ももクロ百田夏菜子は、長嶋茂雄である=演出家・佐々木敦規氏インタビュー

スポーツナビ

長嶋茂雄氏の後継者はももクロの赤・百田夏菜子!? 【写真は共同】

 8.4ももいろクローバーZ日産大会を題材とした特別企画『ももクロ×スポーツ』。演出家・佐々木敦規氏へのインタビュー最終回は、日産大会を飛び越え、かつて佐々木氏が携わってきた総合格闘技イベント「PRIDE」とももクロの共通点、モノノフ(ももクロのファン)とスタッフがももクロに捧げる無限の愛、そして佐々木氏から見たメンバー5人の現在にまで話題が及んだ。

 驚異的なスピードで大きくなっていくももクロに捧げるスタッフの愛情は、一時代を築いた総合格闘技イベント「PRIDE」と同じ巨大さ。――コードは『愛』だ――そんなスタッフの愛に支えられ、一方で、想定を軽々と超えていく5人のポテンシャルに、いつも佐々木氏は驚かされるという。

 その中で出てきた「赤担当のリーダー・百田夏菜子は長嶋茂雄である」という言葉。ミスターの後継者がついに現れた……いや、その前に、絶対不動のセンターにして愛すべきドアホウ・百田夏菜子とはいったい何者なのか? 野球ファンはもちろん全スポーツファン必読のインタビュー最終回だ。

 え? どう考えてもスポーツナビがももクロを取り上げるのはおかしいって? ここまで読んでくれた読者なら、きっとこう言うはず。「ももクロって、やっぱいいよね!」

「ももクロはプロレス。“点”じゃなくて“線”」

――ペースを考えずに全力で走ってきて、2013年も後半戦に入ってきましたが、ももクリ、紅白に向けて今年はどんなゴールを見せてくれるのか、本当に楽しみです。

「そうですね。一応、単独公演は締めがももいろクリスマスになりますから、春に音楽というものを体感して、生バンドと共演して音楽の喜びを知って、夏にはエンターティナーとして日本を元気にするということに目を向けて、今度は冬。ももクリというのはメンバーにとっても思い入れがやっぱり違うので、すべての集大成が結局ももクリなんですよね。このももクリで今までのすべての集大成をね、音楽、エンターティナー、アイドル、すべての方面の総決算がももクリなので、2013年すべての要素をそこに詰め込むという気持ちでいますね。今の彼女たちの、アーティスト、エンターティナーとしてのすべてのクォリティをすべてそこに出し切るというライブになるんじゃないかなと思います」

――佐々木さんにとっても大きな仕事になりますね。

「僕は本当に、お客さんの批判を最小限に抑えるのが(笑)」

――ハハハハハッ(笑)

「まあ、まあ、それは冗談なんですが(笑)。でも、“冬の西武ドーム”というのが最大の敵なので、これはもうメンバーもそうですけど、お客さん、スタッフの意気が下がらないように、うまくリードしていきたいなと思います。でも、今、なんとなくプランを出し始めてますが、みんな楽しめるようなライブになるんじゃないかなと思っています。楽しみにしていただきたいなと思います」

――本当、楽しみですね。一方でメンバーによっては「ももクリは集大成ではなくてスタートだ」という人もいますよね。確か、玉井詩織(黄色)さんがそんなことを言っていた記憶があるのですが……

「ああ、玉ちゃんが言ってますね」

――ですから、ももクリはゴールであり、新たなスタートでもあるのかなと。

「そうですね。一番最初の単独ホールコンサートがももクリだったので、玉ちゃんにはそういう意味合いがあるのかなという気がしますね」

――そう考えますと、ももクリで終わり、というのではなく次から次と新しい仕掛けがどんどん来ますから、本当に目が離せなくなります。

「いつも言ってますが、ももクロはプロレスといっしょですからね。“点”じゃなくて“線”なので。この点と点を結ぶその線がももクロにはずっと今までもあったから、冬の西武ドームを点で終わらせないためには、次の点をどこに置くかということですね。それが玉井で言うスタートだと思うんですよ。だから、2013年の集大成を見せながら、それでハッピーエンドというか、ハイそれで終わりというわけではなくて、今度その先に何が見えるかというものも、ももクリで提示しなければいけないと思いますね」

――そこが追っかけているモノノフさんにとっても面白いところなんでしょうね。

「全部これはプロレスから学んだことですからね(笑)」

――武藤敬司さんも「点を線に」って、しょっちゅう言っているような気がします(笑)。ただ、これはマネージャーの川上(アキラ)さんであり、佐々木さんの手腕もあるからだと思いますが、今までの点がすべて線でつながっているのがももクロちゃんのストーリー、歴史の面白さなのかなと思います。

「だから、期せずしてというか、僕は演出家なのである程度の想定とかプランニングとかはするんですが、こういう仕掛けをしたらこうなるだろうなというところを、メンバーは結構はるかに超えちゃうんですよね。僕は裏で映像もやっているから、『ももクロChan』とかのドキュメンタリーで追っかけていても、予想していない展開になったりとか、予想をはるかに超える流れが生まれたりとか、本当に神がかっているんですよね。自分で作っているものをこういう風に言うのはアレなんですけど。
 たとえば、歴史で言うと、Zepp東京3回まわし(2011年7月3日、2時間ライブを1日3公演)のときに、2回目が終わってへこたれているわけですよ。結構体力がきついなというときに、いきなり早見あかり(2011年4月10日に脱退)が応援しに来るんですよ。そこで早見に元気をもらって、5人は3回目のステージに行けるとか、そんなの僕らが演出してどうこうじゃないんですよ。あとは、たとえば東京タワーでフリーライブ(2011年7月31日)をやったときに、いきなり『オレンジノート』の音源が止まったんです」

――伝説の東京タワーライブと言われている、あの名シーンですね。

「あれは『演出でやったんだろ?』って散々言われましたけど、そんなことやるわけがない。それで、ヤバイ、どうしようってなったときに、メンバーは普通にアカペラで歌いだした。そういうことができる子たちだから、僕ら演出家や運営とかマネージメントが考えているものを、今まではるかに超えてきたんですよ。だから、これからどうなるか分からないですが、そういう素質を持った人たちなので、僕らが考えていること以上のものが真剣勝負の中に生まれてくる。えー!?っていうものが。だから、ドラマが生まれて、どんどん線が伸びていくという感じがしますね」

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