驚きと納得の清水エスパルス監督交代劇
ゴトビ解任でレジェンドがクラブの再建へ

問題視されていた「ゴトビ革命」

3年半に渡ったゴトビ政権は、結局完成図を描けぬまま突然幕を閉じることとなった
3年半に渡ったゴトビ政権は、結局完成図を描けぬまま突然幕を閉じることとなった【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 7月30日、「アフシン・ゴトビ監督 解任のお知らせ」というリリースが清水エスパルスの公式HPで出された。突然のことで多くのサポーターが驚きを隠せなかったと思う。というのも、直前に行われた柏レイソル戦(27日)でチームはリーグ戦8試合ぶりの勝利(3−0)をつかんでいた。しかし、クラブは解任という決断を下した。


 正直なことを言えば、過去に取材したクラブ関係者でゴトビ政権の問題点に頭を抱えていた人もいた。クラブの後援会会員が年々減っていたことや、選手の移籍なども含め、「ゴトビ革命」はさまざまなところに着手していたこともあり、「もうグチャグチャですよ」と中には漏らす人もいた。さらに輪をかけるように、チームの成績は好転せず、チーム内部でも不穏な雰囲気がくすぶっていた。選手たちから不満の声が漏れ、そうした言葉がひとり歩きし、本来ならばチームを信じ、支えるサポーターにまで不信感を持たせてしまった。そういう状況がここ数年あったのは間違いないだろう。


 明るく社交的で、ファンとのコミュニケーションにも積極的に参加したゴトビ監督だったこともあり、サポーターの中には多くの支持派がいたのも間違いない。しかし、内側に目を向けると、チーム、クラブをまとめるという点、人心掌握に長けていたとは言いがたかった。それが、解任の直接の理由ではないとは言い切れないが、成績や全てのことを踏まえて、この監督交代という選択は仕方がないというべきだろう。手をこまねいている間に、J1から降格してからでは遅いからだ。

一向に上向かないチーム状況

 会見で竹内康人社長は、監督解任の理由を「これということではなくて後半戦を戦うために上に行くために必要だと判断。前半戦を総括した」とコメントしている。しかし、直前にワールドカップ(W杯)の中断期間があったこと、その中断開け直後であること、しかも直前の柏戦では3−0という勝利を収めていることなどを考えるとどうにも歯切れは悪い。


 ただ、ある主力選手が「早川(巖)さんが全ての責任を取ってくれた。最後に男気を見せてくれたんだと思う」とこぼした。この劇的な解任劇の内幕は、ここまでゴトビ監督を擁護してきた特別顧問が、全てはクラブのためにと、ここまでの責任を取っての行動だと明かしてくれた。受け取る立場、状況によっては情報も色がつくしさまざまだ。また、伝える側の意図もあるので正解はどこにあるとは言いがたい。だが、ゴトビ監督解任のリリースがされた同日には、特別顧問の早川氏退任のリリースもされていることを考えるとある程度の納得ができた。そして、いずれにしても3年半というアフシン・ゴトビ政権は、早川特別顧問の退任と同時に終わりを告げたことに間違いはない。


 思い起こせば昨年(2013年)の3月23日に行われたヤマザキナビスコカップのジュビロ磐田戦でのことだ。この試合でライバルに1−5という大敗を喫すると、試合後には多くのサポーターが選手バスの出口を塞ぎ、指揮官の解任を要求した。しかし、対応に出たゴトビ監督は「なぜ私が辞めなければならないのですか? 過去に監督を代えて良くなったクラブはありますか?」と繰り返した。常に強気な発言。厳格な態度。こうした発言を見ても、彼の辞書には「辞任」という項目がなかったと思われる。しかし、それから1年と数カ月。オランダ的サッカーで、スピードがありワイドを使った攻撃的なサッカーを目指した指揮官だったが、完成図を描けぬまま4年目のシーズンを迎えた。


 シーズン前にはACL(アジアチャンピオンズリーグ)出場という目標を掲げてスタートしたが一向にチームは方向性を見いだせず、上位を狙えるようなチーム状況には遠く、結果も内容も伴わない試合を続けてきた。その結果、気がつけば降格圏までわずかな勝ち点となり、リーグ戦では7試合(約3カ月間)勝利なしという状況に陥った。そうしたことを踏まえると、クラブの監督交代という判断は少し遅かったのかもしれない。それだけに、危機的状況にあるチームをどう立て直すのか。新監督にかかる期待は大きい。

飯竹友彦

1973年生まれ。平塚市出身。出版社勤務を経てフリーの編集者・ライターに。同時に牛木素吉郎氏の下でサッカーライターとしての勉強を始め、地元平塚でオラが街のクラブチームの取材を始める。以後、神奈川県サッカー協会の広報誌制作にかかわったのをきっかけに取材の幅を広げ、カテゴリーを超えた取材を行っている。「EL GOLAZO」で、湘南ベルマーレと清水エスパルスの担当ライターとして活動した。現在はフリーランスの仕事のほか、2014年10月より、FMしみずマリンパルで毎週日曜日の18時から「Go Go S-PULSE」という清水エスパルスの応援番組のパーソナリティーを務めている。2時間まるごとエスパルスの話題でお伝えしている番組はツイキャス(http://twitcasting.tv/gogospulse763)もやっています。

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