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大神雄子、中国で得た計り知れない収穫
バスケ人生の転換期となった新たな出会い
優勝後のネットカットで雄たけびを上げる大神。中国で計り知れないほど収穫を得た
優勝後のネットカットで雄たけびを上げる大神。中国で計り知れないほど収穫を得た【小永吉陽子】

 バスケ日本女子代表のキャプテンを務める大神雄子が、12年間在籍したJX−ENEOSをあとにして、中国女子プロリーグ(WCBA)に進出したのは昨年11月のこと。所属チームは北京から500キロ内陸に入った地方都市の山西省にある山西フレーム。3月上旬に終了したファイナルでは、4試合で平均39.88分出場、9得点、5.5アシストをマークしてチームの2連覇に貢献した。アジアのライバル国でキャリアアップを図った大神雄子の姿を追った。

世界中のバスケが経験できる中国

「すっごく面白かった!」

 これが、大神雄子が優勝した直後に発した第一声だった。


「優勝したこともうれしいけれど、中国に来て新しいバスケットを学んだこと、ほとんどの試合にフル出場できたこと、中国という場所でやりきったこと。全部が自信になって、本当に面白くて充実していました」


 優勝チームの儀式であるネットカットが始まると、大神は仲間に揉みくちゃにされながらリング下へと引っ張られた。

「やっぱりシンが最初にカットしなきゃ。最後はマヤだからね!」


 日本と同じ背番号「1」をつけ、日本と同じく「シン」の愛称で親しまれた大神は、日本同様にリーダー格としてチームメートから一目置かれる存在になっていた。司令塔の大神とアメリカ代表のエース、マヤ・ムーア(24歳、183センチ)が軸となって活躍した山西は、ファイナルでライバルの北京を3勝1敗で下して2年連続となるリーグ制覇を遂げた。この地で大神は計り知れないほどたくさんの収穫を得た。


 大神の海外挑戦は今回が初めてではない。2008年から10年にかけてはWNBA(アメリカ女子プロリーグ)に挑戦し、08年にはロスター入りを果たしている。11年以降は右足甲の疲労骨折もあって、オフシーズンは代表活動に専念していたが、12年6月にロンドン五輪への切符をあと一歩のところで逃すと、レベルアップのために再び海を渡ることを決心した。昨秋のアジア選手権において、43年ぶりとなる“アジアチャンピオン”の称号を従えての中国入りだった。


 現在WCBAは、巨額な資本を持ったオーナーたちと国産スポーツメーカーのスポンサードによって、世界でも注目のリーグへと発展を遂げている。FIBAランキング1、2位の米国とオーストラリアの主力選手が参戦し、コーチングスタッフには海外リーグで実績あるスタッフが多く招聘(しょうへい)されている。注目なのは、外国人枠の他に“アジア人枠”があることだ。外国人枠は各チームにつき一枠あるが、同様にアジア人枠も国家代表歴があることを優先に各チームに一枠ある。大神が中国リーグ入りを決意したのもこのアジア人枠を利用し、「アジアにいながらにして、世界中のバスケが経験できる」ことが理由だった。


 また、WCBAのオファーを受けた3チームのうち所属を山西に決めたのも、ヘッドコーチ(HC)のルーカス・モンデロがヨーロッパを制したスペイン代表の指揮官であることに魅力を感じたからだ。「ヨーロッパチャンピオンのコーチのもとで、改めてポイントガード(司令塔)の勉強がしたかった」という新境地への移籍は、大神の闘争本能に火をつけていた。

小永吉陽子

スポーツライター。『月刊バスケットボール』『HOOP』編集部を経て、2002年よりフリーランスの記者となる。日本代表・トップリーグ・高校生・中学生などオールジャンルにわたってバスケットボールの現場を駆け回り、取材、執筆、本作りまでを手掛ける。

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