あらためて知る日本バスケ界の現状と問題 求められる改革の実行と徹底した情報公開

飯田康二

統一に向けて詰め切れていない問題とは?

「新リーグ組織委員会」は今後も詰め切れていない問題を詰めていくという。状況を打開するためには何が必要なのか 【スポーツナビ】

 一つはプロを標榜するリーグにおける、企業チームの在り方である。チームの運営形態をどう規定するか、そして、チーム名に企業名を入れることを許容するかどうか。草案ではチーム名は「ホームタウンの地域名+ニックネーム」としていたが、NBLの一部のチームから、チーム名に企業名を入れたいとの強い要望があったという。

 プロチームの名前に企業名が入ることは、特に珍しいことではない。日本のプロ野球などはその典型。また、ネーミングライツといった考え方もある。一方で、bjリーグやサッカーのJリーグ、海外に目を向ければNBAなどが企業名をチーム名には入れていない。どちらがいい、悪いというものでもないだろう。それよりも、新リーグに参加するチームが、試合に勝つことだけを目指すのではなく、地域への貢献や、応援してくれている人たち(ステークホルダー)に喜んでもらうことを主眼としているかどうか。新リーグに参加するチームが、価値観を共有できるかどうかが問われているのだ。

 もう一つbjリーグを運営する株式会社日本プロバスケットボールリーグを新リーグとどう位置付けるかといったことも、詰め切れていない問題の一つとして挙げられた。新リーグにおける一定の役割と権利、そうしたものを委ねようとし、その程度が問題となっているのか、それとも、そもそもの考え方が違うのか。

状況を打開するために必要なこと

 船頭がいなくなってしまった状態ではあるが、新リーグ組織委員会は継続して前述した残された課題の解消に当たっていく方針との報告がなされた。とはいえ、先行きは不透明と言わざるを得ない。こうした状況を打開するために必要なことは、私は情報公開だと感じている。残された問題点の詳細をオープンにし、何が議論されているのかを明らかにすることである。そして、日本のバスケットボール・ファミリーがそれをどう感じているかを推し測ることである。同時に次期JBA会長をどのように決定していくのかについても、その過程を明らかにしていってもらいたいと思っている。

 昨年12月に、(パトリック・)バウマン氏(FIBAの事務総長)を取材した際、「かねてよりJBAからさまざまなプランを聞いている。しかし、トップリーグの統一など、現実となったものはほとんどない。求めているのはプランではなく、実行されること」と話していたことを思い出す。

 求められているのは実行力であり、リーダーのすげ替えといった体面的な対応ではないだろう。求められているのは、JBA改革を実行することであり、男子トップリーグの統一を実現させることにほかならない。それを成し得るリーダーの登場が期待されているのは分かるが、ただ、白馬に乗った王子様の出現を待ち焦がれていても仕方がない。それより、いま責任のある立場にいる人たちが、徹底した情報公開のもとに目の前の責任を果たし、やり切ることこそ重要なのではないだろうか。

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著者プロフィール

『月刊バスケットボール』元編集長。1968年生まれで神奈川県出身

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