リバプール24年ぶりの優勝へ一歩前進 プレミア創設以来最もオープンな三つ巴
10連勝中のリバプールはレコードラッシュ
優勝争いをするマンチェスター・シティとの直接対決に臨んだリバプールは、コウチーニョ(右)の勝ち越し弾で勝利を収めた 【Getty Images】
まずはここまでの状況をまとめておこう。リバプールは開幕から安定した力を発揮し、実は昨年クリスマスの時点で一度首位に立っている。この時は直後のシティ、チェルシーとのアウェー2連戦に敗れ、1週間を待たずしてトップの座を明け渡している。それでも、2014年に入ってからの好調は目を見張る。年明け以降はプレミアで唯一の無敗を守り、ホームでエバートンに4−0、アーセナルに5−1、そして鬼門だったオールド・トラフォードでもマンチェスター・ユナイテッドに3−0で勝利を収め、3月30日にホームでトテナム・ホットスパーを4−0と一蹴し、4カ月ぶりに首位へと戻ってきた。
その間、彼らは様々な記録を打ち立ててきた。2月8日アーセナル戦から現在まで続いている10連勝は、05−06以来となるプレミアでのクラブレコードタイ。ここまで34試合で93得点はクラブ最多記録。残り4試合で10得点できれば、プレミア新記録にも並ぶことができる。個人の記録では、ルイス・スアレスがここまで29得点を挙げ、ロビー・ファウラーが持つプレミアでのクラブレコードを塗り替えた。彼はここまでアシストも12本で、得点&アシスト両方でリーグトップと大車輪の活躍ぶりだ。また、その相棒となるダニエル・スターリッジもここまで20ゴール。リバプールで2選手が20得点の大台に乗せたのは実に50年ぶりの快挙で、頭文字から「SAS」と言われる彼らは2人だけで49ゴールを挙げ、38試合制になって以降のプレミアで最多得点ペアとなった。セットプレーが冴えわたるスティーブン・ジェラードも13得点10アシストと、33歳にしてキャリア初の“ダブル2ケタ”を達成。SASとジェラードはともに絶好調で、2月はスターリッジが、3月はスアレスとジェラードがダブル受賞でプレミア月間最優秀選手に輝いた。とにかく得点が止まらない今のリバプールは、たとえ3失点しても6得点できるチームだ。何をやってもうまくいく。リバプールは、まさにそんな状態だ。
世論はシティ優勝派が多数を占めていた……
3月末、『BBC』(英国放送協会)のWebサイトでは、解説者5人のうち、4人がシティ、1人がチェルシーの優勝を予想した。同じく『ガーディアン』(イギリスの大手新聞)の記者7人による予想記事でも、シティ優勝が4人、チェルシー優勝が1人で、“リバプール推し”は2人だけだった。3月31日付けの『ザ・サン』(イギリスのタブロイド紙)では、元イングランド代表FWアラン・シアラーがこう綴った。
「リバプールのサポーターには申し訳ないが、私はまだシティが優勝すると思っている。ロジャーズのチームは、他のライバルたちのように優勝争いのプレッシャーを経験したことがない。彼らは今、『追う側』から『追われる側』に変わったが、首位に立つと重圧は急上昇する。あらゆるミスが高くつく。あらゆる新聞が彼らのことを書き、あらゆるファンが道で彼らのことを話し、監督は記者会見で大量の質問を受けることになる。それは私も経験したことだ」
優勝争いのプレッシャー。リーグ優勝を経験した選手がいるシティやチェルシーと、それがないリバプールを分ける“違い”として最も懸念されているのが、この要素だ。『テレグラフ』(イギリスの新聞)では元リバプールのDFアラン・ハンセンも、「ここからは“失敗への恐れ”がタイトル獲得に向けた最大の障壁になる」と指摘している。