大東チェアマン「大きなチャレンジ」 J3リーグ開催概要発表会見

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力を持っている選手から使う

原委員長は「19歳から22歳の年代をどう鍛えるかが日本サッカー界の課題」と語り、U−22選抜チームの狙いを説明した 【スポーツナビ】

――原委員長と高畠監督に聞きたい。U−22選抜について、全33試合のたびに選手を招集して返すとなると、かなりコストかかると思うが、年間予算はどれくらいか。また選手の選び方だが、例えばFC琉球戦ならば近くの九州の選手を中心に呼ぶというような具体案は考えているか?(元川悦子/フリーランス)

原委員長 お金はいくらかかるか、具体的には言えません。そのお金を、協会とJリーグ本体と各クラブでシェアして、全員で若い選手を鍛えましょうという主旨なんです。代表が今強くなっているのは、間違いなくJリーグができたおかげですから。ただ、この年代では実戦が少ないということで、みんなでお金もアイデアも合わせていこうと考えてスタートしたということです。

 それと、地域性は考慮しません。ただ、開幕戦で沖縄に16人連れて行くとしても、何があるか分からないじゃないですか。例えば所属クラブのメンバーに入らない選手が、クラブにけが人が出たから戻してほしいとなった場合、それこそGKとかどうしても必要なポジションだった場合、当然クラブに返さなければならない。その場合、代わりに呼ぶ選手は「近いほうがいいかな」、というのはあるかもしれない。ただ現実的には地域は考えず、その選手の持っている素材、「この選手は使うべきだ」「この選手には能力がある」というのを、監督やわれわれ技術系のスタッフが見て選んでいくので、決して地域を考えて順番にということではないです。力を持っているであろう選手から使っていきたいと思います。

――そうなるとメンバーが固定化されるのではないか?(元川悦子/フリーランス)

原委員長 固定したいんですけど、例えばJ3で2点、3点を決めたとしたら、クラブとしても「それならこっちで使いたい」ということになるので、固定ができないんですよ。最初のころはそうでもないかもしれないですよ。それでもU−22選抜から抜けて所属クラブで出場するのはいいことですから、クラブで出てもらって次にいいと思う選手に出てもらう。だから、かなり難しい作業になると思いますが、大事なのは選手が伸びること。クラブで出られれば、それはいいことですよね? だからそこはクラブと話していきたい。実際、どうなるかはやってみないと分からない。ただ、高畠監督は試合が終わった後もクラブと連絡を取って、「どうでした」とやりとりを行います。あとはけがを少しでも抱えていると、来て「やっぱりダメでした」というわけにはいかないので、コンディション調整の難しさもあると思いますけど、まあ何とか上手くやっていけるとは思います。

高畠監督 これは代表チームではないので、私の好みの選手というよりかは、将来五輪代表につながる選手を、みんなで話し合って選考していくということですね。

日本が今できることは何なのか

――原委員長に質問。交代メンバーは5名以内というJFLでもやっていないようなレギュレーションが採用されたのは、できるだけ多くの選手を使いたいというU−22選抜のリクエストが反映されたものなのか(宇都宮徹壱/フリーランス)

原委員長 ルールに関しては、われわれが決めたというよりも、Jリーグ全体で決めたと思います。J3は地方のクラブが多いので、ナイター設備がなかったり、夏場でも昼にやらないといけなかったりと、かなり厳しい環境なんですね。あとは出場機会、われわれで言えば5人交代は助かります。呼んだのに出なかったとなったら「クラブに置いておいたほうがよかったんじゃないの」という話になりますから。ただし最終的にレギュレーションを決めたのはJリーグだと思いますけど、さっきも言ったようにハードじゃないですか。そういうことから、決まったんじゃないかなと思います。

大東 できるだけ選手の出場機会を多くしたいというのはありますね。

――原委員長、U−22選抜を作るにあたっていろいろ調整されたと思うが、参考にした海外の事例はあるか? それから特殊な環境下で、このチームがどのような存在になってほしいと思っているか?

原委員長 海外で同じことをやっているところはないです。技術委員会と強化部会で、それぞれのネットワークや、僕も実際に海外まで足を運んでみました。いろんな国が若手育成に関して独特のやり方をやっています。

 例えばポルトガルでは、一時期は若い選手がどんどん出てきていたのに、FCポルトが去年チャンピオンズリーグに出場したときにはポルトガル人が1人しかない。帰化して南米やアフリカ出身の選手が自国枠になると、ポルトガル人があまり出られない。そこでポルトガルがどうしたかというと、FCポルトやベンフィカといったビッグクラブのBチームを、セカンドディビジョンに無理やり入れたんですよ。そうまでして若い選手を使わなかったら、ポルトガルは強くならない。

 ドイツでも、ブンデスリーガに日本人選手が多く出ていますが、それによってドイツの若手に出場機会がなくなる。そうなると3部以下は、23歳以下は何人以上使わないといけないとか、それぞれの国がそれぞれの事情に合わせてルールを作っているんです。イングランド・プレミアリーグもU−21リーグを作って、イングランド人の21歳以下の選手を使い、GKとオーバーエイジ枠は3人までとか、いろいろな施策を行っているんです。

 そういうのを考えると、日本が今できることは何なのかと論議した上で、いろんな意見が出てきた。あるクラブはレンタルで対応します、あるいは提携クラブがあるのでそこに貸しますといった意見です。でも、全部はできないから、じゃあ、出られない若い選手をいくつかの方法で鍛えていけば、「今までよりも短い期間で若い選手が伸びていくのではないか」ということで、いろんなところと話をして、今年からJ3ができるということです。ただ将来的には、18歳以下の高円宮杯をずっとやっているんじゃなくて、Jクラブにセカンドチームを持ってもらって、そこがJ3から参入して2部に上がるとか、そういうふうになっていくのを、いずれは各クラブの強化担当の方にも、やってもらいたいと思います。そうすることで高校年代の選手が早くからJ3でやれるようになれば、若い選手の出場機会はもっともっと増えていくだろうなと。それが王道だろうと思っています。

将来的にクラブ数は増やしたい

大東チェアマンはJ3は12クラブにこだわらないと語り、今後もクラブ数を増やしていきたい意向を示した 【スポーツナビ】

――チェアマンに質問。今年は11クラブ+1の12チームだが、将来的にはどれくらいのチーム数にしたいと考えるか?(大住良之/フリーランス)

大東 当面は準加盟クラブもありますので、審査した結果、一定の基準を確認できれば14とか16に増やせると思っています。それ以降については今後協議していくことになると思います。この11+1にこだわることはないと思います。

――チェアマンに質問。J2ができて15年後にできたJ3は違うロゴになったが、今後J4ができたらまたロゴが変わるのか?

大東 J3のクラブ数がもう少し増えたら、東西に分けたりとか、やり方はいろいろ出てくると思います。J3を増やすのを優先してJ4というのはないんじゃないかなと思います。将来的に全国に100クラブまで増やすということで百年構想がありますし、それぞれの町にそういうクラブができればいいと思います。また各クラブからも、準加盟を含めてJを目指したいという声があるというのは事実です。J3のロゴについては、今はこれを変える気持ちはないです。

<了>

※質問者に関しては、掲載許諾の確認が取れた方のみ明記しています。記名のない方は確認が取れていない方ですので、拒否されている訳ではありません。

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