ファンが願う交流戦は「24試合以上」、アンケートから見える削減問題の是非

山田隆道

07年からは24試合制で定着しつつあったセ・パ交流戦だが、来季は18試合制で争われる(写真は2年ぶり2度目の交流戦制覇を果たした巨人・原監督) 【写真は共同】

 セ・パ交流戦の試合数が今季までの24試合から来季は18試合制に変更される。この問題は以前から削減派のセ・リーグと現状維持派のパ・リーグで意見が対立しており、何度も議論が重ねられてきた。したがって、今回の合意はかねてからのセの主張を、パがようやく受け入れたという形になる。

 当然、ファンの意見が分かれる問題だった。そこで、スポーツナビでは今回の発表前の7月下旬からアンケートを実施。設問の中には交流戦に関するものも含まれていた。タイミングが良いとはまさにこのことで、その結果が出そろった直後の8月11日、今回の試合数削減が発表されたのである。

 では、そのアンケートの結果、すなわちインターネット上のプロ野球ファンの意見とはいったいどのようなものだったのか。ここからは、それをご紹介したい。(調査は7月25日から8月8日まで実施、回答数は3442件)

約8割が「交流戦は24試合以上」と主張

「セ・パ交流戦の試合数について、どのよう に思いますか?」という質問に対し、約8割が24試合以上を望んでいることがわかった 【スポーツナビ】

 まずは「セ・パ交流戦の試合数について、どのように思いますか?」という、タイムリーな設問である。回答の内訳は「現状維持」が56.7%、「増やすべき」が24.5%、「減らすべき(廃止含む)」が18.9%。つまり、現状維持派が過半数を占めた一方で、今回の合意事項である削減派は全体の2割にも満たなかった。

 現状維持派からのコメントでは「交流戦は球界発展のための戦略のひとつになっている」「リーグ戦だけでは面白みに欠け、(交流戦は)日本経済の活性化にもなっている」「普段と違うルールの試合が楽しめる」「1リーグ6球団では同じチームとの対戦ばかりになって飽きる」などといった、交流戦そのものを歓迎する声が多く寄せられた。

 その上で試合数に関しては「24試合より増やすとペナントレースに影響が出てしまい、減らすと交流戦優勝やMVPの意義がなくなる」という意見が多い一方、中には「24試合は同一リーグの1チームの対戦数と同じなので、交流戦を『6球団目の相手』という位置づけにできて都合が良い」という、なかなか理にかなった解釈もあった。

 そして、次に多かった増加派からは、現状では日程に空きが多くなっていることから、導入当初の36試合(各カード3連戦をホームとビジターで計2回)に戻すべきだという意見が目立った。増加派の多くは、「3試合ずつでないとリズムが悪い」と、1週間に3連戦が2回あるという長年かけてしみついたプロ野球の観戦スタイルが崩されることに抵抗があるようだが、交流戦そのものについては当然のごとく歓迎しているわけだ。

 確かに、日程を危惧する声は現状維持派からも多く寄せられた。試合数は24試合が妥当だとしても、日程に空きが生まれるのは好ましくない。だから試合数を維持したままで、なんとか工夫して日程を詰めてほしいという意見もあった。

空き日の多さが交流戦の課題

シーズン序盤に話題になった交流戦の開催時期については、「いまのまま」という声が多数を占めた 【スポーツナビ】

 そこで、今回のアンケートでは「交流戦の時期については、どのように思いますか?」という設問も用意されていたのだが、その回答を多かった順に紹介すると、「今のまま(5月から6月)」が54.7%、「分割開催」が22.9%、「MLBのように通年」が16.7%、夏場が5.8%だった。つまり、半数以上のファンは従来の開催時期を問題視しているのではなく、その期間中に空き日が目立つという“効率の悪さ”を改善してほしいと主張しているわけだ。

 もちろんインターネット限定の調査であるため、これが世論のすべてになるわけではないが、ここまではっきりした結果が出たのなら簡単には見過ごせない。なにしろ、交流戦に対して肯定的なファンは、現状維持派と増加派を合わせて80%以上にものぼる。交流戦をプロ野球のひとつの事業として考えた場合、これだけ顧客の支持を集めている事業をみすみす縮小するのは、普通のビジネス感覚では理解しがたい。「現状維持」「増加」「削減」の3つの選択肢の中で、球界が議論を重ねて選んだ結果が、ファンが最も支持していなかった「試合数削減」だったのだ。

 では、削減派の理由はどうか。これはもう、オールスターと日本シリーズの価値の下落についての指摘が圧倒的多数を占めた。交流戦導入前の球界がそうだったように、ペナントレースでセとパの対戦がないからこそ、年に1度のオールスター戦は『夢の球宴』としての権威があり、日本シリーズは盛り上がったのだ、という論調である。他には「2リーグ制の意味がなくなる」「リーグ優勝を左右するほどの試合数はいらない」「パ・リーグ優勢が続いて面白くない」という意見もちらほらあった。

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著者プロフィール

作家。1976年大阪生まれ。早稲田大学卒業。「虎がにじんだ夕暮れ」「神童チェリー」などの小説を発表するほか、大の野球ファン(特に阪神)が高じて「阪神タイガース暗黒のダメ虎史」「プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。現在、文学金魚で長編小説「家を看取る日」、日刊ゲンダイで野球コラム「対岸のヤジ」、東京スポーツ新聞で「悪魔の添削」を連載中。京都造形芸術大学文芸表現学科、東京Kip学伸(現代文・小論文クラス)で教鞭も執っている。

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