足の形状に対応し、ランニング中の動きにも締め付けることなく優しくフィット。長時間の走行時でも快適さを失わない。またアウトソール(地面と接地する部分の底)部分にストレッチウェブアウトソールを使用。クッション性が必要な部分は網目を粗くして衝撃吸収と反発性を、反対に安定性が必要な個所は網目を細かくして滑らかな重心移動と安定性を提供する。このアウトソール構造と中足部のトルションシステムが100%ブーストフォームというスペックながら、必要十分な安定性を確保しているのが大きなポイントだ。

中足部のトルションシステムがオーバープロネーション(着地時に脚が過度に内側に倒れこみ、ケガの原因となる)を制御し、安定感とコントロール性能を向上させて、より滑らかな重心移動を実現 【南井正弘】

ランニングとカジュアル用の兼用も可

 実際に足を入れてみると、100%ブーストフォームならではのフワフワとしたクッション性が足裏からダイレクトに伝わってきて、これは従来の足裏とブーストフォームの間にEVAの層が配されたシューズとはクッション性の感じ方が大きく異なる。

 アッパー部分に関してはプライムニットを採用したことによって足型に沿ってピッタリとフィット。伸縮性に優れているので窮屈感はない。走り始めると、まず感じるのはブーストフォーム独自の衝撃吸収性と反発性が高次元で組み合わされて、足裏を押し返す感覚。これまで5種類のブーストフォーム搭載シューズを着用してきたが、反発力はもっとも力強い。

 Km/6分程度くらいまではフワフワした衝撃吸収性を重視したセッティングにも思えたが、徐々にペースを上げ、Km/5分20秒程度で走ると、これまでにない高い反発性を感じられた。

 ウルトラブーストの重量は310グラム(27cm)と発表されているから、決して軽量な部類のシューズではない。だが、プライムニットアッパーの高いフィット性のおかげか、あまり重さは感じないので、速目のペースで走っても不快な感じはしなかった。見た目よりも速いペースのランにも対応するようだ。

 このように従来のレベルよりも遥かに上のクッショニング性能を追求したアディダスのウルトラブーストは、「衝撃吸収性と反発性を兼ね備えたクッション性の高いランニングシューズで楽しく走りたい!」というビギナーランナーや、「クッション性に優れたランニングシューズで、ケガの心配なくトレーニングしたい!」という中級以上のランナーに最適だと思われる。

 また「ランニング用とカジュアル用のシューズを兼用させたい!」というユーザーにもウルトラブーストはピッタリ。スタイリッシュなアッパーデザインはランニングシーンのみならず、スポーツテイストのカジュアルコーディネートにマッチしてくれるはず。店頭での販売は2月25日(水)からだが、オンラインショップでは先行発売中だ。

ウルトラブースト

19,900円(税抜)
お問い合わせ:アディダスグループ お客様窓口 0120-810-654

2/2ページ

著者プロフィール

フリージャーナリスト。1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツブランドのプロダクト担当として10年勤務後、ライターに転身。スポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズを得意分野とし、『フイナム』『日経トレンディネット』『グッズプレス』『モノマガジン』をはじめとしたウェブ媒体、雑誌で執筆活動を行う。ほぼ毎日のランニングを欠かさず、ランニングギアに特化したムック『Runners Pulse』の編集長も務める

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント