卓球日本女子に残された大きな伸びしろ 「2番のイス」の先のリオ、東京五輪世代
エース石川誕生が最大の興味
卓球のJA全農世界選手権団体戦で準優勝となり、銀メダルを手に笑顔の(左から)村上恭和監督、森さくら、田代早紀、石垣優香、平野早矢香、石川佳純ら日本女子代表=5日、東京・国立代々木競技場 【共同】
大会前の日本女子チームに対する見方をひと言で表すとしたら、「石川佳純のチーム」だったと言えるだろう。
石川(全農)の世界ランキングは9位。チームでただ一人1桁で、平野早矢香(ミキハウス)を除く3選手は国際舞台の経験も少ないメンバー構成だった。福原不在の中で2大会ぶりのメダル奪還、さらにその上まで目指すとしたら、石川の大車輪の活躍なくしてはあり得ないと思われた。
村上恭和監督も「石川には全試合で2点(2勝)取ってほしい」と期待を隠そうとしなかったし、石川自身も「(福原がいない中で)自分が試される場所になる」と並々ならぬ決意を口にしていた。メダルの色とともに、「エース石川が生まれた大会」となるかが最大の興味でもあった。
集中力を切らさず、プレーのムラをなくす
「チームのみんなに助けてもらった。今回は団結力の勝利」という言葉は素直な胸の内だったろう。やはり、重圧は相当に感じていたようだ。決勝の後には今大会を振り返り、「自分が2敗してチームが負ける夢を5回も10回も見た」と吐露している。
もっとも、置かれた立場だけがプレーを微妙に狂わせたとも言い切れない。村上監督が今大会の石川について面白いことを言っている。「自分より上の選手には向かっていけるが、格下の相手とやると、何でこんなボールが入らないの? と自分でイライラしてしまってプレーをおかしくしてしまうところがある」
この1年、石川はレベルアップを目指して男子代表合宿に継続的に参加し、パワーやスピードで上回る男子のボールを受けてきた。気持ちで向かっていかないと、男子には相手にならない。もともと人一倍負けん気の強い選手。試合中のひらめきや勝負度胸の良さも一目置かれている。
いずれもフルゲームまでもつれた準決勝(香港戦)の2試合、さらにロンドン五輪女王の李暁霞(中国)にサーブからの3球目攻撃で食らいついた決勝(中国戦)では、こうした石川の良さが発揮されていた。村上監督が石川に求めるのは、どんな試合展開でも集中力を切らさず、プレーのムラをなくすこと。チームを安心させる大黒柱となるためには必須要素ともいえるものだ。