現役最高6打者の打撃思考 成功者に学ぶ進化へのアプローチ
広島・菊池の指示を忠実に実践する思考力
必要以上に“つなぎ”を意識しない2番打者、広島・菊池は求められることを真に体現している 【写真=BBM】
技術面では13年にリーグワースト2位の121三振を喫した反省からインサイドアウトのスイングを身につけ、ボールを長く見極められるようになったことが向上の要因だと認めている。ただ、それだけで一気に8分近くも打率がアップしたと考えるには無理がある。
「自分らしくプレーさせてもらっています」
2番ではあっても必要以上に“つなぎ”を意識させない首脳陣の配慮と菊池なりの割り切りの良さがそこにあった。「何でも思い切り良く」が菊池のらしさ。たとえ犠打や進塁打のサインが出たときも「サインに忠実に、それを思い切ってやる」ことで期待に応えてきた。そして、ノーサインであればアウトカウントや走者状況に関係なく「初球からいく自分のバッティング」に徹した。
「(野村謙二郎・前)監督もそれでいいと言ってくれるので、自分で考えて右打ちしようとか考える必要もないんです。それが僕にとって良い方向に出ています」
“野性”“動物的”の枕詞付きで語られるプレースタイルからは“奔放さ”がイメージされるが実は違う。求められることを真の意味で忠実に。それが菊池のポリシーだ。
銀次、すべての経験を力に変える不断の努力
楽天・銀次が心掛けるのは「下半身」。元捕手で鍛えたものを打者として生かしている 【写真=BBM】
人一倍の努力を続けてきたからこそ、今の輝きがある。2軍生活を続けていたころには、1日4800スイングをこなしたこともあった。春のキャンプでは毎日、練習前と練習後に、約50メートル離れた場所に直径1メートルの穴が空いた防球ネットにライナー性の打球を入れるティー打撃を繰り返す。巧みなバットコントロールは、こういった努力があったからこそ身に付いたものだ。
打撃において心掛けることは実にシンプルなものだ。「下半身を使って打つこと」。下半身が安定しているからこそ、安定したインパクトを生み出す。元捕手としての経験も大きく生かされている。打力を生かして内野手にコンバートされるまで、06年の入団から4年間は捕手が本職。下半身強化が欠かせないポジションで培ったものが土台となっている。
さらに「ボール球に手を出さない」ことも高打率を残せる1つの要因。これにも過去のキャリアが大きく関わる。13、14年に1軍チーフコーチとして見守った仁村徹2軍チーフコーチは「ここまで来るのに時間がかかった。でも、我慢する期間が長い選手は、陽の当たる時間も長い」と話す。下積みが長かったからこそ1打席の我慢につながり、この先も輝き続ける力となる。