宇佐美貴史がガンバで放つ圧倒的な存在感=活躍を支えるドイツで得た身体の強さ

高村美砂

G大阪への復帰は考え抜いて出した結論

自分のサッカーのために出した古巣復帰の結論。宇佐美はその答えを証明するために結果を出す 【(C)J.LEAGUE PHOTOS】

 覚悟を秘めたガンバ大阪への復帰だった。

 ドイツの名門、バイエルンからオファーを受けて、初の海外移籍を実現させたのは11年の夏。「いつかバロンドールを取りたい」という大きな目標を掲げて日本の地を旅立った宇佐美貴史だったが、今夏、わずか2年でJリーグ復帰を決断する。そんな彼に向かって「なんでブンデスリーガからJリーグの、しかも2部のG大阪に戻るんだ?」「宇佐美も落ちたな」と心ない言葉を投げかける人もいたそうだ。だが、宇佐美の心は揺れなかった。自分と向き合い、自分のサッカーのために考え抜いて出した結論だからこそ、そうした声に惑わされることはなく、ただ、自分が出した答えに胸を張り『結果』を出すことだけに集中した。

 不安はなかったと言えばうそになる。久しぶりのJリーグ、そしてG大阪のサッカーに適応できるのか。周囲の期待に応えることができるのか。そして何より、自分のサッカーを今一度取り戻すことができるのか。Jリーグへの出場が可能になる、7月20日のJ2リーグ25節・ヴィッセル神戸戦までの約1カ月間、宇佐美の脳裏にいろんな考えが浮かんでいたのは事実だ。G大阪への復帰から2週間。彼がふと漏らした言葉を思い出す。

「G大阪では、ボールを触る回数も多いし、動けばどんどんボールが出てくる。その分、僕自身も1回のチャンスに固執し過ぎることなく、周りを冷静に見極めた上で、ベストなプレーの選択をすることができる。これはドイツ時代にはなかった感覚ですからね。本当に今はサッカーが楽しい。ただ同じことが公式戦でもできるのかと考えたら未知ですから。もちろん、僕自身は『やれる』と思ってプレーしていますよ。だけど、『やれる』という思いがすんなり結果に結びつくとは限らない。だからこそ自分に期待をする一方で、自分に失望しないかもちょっと心配です(笑)」

答えを出した初戦

 だが、そんなプレッシャーを払拭(ふっしょく)するように、その神戸戦で宇佐美は、プロとしては自身初の1試合2ゴールを挙げてチームの勝利に貢献する。ドイツ・ホッフェンハイムでのシーズン終盤は全く試合に使われなかったこともあり、長く公式戦の舞台から離れていた。試合勘の部分でも、フィジカル的にも決してパーフェクトな状態とは言い難かったが、それでも宇佐美はピッチで答えを出した。

「ドイツでの2年間を周囲の人はどう判断するか分からない。でも僕自身は多くのことを学んだ時間だったと思っているし、プレーヤーとしてもいろんなことを鍛えられたと思っている。でも、ここはプロの世界。結果を出せなければ『宇佐美も口だけだな』となるだろうし、ドイツでの2年間も否定されてしまう。だからこそ、『結果』が必要だと思っていたし、そういう意味では、神戸戦でゴールという結果を出せたのもうれしかった。ただ、1試合では意味がない。ここから先もコンスタントに結果を求めながら戦っていきたい」

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著者プロフィール

関西一円の『サッカー』を応援しようとJリーグ発足にあわせて発刊された、関西サッカー応援誌『GAM』『KAPPOS』の発行・編集に携わった後、同雑誌の休刊に伴い、1998年からフリーライターに。現在はガンバ大阪、ヴィッセル神戸を中心に取材を展開。イヤーブックやマッチデーブログラムなどクラブのオフィシャル媒体を中心に執筆活動を行なう。選手やスタッフなど『人』にスポットをあてた記事がほとんど。『サッカーダイジェスト』での宇佐美貴史のコラム連載は10年に及び、150回を超えた。兵庫県西宮市生まれ、大阪育ち。現在は神戸在住。

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