負けられない決戦へ、冷静に臨むG大阪 リベンジではなくタイトルへ近づくために
8年前、優勝を懸けて最終節で激突
8年前、G大阪は真っ赤に染まる埼玉スタジアムで優勝を懸けて浦和と対戦した 【写真:アフロスポーツ】
ガンバ大阪がJリーグ連覇を目指したこのシーズン。序盤から順調に勝ち点を積み上げてきた中で、4度目の『首位』に立ったのは第21節のことだった。以降、第24節までその座を守り続けたものの終盤に入り、やや失速。第25節から第28節まで4試合白星のない戦いを続けたことや、ウイルス性肝炎を患った大黒柱、MF遠藤保仁の戦線離脱が響き、浦和に『首位』を奪われてしまう。
その後は勝ち点が近づいたり、離れたりしながらも『1位・浦和、2位・G大阪』の順位は変わらずに試合が進んだが、第33節、G大阪が京都パープルサンガ(当時)に勝利し、浦和がFC東京に引き分けたことで両者の勝ち点差は3に。結果、優勝の行方は最終戦に持ち越された。
必要だった「3点差以上での勝利」
マグノ・アウベスのゴールで先制したものの逆転負け。目の前で優勝を決められた 【写真:アフロスポーツ】
「あの試合で一番印象的だったのは、僕らが前半終了間際にFWワシントンのゴールで逆転されたシーン。あのゴールによって、スタジアム全体が浦和の優勝を確信したような雰囲気になり、さらにボルテージが高まって『俺らが優勝するぞ』という空気が流れた。3点差以上での勝利を義務づけられた試合で、相手にリードを奪われることの重みは正直、感じました」(MF明神智和)
後半もその流れは変えきれず、G大阪を率いる西野朗監督は切り札、MF遠藤を投入する。だが、心理的にも優位に立った浦和の勢いは止まらず、59分に再び失点。1−3と大きく引き離されてしまう。それでも最後まで諦めない姿勢を示すかのように、78分にはMF遠藤からのCKに最後はDF山口智(現ジェフ千葉)が頭で合わせて1点を返すも、「3点差以上の勝利」を現実とするにはあまりにも時間が短く。結果、G大阪は2−3で敗れ、浦和に優勝を決められてしまう。歓喜と興奮で地鳴りのような振動がスタジアム全体を覆う中、真っ赤に染まった埼玉スタジアムを後にするG大阪イレブンの背中は小さかった。