15歳ムエタイ少女が国内白星デビュー「タイの時より緊張しました」

長谷川亮

15歳の“天才ムエタイ少女”伊藤紗弥が国内プロデビュー戦で堂々の判定勝利を飾った 【t.SAKUMA】

 4歳でキックボクシングを始め、ジュニアタイトル4階級制覇を達成、中学2年生だった2012年12月にはWPMF女子世界ピン級暫定王座も獲得した“天才ムエタイ少女”伊藤紗弥が27日、「ムエローク2014 1st」(東京・新宿FACE)で国内プロデビューを果たした。

タイでは女子世界暫定王座を奪取も

本場ムエタイ仕込の鋭いローとミドルで圧倒 【t.SAKUMA】

 伊藤は1999年1月生まれ、春に高校生となったばかりの15歳。これまで日本でのアマチュア戦(アマでの戦績は93戦88勝)を経てタイで試合を行い、7戦6勝1敗の戦績を残し、この中にはWPMF女子世界暫定王座奪取と一度の防衛も含まれる。同王座は昨年12月の防衛戦で失ってしまったが、春の高校入学を経て、いよいよ“天才ムエタイ少女”の実力が国内でもプロの舞台でお披露目となった。

 マントに花の首飾りをつけ、ムエタイ戦士の出で立ちで登場した伊藤は、14勝1敗の戦績を持つ韓国のパク・ヘヨンと対戦。パクはローキックを起点に攻撃を組み立てようとするが、見切りのよい伊藤はこれをかわし、逆に自身のローとミドルを鋭い音を立て当てていく。パクのパンチをかわし組み合いとなっても、ムエタイスタイルで培った組みの強さからパクをマットに投げつける。

世界王者経験者との対戦を希望

白星発進を飾った伊藤は世界王者経験者の名前を出し対戦を希望 【t.SAKUMA】

 後ろ回し蹴りやバックブローといったトリッキーな攻めを見せるパクを「やりにくかった」という伊藤だが、パクを組み止めて下がらずに体の強さを感じさせ、最後までミドルで追って試合を終了。5Rには足が滑るかあるいは足の異状か、パクがレフェリーの許可を得ずに自軍コーナーへ寄って何ごとか訴え、そこをダウンに取られる場面もあり、伊藤が3−0で文句なしの判定勝利。まだまだ底を見せない実力で国内プロデビューの2分5R=10分間を戦い終え、白星発進を飾った。

「応援が多くてタイの時より緊張しました」とデビュー戦の感想を語った伊藤だが、試合後はちはる(元WPMF&元WMC世界王者)やLittle Tiger(WPMF&WMC世界王者)といった世界王者経験者の名前を出し対戦を希望するなど、天才少女らしい今後の展望を見せていた。

 そのほか、大会の主な結果は以下の通り。

■「ムエローク2014 −1st−」
4月27日(日)東京・新宿FACE

<第14試合 日韓国際戦 61.0kg契約 3分5R> 
○ソル・ドンポム(韓国/世界キックボクシング協会王者)
(3R0分48秒 TKO)
●白鳥大珠(尚武会/WPMF日本スーパーフェザー級王者)

<第13試合 日韓国際戦 46.0kg級契約 2分5R>
○伊藤紗弥(尚武会/元WPMF世界ピン級暫定王者)
(判定3−0)
●パク・ヘヨン(韓国)

<第12試合 WPMFスーパーバンタム級 3分3R>
○高橋茂章(KIX)
(2R0分33秒 KO)
●シンダムM16ムエタイスタイル(M16ムエタイスタイル)

<第11試合 WPMF日本女子バンタム級 2分3R>
○佐々木蝶里(ささき・みり/尚武会)
(判定3−0)
●小田巻洋子(ウィラサクレック・フェアテックスジム)
※30−29、30−28、30−28

<第10試合 WPMF63kg契約 3分3R>
○覇家斗(はやと/ウルフキックボクシングジム)
(1R1分32秒 TKO)
●関屋雅之(チャンデットムエタイジム)

<第9試合 WPMFスーパーライト級 3分3R>
○潮田昌紀(レジェンドジム)
(判定2−1)
●KING MASA(UASCキックボクシングジム)
※28−29、30−29、29−28

<第8試合 WPMF58kg契約 3分3R>
○大野聖(頂上会テアゲネス)
(判定3−0)
●野中大資(TEN CLOVER GYM)
※30−27、30−28、30−28

<第7試合 WPMFウェルター級 3分3R>
○直人(UASCキックボクシングジム)
(判定3−0)
●倉澤和行(ポゴナクラブ)
※30−29、30−29、30−27
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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