“J1新入生”徳島が迎えたホーム開幕戦 互いにエールを送るC大阪との関係とは!?
感謝を伝えた柿谷の静かな凱旋
柿谷をはじめ、多くの選手がC大阪から徳島に移籍を果たしており、友好的な関係を築いている 【写真:アフロ】
試合での再会を前に、「(柿谷の)顔を見られるだけでもうれしいし、ましてやピッチで対戦できるのはすごく幸せなこと」と津田は話していた。C大阪の会場入りや柿谷の選手紹介の際には徳島サポーターからも歓声が挙がり、彼のゲートフラッグを掲げた徳島ファンの姿も確認された。柿谷自身は、個人的な感情はチームにとってマイナスになるとばかりに、試合前は冷静に報道陣に対応。「特別な気持ちにはなるけど、優勝を目指す上で勝ち点3を取るだけ。優勝するための1試合という意味では、どこと対戦しても同じ」と“対徳島”に向けて多くを語ることはなかった。試合後も試合前と同様、報道陣に対しては多くを語らず、「勝つことだけを考えて試合に挑んだ。自分の中に(徳島への気持ちは)あるけど、(今ここで)人に言うことではない」と話すに留めた。ただ、当然、心の中には徳島への深い感謝の念がある。試合当日には、地元の徳島新聞の全面広告を使って“ありがとう 徳島”と題した感謝の意を示す粋な演出もした。
試合後には徳島のゴール裏に出向くと、徳島サポーターの「曜一朗」コールに対して頭を下げ、これまでの応援に対するお礼の意を伝えた。これらの一連のやり取りは清々しさに溢れ、実に感動的な光景だった。プレー面では、期待されたような大きな見せ場を作ることはなく、ごくごく静かに凱旋試合を終えた印象だ。徳島は柿谷にシュートを打たせず、得点も許さなかった。対応したDF橋内優也も、「曜一朗(柿谷)本人にも聞いてみないと分からないけど、ボールタッチも少なかったし、自分たちがブロックを後ろに引く分、背後にスペースがなかったとは思っています」と話している。
友好的な関係を築く両チーム
もっとも、守勢に回る展開で相手の攻勢を受け続けた小暮にとっては、ほろ苦い一戦となった。同期のMF南野拓実のシュートをブロックするなど粘り強い守備を発揮する場面もあったが、基本的には攻撃に特長がある選手。チーム全体が押し込まれる展開では持ち味を出し切れない。
とは言え、内容的に低調に終わった開幕戦に引き続き、今節も先発起用されたことを考えると、小林監督の期待の高さもうかがえる。失敗や痛みは若さの特権だ。この一年、日々の小林塾で一皮も二皮も剥け、大きく成長することが期待される。それは、チーム全体にも言えること。J1残留ならぬ、「J1定着」(小林監督)という目標に向け、“J1新入生”の戦いは始まったばかりだ。
<了>