宇佐美貴史がガンバで放つ圧倒的な存在感=活躍を支えるドイツで得た身体の強さ
「ピッチの内外で輝き続けなければいけない」
そう言えば、その岡山戦後、微笑ましい光景が見られた。この日のkankoスタジアムには同スタジアムの最多動員記録を塗り替える1万8269人もの観客が詰めかけ、ホームチームの岡山はもとより、G大阪にも多くの声援が贈られたが、試合後もそのフィーバーぶりは収まらず。G大阪の選手が乗り込む移動バスの近くには、サインを求める多くの人だかりが。そんなファンの姿を目にした宇佐美がバスに乗り込もうとする直前に足を止め、チームスタッフに声を掛けたのだ。
「バスの出発は何時ですか?」
しかも、その時間を確認し「あと5分はありますね」と返事をすると、一人、スタスタと人だかりの元へ。その後は、約7分間にわたって、黙々と差し出された色紙やグッズにサインをしたため続けた。その姿に復帰にあたって彼が語った言葉がよみがえる。
「海外に行って、自分がこれまでどれだけ多くの人に支えられ、応援されてプレーしてきたのかを思い知った。しかも、気持ちよくドイツに送り出してもらった上に、今回こうして復帰するにあたっても本当にたくさんの人が温かい声を掛けてくれたり、声援をおくってくれている。その人たちに感謝の気持ちを伝えるためにも、僕はピッチの内外で輝き続けなければいけないと思っています」
プレーに幅が生まれ、いろんな仕掛けができるようになった
中でも目を引いたのが、以前にJリーグでプレーしていた際には見れらなかった身体の強さだ。そう言えば、以前、ドイツでの2年間における『収穫』として「筋トレや実際のトレーニングの中で、身体の強さを身につけたせいか、コンタクトプレーを恐れなくなったこと」を挙げていた宇佐美だが、復帰戦からここまでの8試合で7ゴールという驚異的な数字を残し続けているのも、そうした身体の強さを手に入れたからこそ。それによって、プレーに幅が生まれ、ドリブル一辺倒ではない、いろいろな仕掛けができるようになったことが、今の活躍を支えていると言っていい。といっても、まだ8試合。彼にとっては新シーズンが始まったばかりだと考えるなら、ここからの先の試合でこそ、彼の真骨頂というべきプレーがもっと楽しめるに違いない。
<了>