元「巨人キラー」が明かす攻略法 土肥義弘が推す“後継者”は?
右の強打者が増えた巨人は脅威
巨人は長野ら右の強打者が増えたことで、より抑えにくい打線に 【写真は共同】
ここ数年、巨人は右の強打者が増えました。その中でも村田(修一)選手や長野(久義)選手は右中間に打つのがうまいので、投手にとっては球場との戦いもあります。右打者の外角に投げて、右中間への長打になるのが怖いので、投球の選択肢が減り、打線はつながりが良くなります。
坂本(勇人)選手やロペス選手は打球を引っ張るのがうまく、阿部選手や由伸選手も健在なので、投手としては抑えるのが難しい打線になっていると思います。
――今季からは井端弘和選手と片岡治大選手も加わりましたが?
私が現役時代に「初球にタイミングを外してストライクを取る」と言っていましたが、それを難しくするのは井端選手のようなタイプです。私は元ヤクルトの宮本慎也さんには特に苦しめられました……。
足を大きく上げて、強い打球を打とうとするのではなく、投手にタイミングを合わせてくる打者を混乱させるのは難しいものです。巨人に井端選手と片岡選手が入ったことで、いろいろな投手に対応できる打線になったと思います。
中日・岡田に「巨人キラー」の期待
土肥氏が「巨人キラー」として期待する中日・岡田 【写真は共同】
右打者の内角を突ける左投手から考えました。実績のある投手では阪神の能見(篤史)投手が挙げられます。内角に角度のあるボールを投げられて、ストライクゾーンの出し入れもできます。
これからの投手で推したいのは中日の岡田(俊哉)投手です。昨季は主に中継ぎで66試合に登板して7勝5敗2セーブ、防御率2.79。今季から先発に専念するようですが、内角に角度のあるボールを投げられますし、私が巨人戦で必要だと思う「初球にストライクを取る」という意味でも、攻める精神力がありそうだと見ています。
また、中日には谷繁(元信)兼任監督がいます。谷繁さんは打者がいやなところを徹底的に突く捕手で、それは投手が打席に入っても同じです。私も現役時代にいやな表情を見せると、徹底的に攻められました……。谷繁さんは洞察力に優れていますし、監督としても巨人戦を大事に考えているはずです。
ほかにはヤクルトの村中(恭兵)投手ですね。彼のストレートはカット気味に食い込んでくるので、巨人の右打者の内角を攻めることができると思います。
「最強を抑える」ということはチームにとって重要なので、各球団の投手陣が巨人を相手にどんなピッチングを見せるか注目したいと思います。
<了>
土肥義弘氏のプロフィール
春日部共栄高2年夏に甲子園準優勝。西武でリリーフとして頭角を現し、先発投手に転向した横浜では、巨人戦初登板から8連勝を挙げるなど「巨人キラー」として活躍。2005年には10勝を挙げた。09年に西武に復帰し、11年からは米球界に挑戦。12年にはオリオールズとマイナー契約を結んだが、開幕前に契約解除となった。現在は野球解説者として活躍中。