リコ・フェルフーフェンがヘビー級王座防衛=グローリー
王座戦前に無名選手に判定負けの失態
挑戦者エロルの負傷によるTKOで防衛に成功したリコ 【グローリー・スポーツ】
今大会の目玉はヘビー級タイトルマッチ。当初は12月開催予定だったのが2カ月延びたことにより選手たちの調整にも影響があった。
挑戦者エロル・スィンメルマンは昨年5月に挑戦権を得てから9カ月ぶりの試合である。要するにこの間をずっと調整に費やしてきた。同様に王者リコ・フェルフーフェンも昨年6月から試合がなく、グローリーの延期が決まったことで年明け1月3日に中国遠征を敢行した。
ここら辺のグローリーの管理体制がどうなっているのかがよく分からず、契約内容が緩いのかもしれないが、王者を自由にしておくというのも考え物である。なぜなら調整を兼ね試合勘を取り戻すために軽い気持ちでリコは中国で試合に臨んだのだろうが、そこで彼は無名に近い選手にダウンを二度も奪われて判定負けを喫したのだ。ルールが微妙に違うとはいえ首相撲にうまく対処できず体の割にはパンチに威力が感じられないという醜態をさらしてしまったのである。
負け自体はカンフル剤として反省と刺激にもなるもので、気持ちを入れ替えたリコは今回のエロルとのタイトルマッチで見違えるような素晴らしい動きを見せた。だとしても、グローリーヘビー級王者が他所で負けるという事実はグローリーの王者価値はどれほどのものなのかという疑問につながるわけで、組織としてのクオリティ管理はもう少し丁寧に運営した方がいいのではないかと思う。
グローリー内部の動きはともかくとしても、アメリカを本拠として今後は運営していくのかと思いきや一転して次回「グローリー20」は中東ドバイ大会である。
今後の展望に関してグローリーはまだまだ試行錯誤の段階のようだ。
挑戦者エロルの負傷でTKO勝利
ゲストのマイク・タイソンにベルトを巻いてもらうグローリー・ヘビー級王者リコ・フェルフーフェン 【グローリー・スポーツ】
○リコ・フェルフーフェン(オランダ)
(2R2分18秒 TKO※ドクターストップ)
●エロル・スィンメルマン(キュラソー)
ちょうど3年前。リコはイッツ・ショウタイムのリングでエロル得意のフック5連打を浴びて秒殺でマットに沈んだ。その後のリマッチで判定勝利し戦績をイーブンに戻し、いよいよ今回三度目の対戦が決着戦かつタイトルマッチである。
計量を終えた後の両者向かい合いの写真撮影で挑戦者エロルは感情むき出しで王者リコに体を当て挑発した。挑発に乗らずじっと耐えたリコの姿それ自体がエロルを強く意識していることを物語った。
「先月、中国で負けてしまった。なめてかかったわけじゃないけどどこかに油断があったと思う。あの敗北で目が覚めたし自分の中に火がついた。エロルとの戦いはKO決着で終わらせようと思った。1RでKOしたかった。だって気持ちがいいし。僕にはKOが少ないって指摘する人が多いからエロル得意のフック連打で逆KOしてやろうって(笑)」
試合はその通りの展開となった。ゴングでチョンとグローブを合わせてから相手の出方を探る両者は20秒過ぎあたりに突然動き出した。互いの力量は十分によく知っている。エロルが圧力をかけて得意のフック連打を打ち込んできた3発目にリコがお返しとばかりにフック連打を打ち返した。驚いて下がったエロルのボディーにヒザも叩き込んだ。両者フック連打のやりあいである。ヘビー級のド突き合いに場内が沸く。やられたら体を入れ替えてやり返す両者。
1R中盤にリコの右ストレートでエロルがぐらついた。パンチだけでなくフォローの右ローを当てるリコ。1R終盤に前蹴りを受けエロルはスリップダウンする。ローダメージが効いていてバランスを崩したようにも見える。
2Rに入ると足技を出す両者。エロルの右ハイそして右ロー。そして右スピンキックをリコにかわされ右足着地の際にバランスを崩し倒れたエロル。妙な負荷がかかったのか膝を痛め試合は終了した。しかしながら各ラウンドかなり濃密な攻防だった。必ず倒し切る。両者の気迫が観客にまで十分に届いた戦いぶりだった。
「エロルがケガをして終わったと思った。ケガした相手を潰すような試合はしたくない。でもあのケガがなくても間違いなく5Rまでに決着がついていたと確信している」
いつもは今一つ盛り上がりに欠ける戦いとなるリコだが今回は違った。全体を通して圧力をかけたのはリコ。あの流れではエロルの勝ち目は難しいと予想された。
「次の挑戦者? さあ誰だろう。アデグバイかもしれない。でも彼はトップとの対戦経験がないから挑戦者になれるかなあ。僕には何とも言えない。とにかくオランダに戻って家族と数日ゆっくりしたい。そして次に備えたい」
ニキー・ホルツケンがウェルター級挑戦者に
トーナメントを制したニキー・ホルツケンがウェルター級挑戦者に 【グローリー・スポーツ】
○レイモンド・ダニエル(米国)
(2R2分15秒 TKO※レフェリーストップ)
●ジョナタン・オリヴェイラ(ブラジル)
リングを回りながらスピンキック多用のダニエル。前に出て圧力をかけてパンチ狙いのジョナタン。1R終盤に左右のスピンキックでダウンしたオリヴェイラは笑いながらカウントを聞きノーダメージを顔でアピール。2Rも前に出てローキックとパンチでダニエルをつかまえようと攻め込むオリヴェイラだがスピンキックをもらい再びダウン。そして終盤に再びスピンキックでダウンしレフェリーストップとなった。
<77kgウェルター級挑戦者決定戦 準決勝第2試合>
○ニキー・ホルツケン(オランダ)
(判定3−0)
●アレクサンダー・ステツレンコ(ロシア)
東欧勢のパンチ技術はおしなべて高いが、ホルツケンもボクシングとなれば負ける気は全くない。となるとお互いの足技がカギとなりそこはホルツケンに一日の長があった。しかしながら組み合わせ次第ではステツレンコは決勝に上がってもおかしくない実力の持ち主である。
<77kgウェルター級挑戦者決定戦 決勝戦>
○ニキー・ホルツケン
(3R1分24秒 TKO※レフェリーストップ)
●レイモンド・ダニエル
変則ファイターのダニエル。しかし変則なだけに、それが防御されれば後がない。キックの基本とパンチ技量の高いホルツケンには通用しなかった。ロー、パンチ、ヒザでダウンを重ねた。3R序盤にスピンキックでホルツケンから1ダウンを奪い返したがこれはご愛嬌。ダニエルへのレフェリーからの温情だろう。最後はコーナーに詰められ為す術なくダウンを奪われダニエルは完敗。ホルツケンが挑戦権を獲得した。
「ウェルターのベルトは僕のものだ。ヴァルテリーニを破り、翌月2014年1月に僕は交通事故でケガをした。それで彼が暫定王座になっているが本来は僕が王者だし僕のベルトだ。ベルトは返してもらう。ヴァルテリーニはいい奴だしきっといい試合になる。でも僕はベルトを持って帰宅するよ」
「グローリー21」でホルツケンと王者ヴァルテリーニが再び戦う。
<85kg級スーパーマッチ>
○ジョー・シリング(米国)
(判定3−0)
●ロバート・トーマス(カナダ)
ともにパンチ主体で前に出るがシリングが荒っぽい攻撃で圧力をかける。トーマスはガードが固い。両者ともに五分の攻防が続く。3R終盤に左バックブローからの右ストレートでダウンを奪ったシリング。これが痛恨の決定打となりタフなトーマスは判定に泣いた。
<70kgウェルター級>
○アンディ・リスティ(スリナム)
(1R2分40秒 TKO)
●スティーブ・モクソン(オーストラリア)
モヒカン刈りで登場のリスティ。モクソンは大物狩りで名を挙げたいところ。しかし終わってみれば1Rで3回ひっくり返してのリスティ秒殺劇である。最初から呑んでかかったリスティは圧力をかけバランスを崩したモクソンを左ヒザ2連発と左フックでダウンさせる。さらに立ち上がったモクソンを逆コーナーに詰め右ボディーフックでダウンさせ、三度立ち上がったモクソンだが強烈なワンツーをもらってマットに沈んだ。リング上で今回の戦略と今後の目標を訊かれたリスティは、「さっさと終わらせて早く家に帰る、これが戦略でした。王座を獲ってベルトを巻く事、これが今の僕の目標です」
<ヘビー級>
○ザビエル・ヴィグニー(米国)
(TKO)
●エヴァレット・スィムス(米国)
<70kgライト級>
○ジョシュ・ジャウンシー(カナダ)
(3R TKO)
●マックス・バウマート(ドイツ)
<77kgウェルター級>
○フランコイス・アンバン(米国)
(2R2分10秒 KO※右フック)
●ステフェン・リチャード(ジャマイカ)
<95kgライトヘビー級>
○ブライアン・コレット(米国)
(判定)
●マイロン・デニス(米国)
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ