大津祐樹はVVVに残るのか? クラブは残留希望で来週に話し合いの場
プレーオフに苦戦するVVV
今季いっぱいでVVVとの契約が切れる大津。複数のクラブがオファーを出したという噂も 【Getty Images】
プレーオフでも両者の力の差は歴然で、5月8日の第1レグは、アウェーのドルトレヒトが3−1で先勝した。
今季で切れる大津の契約
ここで今季の大津を簡単に振り返っておこう。昨季のプレーオフでゴーアヘッド・イーグルスに敗れ2部落ちしてしまったVVVに、大津はそのまま残った。ボルシア・メンヘングラートバッハとVVVで過ごした2年間、大津はシーズンを通じて試合に出続けることができなかった。そういう意味では、例えレベルが劣るオランダ2部リーグであっても、主力としてしっかりシーズンを戦いきることを体に染み付かせるには、VVVは良い環境だった。大津はカレン・ロバートが付けた“10番”を引き継ぎ、新シーズンを迎えた。
左サイドを30メートルドリブルし、相手をショルダーチャージで弾き飛ばしてから決めた10月4日のアルメレ・シティFC戦のゴール。ペナルティーエリア内右角付近で、相手を交わしてからゴールを見ること無く左足を振り抜き、カーブをかけて決めた10月12日のオス戦のゴール。今季の大津は思わず「ゴラッソ」と叫びたくなるようなゴールを決めていた。
しかし、試合によって調子の波が大きいのも気になった。僕がVVVのハイ・ベルデン会長と「もう少し大津のプレーがコンスタントになると凄いんだけど」という話をしたのは昨年秋ぐらいの時期だった。それでもサッカー選手の目利きとして知られるベルデン会長は「大津の足はまるでヨハン・クライフのようなシェープをしている。スピードとテクニック。大津が持つポテンシャルはものすごい」と大きな期待を口にしていた。
また、大津自身も「自分一人で打開できる選手になりたい」とオランダ2部リーグの舞台で『個』の力を磨くべく、モチベーションを高く保って戦っていた。しかし12月15日のマーストリヒト戦で大津は右足アキレス腱を切ってしまう重傷を負い、手術とリハビリのため日本へ帰国した。
クラブ会長は「祐樹に残って欲しい」
「われわれは祐樹がVVVに残って欲しいと思っている。今、VVVはプレーオフを戦っている。それが終わってから来季の可能性をお互いに探り、祐樹と話し合いたい」
さらにベルデン会長は「ほら、そこに祐樹がいるぞ」と言って、5メートル先を指差した。そこには来季のVVVのコーチ就任が確実視されている藤田俊哉氏らと共に大津がいた。
最近、3000人台まで減っていたVVVの観客動員だったが、この日は久しぶりに6500人の観衆で埋まっていた。その人ごみの中で大津は「懐かしいですね」と言いながらオランダサッカー独特の雰囲気を楽しんでいた。大津は「今は残るとも、移籍するとも言えませんが、VVVとは来週、話をすることになると思います」と語ってくれた。
大津に対して複数のクラブがオファーを出したという噂もある。今はただ、大津が悔いの残らぬ選択をし、来季の復活を願うばかりである。
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