あらためて知る日本バスケ界の現状と問題 求められる改革の実行と徹底した情報公開

飯田康二

日本バスケ界はどうなっているのか。リーグ統一に向けた現状と問題をまとめた 【スポーツナビ】

 状況は良くない。そして好転の兆しも見えてこない。

 細かな話を言えば、状況は日々刻々と変化しているのだが、11月10日時点での状況を言えば、冒頭のようになる。しかし、12日には日本バスケットボール協会(JBA)の理事会が予定されており、そこで、また新たな動きが見られるかもしれない。

 スポーツナビ編集部から、現在の日本バスケットボール界における問題をまとめてほしいとの依頼を受けた。私は月刊バスケットボール誌上で、毎月のようにこの問題を取り上げてきているが、あらためて、より多くのスポーツ・ファン、バスケットボール・ファンに伝えてほしいとのことで、私にできることであればと寄稿させていただくことになった。

FIBAが改善を求める3つの問題点

 日本で開催した2006年の男子世界選手権以来、混迷を続け、そのトンネルを抜け出ることができずにいる日本のバスケットボール界は、20年の東京五輪・パラリンピックの開催決定を機に、あらためてFIBA(国際バスケットボール連盟)からその問題を指摘され、改善を求められている。「JBAのガバナンス(組織をまとめる統制力)の強化と事業性の向上」「男子代表の強化」、そして「トップリーグの統一」。こうしたFIBAが問題視している事案について改善が見られなければ、「資格停止処分もあり得る」と警告を発せられており、その改善に向けた報告の期限は10月末だった。

 結果からいえば、この期日までに問題解決の道筋をまとめられないとした深津泰彦JBA会長が10月23日に辞任、状況は混迷を深めている。深津元会長は、今般の日本バスケットボール界の危機に当たり、実に粘り強く対応されてきたと思っている。深津氏の尽力なしに、JBA、NBL、bjリーグの3者が同じテーブルで話し合いを行うことも実現しなかったのではないかと思うと、その結果を見ずにしての退任は残念でならない。裏返せば、それだけ現状は厳しい局面にあったということだろう。

 FIBAから指摘されていた3つのJBAの問題点で、最も象徴的、かつ具体性のある対応が求められているのがトップリーグの統一問題である。つまり、トップリーグが2リーグに分かれていることこそ、JBAのガバナンスの欠如の証拠というわけである。それ以外に指摘されていることは、改善が求められる努力目標であり、それが達成できないからといって、ペナルティーの対象になる問題ではない。

「新リーグ組織委員会」の活動内容

 日本代表チームが国際大会に出られないといったペナルティーを突きつけられているにもかかわらず、まとまり切らないトップリーグの問題とはどこにあるのか。深津前会長がやっとのことで実現に漕ぎつけたJBA、NBL、bjリーグの3者間での会議「新リーグ組織委員会」ではどのようなことが話し合われてきたのだろうか。この委員会のメンバーは深津泰彦JBA会長(元)、丸尾充NBL理事長、河内敏光bjリーグコミッショナーに加え、NBLから清野英二氏(トヨタ自動車アルバルク東京)、島田慎二氏(千葉ジェッツ)、bjリーグから中村彰久氏(仙台エイティナイナーズ)、木村達郎氏(琉球ゴールデンキングス)の4名のチーム代表、有識者2名の9名で構成された。7月に発足してから、毎週月曜日に開催を重ねてきた。

 参加メンバーは口々にその会議での内容の充実を語っていた。「とてもいい話し合いができています。それぞれの立場もありながら、それを超えて、最終的に何が必要か、何が大切かといったことを真剣に議論しています。あとは、多くのチームの賛同、共感を得られるかどうかですね」と話してくれたのは琉球ゴールデンキングスの木村代表であり、深津元会長、河内コミッショナーらからも異口同音の感想を聞いている。

 そうした会議を重ね、新リーグ組織委員会によって草案が作られた。そこにはリーグの理念・ビジョンといったことに始まり、運営組織は一般社団法人となること、新リーグは当初1リーグでスタートし、後に階層化することなどが盛り込まれたという。そうした草案をもとに、NBL、bjリーグそれぞれに参加するチームに対し説明が行われていく過程において、いくつかの問題点が出てきており、それが煮詰め切れていないのが現段階である。

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著者プロフィール

『月刊バスケットボール』元編集長。1968年生まれで神奈川県出身

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