ソチでの活躍を平昌、そして東京へ 華やかに締めくくられた冬の祭典

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日本勢はメダル8個、入賞28と活躍

日本勢のメダル8個は、海外で行われた冬季五輪としては最多。入賞は28、新種目での活躍も光った 【Getty Images】

 今大会の日本勢は、フィギュア男子・羽生結弦(ANA)の金メダルを筆頭に、ジャンプ男子ラージヒル個人での“レジェンド”葛西紀明(土屋ホーム)の銀、複合男子ノーマルヒル個人での渡部暁斗(北野建設)の銀、ジャンプ男子ラージヒル団体の銅など、国外で行われた冬季五輪では最多となる8個(金1、銀4、銅3)のメダル獲得となった。この成果について、橋本聖子・日本選手団団長も「選手が競技に真摯(しんし)に取り組み、監督、コーチがしっかりと選手たちをサポートしてくれた結果」とコメントし、日本選手の活躍を高く評価した。

 目覚ましいのは、新しく追加された種目での活躍だ。6種目が新しく追加されたが、フリースタイルスキー女子ハーフパイプで小野塚彩那(石打丸山クラブ)が銅メダルを獲得したほか、軒並み優勝争いに絡む結果となった。ジャンプ女子ノーマルヒルでは高梨沙羅(クラレ)が4位、フィギュア団体では5位、スノーボード男子スロープスタイルでは角野友基(日産X―TRAIL)が8位と健闘した。
 そうした躍進もあり、すべてを通じての入賞数は28を数え、世界と戦える選手をそろえられた結果となった。

プレッシャーを喜びに感じたメダリストたち

 個人的には、山岳エリアでの取材が多かったのだが、ジャンプ、複合で3つのメダル獲得の瞬間に立ち会えたほか、フリースタイルスキー、スノーボードの会場でも小野塚、竹内智香(スノーボード女子パラレル大回転)のメダル獲得シーンを見届けたことが印象深い。これらの結果は、五輪に限らず、ワールドカップなどの世界大会を転戦し、世界のトップとして戦ってきた選手たちが、五輪の舞台でも実力を発揮したことを意味する。

 そこには「自分のやっている競技をもっとみんなに知ってもらいたい」「これからの若い世代に、世界と戦えるということを示したい」と、自身のメダル獲得よりも、競技を広く知ってほししいという気持ちが感じられた。そのためか、周りの期待をプレッシャーと感じず、多くの視線を集めることに喜びを感じて試合に臨んでいたように思える。

 一方で、前回のバンクーバー五輪では3つのメダルを獲得したスピードスケート陣がメダルなしに終わった。選手たちから一様に「世界との差」という言葉が聞かれた。ショートトラックを含め氷上種目に関しては、今後の強化体制、技術向上の施策などを見直し、世界との差を縮められる選手を再びそろえてほしいところだ。

 次回18年の冬季五輪は同じアジアの韓国・平昌で開催される。環境が近いアジアの都市ということだけでなく、その2年後に控える東京夏季五輪へと、良い形で日本の勢いを引き継ぐためにも、選手たちにはソチで見せた活躍以上の奮起を期待したい。

<了>

(取材・文:尾柴広紀/スポーツナビ)

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