最高レベルの守備陣を誇るブラジル=W杯を彩る各国注目DF・GK陣を紹介
マルケス率いる3バックでV字復活――メキシコ
ラファエル・マルケスを守備のリーダーにしたことで安定感を取り戻したメキシコ。6大会連続決勝トーナメント進出は、彼らの踏ん張りに懸かる 【Getty Images】
マルケスは全盛期ほどのスピードは無いものの、統率力とカバーリングのセンスは相変わらずで、長短を織り交ぜるパスの正確性は後方の司令塔とでも言えるレベルだ。左右を固めるエクトル・モレノとフランシスコ・“マサ”・ロドリゲスも欧州リーグでの経験が豊富で、ワールドクラスのアタッカーを封じ込める素地はある。
彼らの控えには過去2大会で主力を務めたカルロス・サルシードがおり、高さのある相手に対しては189センチで空中戦に滅法強いディエゴ・レジェスの起用も有効になる。昨年のコンフェデ杯はブラジルに0−2と敗れたが、ロンドン五輪でブラジルを破った当時の五輪代表メンバーも増えており、開催国にひと泡吹かせて6大会連続の決勝トーナメント進出を果たすことも夢ではない。
名将が植え付けた守備組織は随一――ロシア
DFラインを統率するのは34歳のセルゲイ・イグナシェビッチで、相棒のバシリ・ベレズツキとはCSKAモスクワと代表で長い間コンビを組んでいる。両者ともスピード対応を苦手としているが、右サイドバックにはカペッロがロシアリーグから発掘した俊足のアレクセイ・コズロフ、左サイドに機動力の高いドミトリ・コムバロフを配置することで補完している。
彼らの背後に構えるのは絶対的な守護神のイゴール・アキンフェエフだ。10代からロシア代表の守護神を任され、広大な守備範囲と的確に間合いを詰めてコースを限定するセービングは目を見張る。CSKAモスクワで在籍10年を超えるが、本人が望めばビッグリーグの強豪クラブでもポジションを狙える逸材だ。
控えDFにはウラジミール・グラナト、アンドレイ・イェシュチェンコ、アンドレイ・セメノフといった国際的には無名の選手が並ぶが、カペッロ監督が厳選したメンバーだけに、主力をしっかりとバックアップするはず。中でも190センチのセメノフは対人戦に強く、今回の出番次第で注目を浴びうる逸材だ。
守備の踏ん張りで躍進狙える――ナイジェリア
左サイドバックで安定したパフォーマンスを見せていたエルデルソン・エチエジレの負傷欠場は痛手だが、スピードのあるジェウォン・オシャニワが粘り強くサイドエリアを守ることができれば大きな不安は無くなる。
何と言ってもナイジェリアにはアフリカ最高GKのビンセント・エニェアマがいる。立て続けのビッグセーブでチームを救い、同時に味方を鼓舞する姿は、国際舞台でも板に付いてきた。前回は彼の頑張りに頼り過ぎる部分があったが、堅実な守備陣を得た今大会で前回と同等のパフォーマンスを見せることができれば、決勝トーナメントがぐっと近づくだろう。