「日本代表は今までの中で一番強い」 宮本恒靖氏がW杯とリーガ優勝争いを語る

WOWOW

グループリーグを突破する力はある

宮本氏は「今までの中で一番強い」と日本代表の実力を評価する 【Getty Images】

――6月に開幕するW杯についても、お話を聞かせてください。宮本さんは2002年大会と06年大会に出場しました。どのような大会でしたか?

 小学生の頃、(ディエゴ・)マラドーナの活躍を通してサッカーを、W杯を知りました。当時は、「出場したい」という対象ではなかったのですが、サッカーを続けていく中で、自然に目標として見えてきた大会でしたね。02年の日韓大会では、自国でプレーする幸運にも恵まれ、サポーターの人たちが熱狂する姿を見て、初めてW杯がどういう大会かを体験できました。2回目の出場となった06年のドイツ大会は、結果を残したいと思いながらプレーしていましたが、なかなか思うようにいかなかった。W杯の現実を知った大会となりました。

 やはり、W杯はサッカー選手にとって夢の大会であり、出場したことは幸せでしたし、選手生活のハイライトだったと思います。1つの財産であり、自分にとっても大きなものでした。しかし、サッカーの世界は常に動いています。その経験を大切にしながら、今後もサッカーに携わっていきたいと今は感じています。

――日本がW杯で勝ち抜いていくために、どのようなことが必要だと考えますか?

 W杯では、選手たちによるピッチ上の争いは絶対的に必要ですが、それだけでは戦い抜くことができません。国の伝統や歴史、あるいはストレスにどう対応するかといった選手の経験、そして協会のマネジメント、メディア、サポーターの人たちなど、全てを含めて戦う大会だと思います。

 02年のW杯後、「次の大会は優勝してください」と言われたこともありましたが、W杯はそんなに簡単な大会ではありません。ヨーロッパの人たちは、「W杯ではファイナリストを目標にしている」とよく言うのですが、軽々しく優勝という言葉を出せるような大会ではない。次の大会も、ベスト8やベスト16というのが現実的な目標だと思います。

 とはいえ、14年のブラジル大会に臨む日本代表は、今までの中で1番力があると思っています。良いサッカーをしていますし、日本の時間帯を作れば、どの相手にも通用する。現在けがを抱えている選手の回復具合が気になりますが、グループリーグを突破する力は十分にあると思います。

FIFAのスタッフとして臨むブラジル大会

――W杯について、FIFAマスターでどのようなことを学びましたか?

 FIFAマスターの授業では、W杯だけでなく五輪を含めて、どうやったら国際大会を開催する立候補都市になることができるのか、そして立候補都市になって開催地になるまでの一連の流れや、FIFAがW杯の放映権をどうやって売っているかなど、競技とは違うところを学ぶことができました。選手として見えているものとは全然違います。すごく感じるものがありましたね。

――ブラジル大会で、宮本さんは日本人として初めてW杯のTSGの一員になると伺っています。

 ブラジル大会では、一時的にですが、FIFAのジャケットを着て、TSGとして準々決勝まで12試合くらいを見る予定となっています。TSGの仕事は、FIFAの各国際大会を見て、分析して、どういった傾向があったかなどのレポートをまとめることです。選手ではない形でW杯に参加することになり、初めてなので少し不安もありますが、試合だけでなく、練習を見たり、監督にインタビューをしたりする機会もあるようなので、今後に向けて見聞を広めてきたいと思います。どんな感じになるのか、まだ予想することはできませんが、今までとは違う形のものが見えてきたら面白いと思います。

――これまでのW杯への挑戦が、現在の日本のサッカー界にどのような財産を残していると思いますか?

 僕がW杯でマラドーナを見たときとは違って、98年に初めてW杯に出場する日本代表を目の当たりにしてから、子どもたちがW杯を目標にすることができるようになりました。目標を上に置けば届く場所は違ってきます。また、サポーターの方々も、当時はW杯に出場することに感動を覚えていたと思いますが、今ではたくさんのW杯を見て、経験してきて、何が良くて何が悪いかといった、見る目も鍛えられてきたと思います。

 日本代表は今回でW杯に5回連続で出場することになりますが、結果として、日本サッカー協会が蓄積してきた財産も大きいでしょう。Jリーグも20年が経ちましたし、日本サッカーの歴史を蓄積していくことで、最終的に日本代表も、W杯で一番高い所にたどり着くことができるようになると思います。

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