マー君の快進撃を支えた“愛妻メシ”――『アスリートフードマイスター』とは何?

ベースボール・タイムズ

マエケン夫人や青木夫人らも取得

スポーツ選手の奥さんらに多く保有者がいる『アスリートフードマイスター』。“スポーツのための食事学”として今後さらに注目されそうだ。写真はまい夫人(右) 【写真は共同】

 2010年7月に基礎コース、2012年3月に実践コースがそれぞれ開講し、2013年11月末現在で計1739人が『ジュニア・アスリートフードマイスター』、計68人が『アスリートフードマイスター』の資格を取得している。
 著名人では、里田まいさん以外にも、野球界では成嶋早穂さん(夫・広島の前田健太)、青木佐知さん(夫・ロイヤルズの青木宣親)、稲葉玲奈さん(夫・北海道日本ハムの稲葉篤紀)、野球界以外でも、長手旬香さん(夫・プロゴルファーの谷原秀人)、市橋有里さん(マラソン世界選手権セビリア大会・銀メダリスト)、道端カレンさん(モデル)、加藤ミリヤさん(シンガーソングライター)などが『ジュニア・アスリートフードマイスター』の資格を取得しており、高萩理奈さん(夫・サッカーサンフレッチェ広島の高萩洋次郎)は、実践コースの『アスリートフードマイスター』の有資格者として、夫の活躍を力強く支えている。

――受講生、有資格者はどのような方が多いのでしょうか?

「現在、9割方が女性で、男性は1割ほどですね。年齢別では30代が最も多いです。ご主人やスポーツをされているお子様のサポートをする目的で受講される奥様方が多いですね。もちろんご自身が趣味でスポーツをされていて、マラソン大会などで良い結果を出したいということで受講される方もたくさんおられますし、40代や50代、60代の方もいらっしゃいます。男性では、少年野球のコーチなどで子供たちを指導する立場の方が多いですね」

――資格を取得するためにはどのような手順を踏めばよろしいのでしょうか?

「基礎コースのカリキュラムは全4講義で、1コマ1時間半の計6時間。1日で受講される場合は、朝の10時から夕方の6時過ぎまでというスケジュールで、講座終了後の3、4週間後に記述式の修了試験を受けていただく形になります。その他、毎週通う形のものや通信制でも受講できます。通信制はDVDで学んでいただくのですが、DVDだと繰り返し見ることができるというメリットがありますので、通信制を希望される方も多いですね。ただ、通信制の場合も試験だけは最寄りの会場まで来ていただくことになります」

――試験の合格率はどれほどになるのでしょうか?

「基礎コースの合格率が80〜90パーセント、実践コースだと50パーセントほどになります。実践コースは年に2、3回の開講で、試験は年に4回実施。筆記試験に加えて面接があります。実践コースを受講するためには、基礎コースであるジュニアの資格を取得していただく必要があります。まずは基礎コースに合格した上で、ご自身や家族の食生活だけでなく、さらに深い知識を身に付けて個々のアスリートに本格的なアドバイスをしたいという方が実践コースを受講されています」

選手の夢をサポート“アスリートフード”という考え方

 里田さんが当講座を受講したのが2012年の2月。当日は教室の最前列の席に座り、講師の話に熱心に耳を傾け、講義終了後にも講師に対して自ら積極的に質問して実践的なアドバイスを仰いでいたという。この“愛妻メシ”が、田中将大の今季の快進撃を支え、日本シリーズでの連投劇を可能にしたとも言える。
 今後、日本に多くの“愛妻メシ”が誕生し、その数が増えていくことで、選手のパフォーマンス向上、さらには日本スポーツ界の底上げにつながるはずである。すでにその“里田効果”が現れているという。

――里田さんが有資格者だとことが報道されるようになってから変化はありましたか?

「はい。里田さんのことがメディアに出た8月は、資料請求が通常月の10倍ほどなりました。それ以降も受講を希望される方が増えておりまして、今は各講義ほぼ満席の状態で、講座増設という形で対応させていただております。田中投手などは普段から相当な量のエネルギーを必要とするはずなのですごく大変だと思いますけど、ブログの写真などを拝見しても里田さんは非常にしっかりと考えて、頑張っていらっしゃるなと思います。あれだけの品数と量と作ろうと思えば、時間配分なども考えないといけないでしょうし、買い物もそうですけど、洗い物も大変なんじゃないかなと思います」

――今後、さらに“アスリートフード”という考えが日本に広まり、日本スポーツ界全体のレベルアップにもつながれば良いですね?

「そうですね。管理栄養士というのは、欧米諸国ではドクターと言われる立場の方と同じように扱われていることが多いのですが、日本ではまだまだその重要性というのが浸透していないというのが現状です。少し前までは『とにかくお肉を食べればいいんだ』とか、試合の前には『ゲン担ぎでカツ丼を食べろ』という考えがありましたからね。でも今はプロ選手の方に限らず、多くの方が食事に対して高い意識を持たれるようになって来ていると感じています。東京五輪の開催も決まりましたし、子供たちの成長を手助けして、夢をサポートする食事というものがもっともっと広まってくれることを願っています」

<了>

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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