ベルギー・クラシコで存在感を示す川島=より高いレベルを模索した1年を振り返る

中田徹

引き分けに終わるも首位の座をキープ

ベルギー・クラシコに先発した川島。首位を走るチームの堅守を支えている 【写真:Image Globe/アフロ】

 22日、スタンダール・リエージュ対アンデルレヒトの間で争われる『ベルギー・クラシコ』が行われ、1−1の引き分けに終わった。これでベルギーリーグは20節を終え、スタンダールが勝ち点45で首位。アンデルレヒトは同41で3位となった。

 試合が荒れがちな『ベルギー・クラシコ』だが、今回は非常にフェアな好ゲームになった。スタンダールの平均年齢は23歳半ばほど。アンデルレヒトのそれは22歳強と、若いチーム同士のビッグゲームだけに、中には力を発揮できなかった選手も見受けられた。しかし、彼らのテクニック、スピード、パワーは見どころ十分だった。

 30歳の川島永嗣は、チームメートのイェレ・ファン・ダンメ、アンデルレヒトの守護神シルビオ・プロトと共にピッチ上で最年長。ベテランらしく、『ベルギー・クラシコ』で川島は先制点を許した後の気持ちの切り替えと、2度の好セーブが光った。

「お互い勝ちにこだわった試合だと僕は思いました。今日はオープンなゲームだったと思う。『ベルギー・クラシコ』という意味では良いゲームだった」(川島)

失点後も切り替えて好セーブを見せる

 失点シーンは17分、アンデルレヒトの右サイドバック、アントニ・ファンデン・ボレが自陣からスルーパスを出し、19歳のMFデニス・プラートが右斜め前のスペースへ走り込みながら撃ったシュートを決められた。ゴールから猛然と飛び出して、プラートのシュートコースを狭めた川島だったが、左足で弾き出すことができなかった。

「でも、それ以上に失点後のプレーの方が大事だった」(川島)

 前半終了間際には、MFギヨーム・ジレのヘッドを防いだ後のこぼれ球を、DFシェイク・クヤテに押し込まれそうになった。しかし、川島は逆に倒れながらも粘って足に当て、最後は味方DFローラン・シマンのクリアによってピンチを逃れた。

 そして、55分にスタンダールのFWミヒー・バチュアイの同点弾が決まってから12分後、川島はアンデルレヒトのストライカー、アレクサンダル・ミトロビッチとの一対一を指先で辛うじて弾きゴールを死守した。

「結構早い時間帯に失点してしまったし、2点目を与えることはできなかった。集中して抑えるしかないと思っていたし、DFも体を張って守ってくれていた。最後は自分が仕事をしないといけないという気持ちでいた。そういうところで仕事ができたのは良かった。試合の中で点を取られること自体はあり得ることなので、90分間の中でどうやって仕事ができるのかが大切だと思う」(川島)

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著者プロフィール

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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