今季最もわいた日本バスケの“熱い週末” FIBA最後通告を前にしたファンの思い

河合麗子

2つのトップリーグがファイナルを迎えた週末

初年度のNBLを制した東芝神奈川。ファイナル第3戦は代々木第二を満員のファンで埋めた 【加藤よしお】

 バスケファンにとって、この週末はたまらない2日間だった。日本の「2つのバスケットボールリーグ」がクライマックスを迎えたのだ。

 5月24日(土)、ナショナルバスケットボールリーグ(NBL)のファイナルは、東芝ブレイブサンダース神奈川(東地区1位)が和歌山トライアンズ(西地区1位)に3勝目をあげ、トップリーグとしては9季ぶりの優勝。

 そして翌25日(日)、プロバスケットリーグbjリーグのファイナルは、琉球ゴールデンキングス(西地区1位)が秋田ノーザンハピネッツ(東地区3位)を下し2季ぶり3回目の優勝を達成した。

 現在の日本男子バスケは、国際バスケットボール連盟(FIBA)から「2つのリーグが併存する状況を今年10月末までに改善しなければ、FIBAの会員資格を停止する(国際試合出場禁止など)」と通告を受ける暗いニュースが陰を落とす。通常なら開催国枠で出場できる6年後の東京五輪でさえ、その参加が危ぶまれる状況だ。

 しかし、「頂点」をめざし奮闘する選手、熱狂するファンを見ると、その陰りに光も見えた。2つのリーグの特徴を解説しながら、今後の日本バスケットを考える。

事実上の日本バスケの最高峰――NBL

今季のMVPに選ばれた東芝神奈川の辻。高い得点能力を見せた 【加藤よしお】

 1967年の実業団リーグから始まり、JBLを経て、今シーズン新設されたNBL。実業団を中心とした日本のトップリーグとして47年の歴史を持ち、今の日本代表候補選手26人中20人がNBLに所属する選手だ。代表選手の構成比を見ると、事実上の日本バスケの最高峰と言える。

 今シーズンはNBLと名称を変更し、これまでは実業団中心だったチーム編成が、12チーム中、実業団5チーム、プロ7チームと、プロチームが実業団数を上回った。

 新たな船出となったレギュラーシーズン。東地区は、リンク栃木ブレックス(東3位、プロチーム)とレバンガ北海道(東4位、プロチーム)が最終戦までもつれ込む激しいプレーオフ出場権争いを展開。一方の西地区は、和歌山(プロチーム)とアイシンシーホース三河(西2位、実業団チーム)の首位争いが最終戦に直接対決となった上、延長戦での白熱した展開となった。

 ファイナルに勝ち上がったのは、昨シーズンJBL準優勝の実業団チーム、東芝神奈川と、パナソニックの休部を受け今シーズン創設されたプロチームの和歌山。くしくも実業団対プロの対決となった。

 両チーム国内屈指の得点力を持つ日本代表の辻直人(東芝神奈川)や川村卓也(和歌山)らを擁し、質の高い試合展開となったファイナル。試合は主力外国人にけがが発生した和歌山に対し、東芝が3連勝。トップリーグとしては9年ぶりの優勝で、1月のオールジャパン(天皇杯)に続く二冠を達成した。MVPには辻が選出された。

集客力に課題が見えたNBL

元NBAプレーヤーの田臥(中央)を擁するリンク栃木のみが、目標の観客数を突破した。集客はNBLの今後の課題だ 【加藤よしお】

 実業団とプロが個性を発揮しレギュラーシーズンから熱戦を展開したNBLだが、課題も見えた。

 その一つが集客。今シーズン、実業団中心だったリーグにプロ化を進めた理由は、地域密着をテーマにした集客増を狙ったものだった。リーグが目指す「プロ化」とは、それぞれのチームがより地域の応援を得てファンを増やし、バスケ選手を志す子ども達を増やすこと。去年男子代表がアジア選手権で9位と低迷したため、このプロ化は、競技のすそ野を広げ強化を図りたいという考えだ。

 しかし白熱したリーグ戦とは裏腹に、集客が目標値に届かないチームがほとんど。リーグが目標とした「1試合平均2000人」を達成したのは、元NBAプレーヤー田臥勇太を擁するリンク栃木のみだった。

 最終日となったファイナル第3戦は、代々木第二体育館が満席となる3202人を集めたが、bjリーグファイナルの集客数と比べると、かなりの差を開かれる形となった。

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著者プロフィール

熊本県出身、元琉球朝日放送・熊本県民テレビアナウンサー。これまでニュース番組を中心にキャスター・リポーター・ディレクターなどを務め、スポーツ・教育・経済・観光などをテーマに九州・沖縄をフィールドに取材活動を行う。2016年4月の熊本地震では益城町に住む両親が被災した。

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