ソチでの活躍を平昌、そして東京へ 華やかに締めくくられた冬の祭典

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ロシアの文化、伝統などを堪能した閉会式

五輪のシンボルは“四輪”から五輪へ。開会式の失敗を逆手に取った粋な演出に会場が沸いた 【Getty Images】

 現地時間2月7日に開幕したソチ冬季五輪が17日間の熱戦を終え、閉会式を迎えた。祭典のフィナーレを一緒に楽しもうと、会場となる4万人収容のフィシュト五輪スタジアムには、満員の観客が集まった。

 盛大な花火とともに始まった閉会式。序盤のアトラクションでは、開会式で完成しなかった五輪の輪が再び“四輪”のままかと思わせる演出があったが、最終的には“五輪”が完成し汚名返上。粋な演出に大きな拍手が送られた。

 閉会式の正式な開会は、ロシアのウラジミール・プーチン大統領と、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が登場して行われたロシア国旗と五輪旗の掲揚から始まる。その後、参加した88カ国・地域の選手や役員などがグラウンドに入場し、勢ぞろいとなった。日本の旗手を務めたのは開会式と同じくカーリング女子の小笠原歩(北海道銀行)。肌寒い気温の中で最後から2番目の登場となったが、笑顔で旗手の行進に加わった。また日本選手団としては、フィギュアの浅田真央(中京大)、高橋大輔(関西大大学院)のほか、女子アイスホッケー“スマイルジャパン”のメンバー、女子カーリングチームが参加するなど、合計119人が閉会式に参加した。

 閉会式のテーマは「REFLECTIONS OF RUSSIA」。ロシアの文化、芸術、音楽などの要素が取り込まれた演出は、ロシア人演出家ダニエレ・フィンジ・パスカ氏によるもの。そこには、世界的に有名なボリショイバレエ、シャガールやカンディンスキーらの絵画芸術、そしてサーカスまでも取り入れられ、幻想的で華やか、さらに壮大な演出となり、会場に訪れた観客を魅了した。

 ロシアを堪能する華やかなショーが終わると、閉会式はクライマックスへ。まずは五輪旗がソチ市長からIOC会長を経て、平昌(ピョンチャン)市長へと渡され、今回の熱は2018年の韓国・平昌へと受け継がれた。そして最大の見せ場となる聖火消灯。ソチ五輪のマスコットとなったホッキョクグマが聖火を吹き消し涙を流すと、金色の花びらが舞う中、再び盛大な花火が打ち上げられた。

 閉会式の最後はロシア人DJが、参加した選手たちを呼び込み、大音量の音楽が流れる中、選手たちとのパーティーを楽しみながら、グランドフィナーレを迎えた。

大「ロシア」コールで会場のボルテージ上がる

 今回の五輪を振り返ると、開幕前にはテロの恐れもささやかれていたが、予算500億ドル(約5兆円)を越えると言われた厳重な警備に守られ、大きな混乱もなく大会は進んだ。宿泊施設の準備遅れや濃霧が発生したことでスケジュール変更を余儀なくされるなど、いくつかの問題は生じたが、それらは1つ1つ解決され、7競技98種目が滞りなく実施され、2856人の選手たちが熱い戦いを繰り広げた。

 大会の運営に関しては、やはり2万5000人も集められたボランティアの力に助けられたと言えるだろう。コースタルクラスター(沿岸エリア)とマウントクラスター(山岳エリア)と2つのメーン地域があり、それぞれの会場は設備が大きく、迷子になってもおかしくないような建物ばかりだった。特に山岳エリアは施設が広く、移動はバスなどを利用しないと行けない場所もあったが、そんな中、ボランティアたちが丁寧に対応し、アクセス方法を教えてくれた(もちろん、英語が通じない人もいたが、それでもすぐに英語が分かる人を呼んできたり、ボディーランゲージで目的まで連れて行ったりしてくれた)。
 観客を受け入れるボランティアたちも、笑顔で「ようこそ!」と気持ちよくあいさつしてくれ、非常に快いものだった。

 各会場での盛り上がりも、観客の入りが上々で、選手も口をそろえたように、「思ったより、盛り上がっている」と試合の雰囲気を楽しんでいた。特にロシア人選手が登場すると大「ロシア」コールが起こり、活躍したときの声援はとても迫力があった。個人的に、最も会場が盛り上がったと感じたのは、ショートトラックの男子5000メートルリレーだ。決勝ではロシアと米国がデッドヒートを繰り広げた末にロシアが勝利。この勝利で韓国からの帰化選手、ビクトル・アンが個人戦との3冠を勝ち取ったのだが、そのときには会場内に割れんばかりの「ビクトル・アン」コールが響き渡り、いつまでも声援が鳴りやまなかった。

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