“さすが!”の岩田、5センチ差の大仕事 6歳ダノンシャーク熟成の秋マイル王

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岩田&ダノンシャーク(左)がフィエロとの一騎打ちを約5センチ差制し、マイルCS優勝 【スポーツナビ】

 JRA秋のマイル王決定戦、第31回マイルチャンピオンシップが23日、京都競馬場1600メートル芝で開催され、岩田康誠騎乗の8番人気ダノンシャーク(牡6=栗東・大久保龍厩舎、父ディープインパクト)が優勝。中団待機からインをグイッと伸びると、先に抜け出した福永祐一騎乗の3番人気フィエロ(牡5=栗東・藤原英厩舎)をゴール寸前でハナ差(約5センチ)かわし、GI初タイトルを手に入れた。良馬場の勝ちタイムは1分31秒5。

 ダノンシャークは今回の勝利でJRA通算29戦7勝。重賞は2013年GIII京都金杯、同GIII富士ステークスに続く3勝目。騎乗した岩田は10年エーシンフォワード以来となるマイルCS2勝目、同馬を管理する大久保龍志調教師は同レース初勝利となった。

 なお、2着フィエロから1馬身半差の3着には秋山真一郎騎乗の9番人気グランデッツァ(牡5=栗東・平田厩舎)が入線。連覇を狙った武豊騎乗の2番人気トーセンラー(牡6=栗東・藤原英厩舎)は差し届かず、グランデッツァから3/4馬身差の4着に敗れた。

人気はあちら、着順はこちら

6歳秋にして待望のGIビッグタイトル! 【スポーツナビ】

 群雄割拠となった秋の淀マイル決戦。最終的に1番人気に支持されたのは、4.7倍のトーセンラーを抑え、4.4倍の3歳馬ミッキーアイルだった。世代交代に期待をかけたファンの方が上回ったというわけだ。しかし、勝ったのは6歳馬ダノンシャーク。この路線のトップホースとして常に上位を賑わせてきたベテランだ。

 昨年のマイルCSが3着で、今年春の安田記念も4着。獲得した重賞タイトルはGIII戦の2つだけだが、GI級の戦いに入っても見劣りはしない。今回、8番人気と評価を下げていたのは前走のGIII富士Sが7着だったからだろう。その富士Sにしても単勝1番人気に支持されていたわけだから、たった1走の7着でここまで人気を下げてしまったのは、それだけこのマイルCSの出走メンバーが実力伯仲だった証し。そうなると、やはり前走で着順を落とした馬よりも、勢いをつけて着順を上げてきた方の馬に目が行ってしまう。要するに、ダノンシャークは人気の盲点にスッポリと入ってしまっていたというわけだ。

 しかし、人気はあちら、着順はこちらとばかりに、ダノンシャークはまだまだ錆びついていない脚を見せてくれた。そして、この勝利に大きな役割を果たしたのが、頼れる勝負師・岩田康誠だ。

折り合い重視、インでジッと我慢

折り合い重視で我慢した分、最後の末脚が生きた 【スポーツナビ】

「調教師からは前に壁を作って、折り合い重視で直線にかけてくれと言われていました。その通りに乗れたかなと思いますね」

 鞍上がそう冷静に振り返った通り、ダノンシャークは道中、ちょうど中団といった位置取りでジッと我慢。そして調教師の助言通り、他馬の真後ろでキッチリと折り合いをつけていた。ディープインパクト産駒のダノンシャークと言えば、レースでちょっとうるさい印象もあった馬だが、ベテランの域に入る6歳秋を迎え、そんな気難しさも解消されつつあるようだ。岩田もテン乗りだった分、いかに名手といえども少し手こずるのかなと思われたが、そのような苦労はまったくなかったという。

「この馬には初めての騎乗だったんですが、すごく落ち着きがありましたし、冷静にレースを運んでくれました。ムキになることもなかったですし、4コーナーまで我慢してくれました」

 その4コーナーから最後の直線にかかる勝負どころ。道中でインに張り付いていた岩田は、そのまま先行勢がひしめくインに突っ込んでいった。脚に余裕がある分、なおさらリスキーな選択にも映るが、当の岩田自身はイチかバチかの賭けではなく、“迷いない”選択だったと、キッパリ語った。

「フィエロがすぐ前にいたので、あの馬だったら絶対に道を作ってくれると。それを信じてインを狙っていったんです」

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