マラソンランナー・今井の成長と課題 リオ五輪出場の目標に向けて
自ら仕掛け、粘りの走りで2位
別大マラソンで成長の証しを見せた今井 【写真は共同】
今井の今大会の走り、マラソンへの取り組み、そして将来の目標について、本人のコメントを中心に探りたい。
「30キロ過ぎのスパートを狙っていたわけではありません。どういう選手が残るのか、人数を絞る狙いもありましたが、ペースメーカーが外れてけん制し合ったら、それまでの流れが台無しになります。それに自分のこれまでのマラソンは、誰かに仕掛けられるとついていくことができず、不完全燃焼に終わるものばかりでした。自分でレースを動かしたいと、ずっと思っていたんです。これまで30キロ地点では『まだ12キロもあるのか』と感じることが多かったのですが、今日は『30キロでこのくらいか』と、身体的にも精神的にも余裕がありました」
優勝したアブラハム・キプリモ(ウガンダ)が、35キロ手前で一気にスパート。最大で100メートル(約15秒)まで広げられることもあったが、今井は差を詰めたり広げられたりを繰り返しながら、最後は7秒差まで迫った。今井の成長と、現時点の課題が明確になったレースだった。
「キプリモ選手のスパートには正直、ついていくことができませんでした。ただ、そこで“やばい”と思うレースではなかった。あと8キロあったらチャンスはある、自分の中で“まだまだ”と言い聞かせることができました。40キロ付近ではトラックで絶対に逆転してやるという思い、逆転できるというイメージで走っていました。しかし実際には、最後は上体がぶれぶれになってしまい、新たな課題が出てきてしまいました。1位の選手を追い込みながら抜けなかったことは、すごく悔しいですね」
手応えを得たニューヨークマラソン
「ニューヨークはワールド・マラソン・メジャーズということと、アップダウンのあるハードなコースという点を踏まえ、そういったところでも勝負をしたいと思って臨みました。ペースメーカーがいないので、1キロ、2キロの中でもレースに動きが出ます。中間点過ぎのペースアップに対応できませんでしたが、そこから5キロはスパートで離された差のまま粘ることができた。それ以前はやっとゴールした、というマラソンでしたが、ニューヨークは離された後に作り直して、最後まで走りきることができたんです。
(競技以外でも)日本では当たり前のことが、海外では当たり前ではないということも分かりました。文化の差でもあるし、日本の運営が整っていることの証しでもあるのですが、それらを経験してまた一歩、タフさを身につけられたと感じました」