ウルグアイ戦に柿谷、豊田を抜擢した狙い=W杯へ向け“意外性”を求めた変革

北健一郎

W杯に向け日本の方向性を占う人選

DFラインの背後を突く鋭い動き出しと、巧みなファーストタッチが特徴の柿谷。技術の高さは、これまでの日本人FWにはないものだ 【Getty Images】

 8月14日のウルグアイ戦がザックジャパンの“本当のスタート”になるかもしれない。コンフェデレーションズカップ(コンフェデ杯)開幕前、アルベルト・ザッケローニ監督はこのように宣言していた。

「コンフェデ杯が終わったら、全員がスタート地点に戻り、そこから競争が始まることになる」

 8月8日に発表されたウルグアイ戦のメンバーには、東アジアカップで代表デビューを飾った柿谷曜一朗、豊田陽平、工藤壮人、山口螢、青山敏弘、森重真人の名前があった。

 ウルグアイというワールドクラスの強豪国を相手に、日本がどのような戦いを見せるのか――。主力メンバーも合流した中で迎えるウルグアイ戦は、1年後のワールドカップ(W杯)に向けた方向性を占うものになるだろう。

 その中でも最も注目を集めるのが1トップの人選だ。ほかのポジションは従来の主力選手が選ばれているのに対し、1トップに関してはザックジャパン発足当初からレギュラーを務めてきた前田遼一、2番手のハーフナー・マイクとスタメン候補が外れている。

 彼らに代わって1トップを務めることが予想されるのが、東アジアカップでこのポジションで起用された豊田と柿谷の2人だ。興味深いのは豊田と柿谷は大きくプレースタイルが異なることである。

求められる前田、ハーフナーに代わりうる人材

 豊田は典型的なセンターフォワード(CF)タイプだ。ディディエ・ドログバをもじって“トヨグバ”というニックネームをつけられるように、フィジカルコンタクトは日本人離れしていて、相手を背負った状態でボールをキープすることができる。最大の武器はヘディング。クロスボールをDFと競り合いながらもゴールにねじ込むのが得意のパターンだ。

 守備面での献身性も高く、1試合を通して相手にプレスをかけ続けることができるのも豊田の強み。スタメン起用されたオーストラリア戦ではフル出場を果たし、90分間最後まで足が止まることはなかった。

 一方の柿谷は豊田のようなポストプレーヤーではなく、よりフィニッシャーに特化したタイプと言える。DFラインの背後を突く鋭い動き出しと、ファーストタッチでボールを思い通りのところに置ける技術の高さは、これまでの日本人FWにはないもの。

 また、東アジアカップでサイドからのクロスをニアで合わせて決めたように、FWとしての得点パターンを豊富に持っているのも柿谷の強み。守備面やスタミナ面など課題もあるが、ストライカーとしてのセンスに疑いの余地はない。

 ザッケローニ監督は前田とハーフナーを選ばなかったことについて、「マイクはけが明けだし、前田はまだコンディションが上がっていない」と説明したが、1トップに彼らに代わりうる人材を求めているのは間違いないだろう。

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著者プロフィール

1982年7月6日生まれ。北海道旭川市出身。日本ジャーナリスト専門学校卒業後、放送作家事務所を経てフリーライターに。2005年から2009年まで『ストライカーDX』編集部に在籍し、2009年3月より独立。現在はサッカー、フットサルを中心に活動中。主な著書に「なぜボランチはムダなパスを出すのか?」「サッカーはミスが9割」(ガイドワークス)などがある。

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