NPB・MLBも注目!日本初トライアウトリーグの可能性とは

寺下友徳

穏やかな南国で開かれた「日本初」の試み

南国・高知で日本で初めて開催されたトライアウトリーグ「Winter League」。NPB経験者の斎藤圭祐(元巨人)ら計46名が参加し、NPB・MLBのスカウト陣にアピールした 【寺下友徳】

 11月13日。2日前から寒波が襲来し一気に気温が下がったとはいえ、日中はいまだ暖かな日差しが降り注ぐ「南国・高知」西南部の四万十市。その郊外にある四万十スタジアムではトライアウトリーグ「Winter League2013」が最終日を迎えようとしていた。

 このトライアウトリーグは今春、第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で侍ジャパンに選出された千葉ロッテの角中勝也(高知ファイティングドッグス)、今秋のドラフト会議で中日から2位指名を受けた又吉克樹(香川オリーブガイナーズ)らが所属した独立リーグ「四国アイランドリーグplus」主催による日本初の試み。四国アイランドリーグ所属選手・練習生、元NPB選手、社会人クラブチーム所属選手、大学生・高校生・海外リーグでプレーした選手といった、さまざまな経歴を持つ日本人選手が37名、そして米国・スペイン・フランスから国際性豊かな外国人選手が9名。計46名が参加し、4日から9日間、四万十スタジアムと土佐清水球場、大方球場の3球場を使って開かれた。

 雨天中止の10日を除き、連日の紅白戦(9イニング制)で、最終日における各選手の疲労は明らか。それでも選手たちはネット裏に詰め掛けた各球団関係者に向け、自らの特長を出してのアピールを続けた。

入れ替わり立ち替わり訪れたNPB・MLB関係者

スペイン代表にも名を連ねたバルボアら外国人選手も参加。NPBのスカウト陣は優良外国人の獲得へ向けて熱視線を向けていた 【寺下友徳】

 実はこのトライアウトリーグ。注目しているのは四国アイランドリーグの関係者ばかりではない。NPB・MLBの関係者も期間中、入れ替わり立ち替わり、ネット裏に顔を出していた。では、彼らはこのトライアウトリーグをどのように見ているのだろうか? 最終日、スタジアムに足を運んだ2名の球団担当者に聞いてみることにした。

「外国人に門戸が開かれているところが素晴らしいと思います。国内開催だと見にいくことも簡単ですし、日本にトライアウトを受けに来る時点で外国人は相当な覚悟を持ってやってきていますから」

 こう語るのはオリックス・バファローズ編成部国際グループ課長の鈴木陽吾氏である。過去、同球団は2010年にBCリーグ・群馬ダイヤモンドペガサスからフランシスコ・カラバイヨ外野手を、昨シーズン途中には四国アイランドリーグ・香川オリーブガイナーズからアレッサンドロ・マエストリ投手を獲得するなど、国内独立リーグから優良外国人を獲得。よって、このトライアウトリーグも当然チェックの対象となるわけだ。

「どうやって外国人を取るかと考えた上での新たなルートになる可能性があると思います」と鈴木氏はトライアウトリーグの今後に大いなる期待を寄せていた。

 逆にMLBの場合、ポイントはNPBドラフトの対象から漏れた日本人選手になってくるようだ。かつては広島・横浜で内野手としてプレーし、昨年はダルビッシュ有の専属通訳を務めた古河有一テキサス・レンジャーズ環太平洋地域コーディネーターは、「今回がスタートであることは間違いない。1年1年良くなっていけば、良い選手も増えると思う」と話しながら、日本人投手が登板すると、すかさずスピードガンを手にしていた。

 今回に関しては、すぐにトライアウトリーグ参加選手から獲得の動きはなさそうだが、15日に四国アイランドリーグ4球団が交渉権を獲得した8選手を中心に、継続的に追える選手をチェックできた部分ではNPB・MLBにも一定のメリットがあったと言えるだろう。

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著者プロフィール

1971年、福井県生まれの東京都東村山市育ち。國學院久我山高→亜細亜大と進学した学生時代は「応援道」に没頭し、就職後は種々雑多な職歴を経験。2004年からは本格的に執筆活動を開始し、07年2月からは関東から愛媛県松山市に居を移し四国のスポーツを追及する。高校野球関連では「野球太郎」、「ホームラン」を中心に寄稿。

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