ドイツ専門誌による選手採点の基準 前半戦を終えた日本人選手の評価とは?

日本人選手たちの評価は?

日本人選手で最も評価が高いのが内田(左)。岡崎がそれに続いている 【写真:アフロ】

『WAZ』はドイツ西部のサッカーにフォーカスしているが、『キッカー』と『ビルト』は国中の全試合を採点している。ブンデスリーガの第17節までを終えて、『キッカー』誌の採点でリーグトップに立っているのはバイエルンのアリエン・ロッベンだ。

 採点で、リーグの上位15位には6人のGKが入っている。そうしたGKたちに対して、ロッベンは13試合で10得点し、3つのアシストも記録している。だが、そうした数値を別にしても彼のパフォーマンスは素晴らしく、平均点で2.04点だ。

 では、日本人で模範となる存在は誰なのだろうか? 『キッカー』のランキングで、内田は39位につけており、1試合平均で3.15点を記録しているのだ。守備的な選手のランキングでは、9位に位置している。

 マインツ05の岡崎慎司は、平均3.34点で73位。すでに8ゴールを記録し、ブンデスリーガ史上で最高のパフォーマンスをしている日本人選手だというのに……。FWに限ったランキングでは、岡崎は『キッカー』の8位にランクインしている。

 他の日本人選手を見つけるには、『キッカー』のランキングの下方へと目をやらなければならない。香川は153位。アイントラハト・フランクフルトの乾貴士は129位。同僚の長谷部誠は130位という状況だ。

 ハノーファー96の清武弘嗣は172位、酒井宏樹は183位、ヘルタ・ベルリンの細貝萌は198位。シュツットガルトの酒井高徳は200位だが、ランキング圏内にいるのは幸福なことだろう。ケルンの大迫勇也とヘルタ・ベルリンの原口元気は、その圏外にあるからだ。ケルンの長澤和輝とドルトムントの丸岡満に関しては、採点をするにも足りない。

採点は通貨に等しい

ドイツでプレーする選手たちは選手採点に慣れる必要がある 【写真は共同】

 自分のお気に入り選手を選んでポイントを稼ぐゲームで長澤と丸岡を選んだサッカーファンは、高得点を稼ぐ期待は抱かない方がいい。このオンラインゲームは、『キッカー』の採点で得点を得るからだ。いかに自分の選んだチームが良いパフォーマンスをしたと思っても、すべては『キッカー』の採点次第なのだ。この事実は、ブンデスリーガにおける選手採点の重要性を物語っている。

「採点は選手にとって絶対的に最重要事項だ。誰もそう公言しなくともね」。『ビルト』の副編集長マティアス・ミュラーは『Ligainsider.de』にそう話した。元プロ選手のトルステン・レガトは「エディターが採点をどう考えているのかは分からない。おそらくサイコロでも振っている気分なんだろうね! 自分の監督が僕のパフォーマンスをどう思ったのか聞く方がいいね」と、『シュピーゲル』に語っている。

 批判は常につきまとう。だがブンデスリーガにおいて、採点は通貨に等しい。あの奥寺康彦でさえ、この洗礼を味わっているのだ。ブンデスリーガ初の日本人選手がプレーしていた時、ハイマンは『キッカー』の編集長を務めていた。ケルンとヘルタ・ベルリン、さらにブレーメンのユニホームに袖を通しながら、選手採点に慣れる必要があったのだ。常にベターな得点をたたき出していたからこそ、彼の歴史が紡がれたと言えるだろう。

(翻訳:杉山孝)

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著者プロフィール

フランソワ・デュシャト 1986年生まれ。世界最大級のサッカーサイト「Goal.com」でドイツ語版の編集長を務め、13年からドイツで有数の発行部数を誇る「WAZ」紙のサイト(http://www.derwesten.de/)でドイツ西部のサッカークラブを担当する。過去には音楽の取材もしていた。ツイッターアカウントは@Duchateau。自身のサイトはwww.francoisduchateau.net。 ダビド・ニーンハウス 1978年生まれ。20年以上にわたり、ルール地方のサッカークラブに焦点を当て、ブンデスリーガの取材を続ける。09年からは「WAZ」紙のサイト(http://www.derwesten.de/)で記者を務める。ツイッターアカウントは@ruhrpoet。自身のサイトはwww.david-nienhaus.de。

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