ももクロ百田夏菜子は、長嶋茂雄である=演出家・佐々木敦規氏インタビュー

スポーツナビ

「何万人に一人生まれる“カリスマ”なのかなぁ」

――しかし、百田さんって、最近は言動がさらに突き抜けてきていると言いますか、佐々木さんもツイッターで「トンパチっぷりがひどい」というようなことをつぶやかれていましたが、何と言っていいのか、凄いなぁという言葉しか出てこなくなりました。

「あのね、これは本当によく言うんですけど、百田は長嶋茂雄さんなんですよ」

――あ! これは僕もですね、ももクロちゃんのことを知らない人たちに分かりやすく説明するときに、「赤担当のリーダー、百田夏菜子は長嶋茂雄である!」とよく言うんです。だから、佐々木さんが同じことをおっしゃられていて、すごくうれしいですね。

「ええ、それは間違っていないですね。だから、感性なんですよ。たとえば、こと野球になったら長嶋さんは、これ何言ってるんだ?ってくらいに体でバーン!とかビュッ!とか表現する、それといっしょなんですよ。だから、うまく言葉にできないけど、でも何か物凄いカリスマ性があるじゃないですか。こと野球に関しては神様みたいな人だけど、他に何かしゃべらせたら言動が面白かったりで、長嶋さんってそうやってイジられてきた。それとまったくいっしょなんですよね。
 吉田豪さんなんかもよく言ってるんですが、アイドルグループのセンターとしてはピカイチなんですよ。でも、それ以外は何もない、というね(笑)。だから、台本覚えも一番悪い。台本通りにしゃべらせようとしても、どうしようもない。だけど、台本がなくて自由にしゃべらせたときに、一番いいことを言うのは百田なんですよ」

――それが不思議なんですよね。しかも順番でいうと一番最後にしゃべるから、ある程度のことは他の4人がしゃべっちゃってる。なので、「ありがとうございましたー」とだけ話すだけでも、百田さんのキャラなら許されると思うんです。でも百田さんは真剣に向き合って、自分の言葉で話し始める、そうするととてつもなくいい言葉を話すんですよね。

「いいこと話しますよね。だから感性なんでしょうけど、本当に感性だけでこの人は日々過ごしてるんだろうなぁと。他のメンバーは違うんですよね。玉井なんかはすっごく器用な子で、逆に考えて考えて、考えすぎて分からなくなっちゃったりとか、あーりん(佐々木彩夏/ピンク)も早見がやめたときにMCを担当することになって、でも自分のブリブリのあーりんというキャラクターと、ちゃんとまとめなきゃいけないMCの部分をどうすればいいかと考えたときに、すごくさんざん苦労した。でも最近はボケもできるし、MCもできるし、自分のキャラクターもできてきた。高城(れに/紫)は高城で、ああいうキャラがあるでしょ。それで、一番人間っぽいのは(有安)杏果(緑)。杏果は杏果で自分なりのキャラクターを模索しているところなんですけど、夏菜子というのはキャラとか全然関係ない。他の4人はやっぱり自分のキャラとか自分の方向性とか悩むし、どうすればいいのか常に悩んでいるんだけど、アイツは1個も悩んでいないはず。そんなことを悩む子じゃないというか、そのままをやっているだけだから。ですから、感性の人ですよね」

――だから、百田さんの言葉は僕らの感情に直に流れてくるというか、グワッと直接つかまれている感じがするんでしょうか。

「そうなんじゃないですかねぇ」

――何気ない言葉にもすごく感動するというか。これも『ももクロChan』で流れていたものなんですが、日産大会前の円陣で百田さんが「前から知り合いの人も今日初めて会った人も関係ねぇよ! チームだー!」って言った言葉が、すごく感動してしまったんです。僕自身でも何が何だかよく分からないのですが……。

「それが“カリスマ”なんでしょうねぇ。たぶん僕らが持っていない、何万人に一人生まれる“カリスマ”なのかなぁ。K−1で言うと一時代の魔裟斗とか、やっぱり長嶋茂雄さんとか。本当に考えているのか、考えていないのか分からないけど、そのひとつひとつの言葉が刺さるというのは、カリスマが持ったDNAに何か秘密があるんじゃないですかねぇ(笑)。僕らは考えて考えて、いいこと言おう、いいこと言おうと思ってもたいしていいことが言えないのといっしょで、考えてないから逆にいいことが言えちゃうのかもしれない。たとえば、僕が何か台本を書いて夏菜子に渡してもロクなことがないんですよ。これはもう分かってきたことだから、夏菜子に関してはいっさいフリーでしゃべってくださいと言ってます」

「あの5人は本当に凄いチームですよ」

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――そう考えますと、武藤さんのナチュラルボーンジーニアスのように、百田さんはナチュラルボーンセンターですね。

「本当に、ナチュラルボーンセンターですね(笑)」

――そんな百田さんがいて、しっかり脇を固める4人がいる。その4人も主役になる場面が何度もあって、本当に不思議な5人組だなぁと思います。

「いやあ、本当に凄いですよ。僕はやっぱりバラエティ方面で見ちゃうので、誰がツッコミで誰がボケなのかなぁというのがあるんですけど、やっぱり3年近く彼女たちを見てきて、お笑いのイロハみたいなものとか方程式みたいなものを教えてきたんですが、今は結局全員がボケられますからね。全員ボケに回れる。もちろん、全員ツッコミもできるんですけど、基本ボケが5人ともできるのは大きいなぁと思いますね。
 本当に今までは高城がひとりボケという形だったんですけど、夏菜子が天然のアホなのでそこでボケになれる。自然と黙っていても、台本にないことでもボケられる。それで、あーりんが最近はいいボケができてきているでしょ? 自分だけかわいがるというね。あとは玉井なんかは、実は一番バラエティのセンスがありますからね。で、杏果もスイッチが入ったときの爆発力はすごいですから。本当にあの子はスイッチが入ったときはすごい。なかなかスイッチオンにしないんですけど、でも入ったときの爆発力はメンバーで一番すごいと思います、エンターティナーとしての。そういうところで、あの5人は本当にバランスが取れていますし、凄いチームですよ」

――なるほど。あ、なんだかスポーツとは関係のない話に脱線してしまってすみません。

「いやいや、全然大丈夫ですよ。それよりこういう話題になっちゃって、スポーツナビでは記事にできるの(笑)?」

――はい、何とか記事にします(笑)。そして今後は「ももいろクローバーZには長嶋茂雄がいる。赤担当でリーダーの百田夏菜子は長嶋茂雄である!」ということを、スポーツナビではもっと広くアピールしていきたいと思います。

「いいですねぇ。本当に百田は長嶋さんになりますよ。それをどんどんアピールしていってください」

――それでは、本日は予定を大幅に越すぐらいの長い時間をお付き合いいただき、本当にありがとうございました。

「いえいえ、こちらこそありがとうございました」


<取材後記>
3回に渡って掲載した演出家・佐々木敦規氏への「ももクロ×スポーツ」インタビュー。読者のみなさんにとっては、なぜスポーツナビがももクロを? という疑問もあったと思いますが、このロングインタビューをご覧いただけた方は「なるほど」とうなずいてくれたのではないかと思います。ももクロとスポーツの絶対絶妙なまでの親和性、ハマり具合。ももクロ陣営もコンサート、ライブのことを『大会』と呼び、それはまるで本当にスポーツイベントのようです。
佐々木さんのこのインタビューを読んで、少しでもももクロちゃんたちに興味を持っていただければ幸い。次はぜひ『大会』に足を運び、アスリートのように弾けるももクロちゃんたちを応援し、スポーツと変わらない熱を体感してみてはいかがでしょうか?
スポーツナビでも、いつか、ももいろクローバーZの『大会』を速報する日がくるかも……!?
そして、ももクロちゃん情報を追ってきたら初めてスポーツナビに流れ着いたというモノノフのあなた! スポーツっていうものも、なかなかいいもんでしょう?

佐々木敦規/ささき・あつのり

1967年、東京都出身。フジテレビを中心に料理、K−1中継、バラエティ、情報番組などの演出を担当。
現在は制作チーム「Film Design Works」の代表としてテレビ朝日「ももクロChan」、ももいろクローバーZのライブ演出やMV、ライブDVD制作などにも関わる。

ももいろクリスマス2013 ようこそ極寒の世界へ(仮)

日時:12月23日(月・祝)
会場:埼玉・西武ドーム

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著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

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