色あせることのないデル・ピエロの魅力=再び日本の地に降り立つファンタジスタ

構成:ぴあ

サガン鳥栖との一戦でも全力プレーを誓う

目の前の試合に常に全力を尽くすデル・ピエロ(右)。サガン鳥栖との一戦でも貪欲に勝利を目指す 【(C)Edge S.r.l】

 デル・ピエロが来日するのは、昨年7月21日開催の東日本大震災復興支援2012Jリーグスペシャマッチ以来となる。ちょうど1年ぶりだ。96年のトヨタカップでリーベル・プレート(アルゼンチン)を破る決勝点を挙げて以来、いくつもの印象的なゴールをマークしてきた日本は、彼にとって特別な国である。

 九州にも強い思い入れを抱く。02年ワールドカップ(W杯)日韓大会のグループステージ第3戦で、デル・ピエロはチームを敗退から救う同点弾を決めている。W杯で初めて記した一撃の舞台が、大分スタジアムだったのだ。

 サガン鳥栖と行なわれる今回の国際親善試合の直前に、オーストラリアではAリーグオールスターゲームが開催される。デル・ピエロもファンと専門家による投票でメンバーに選出されていたのだが、日本行きを優先して出場を辞退した。サガン鳥栖と対峙する90分を、シーズン開幕前の重要なテストと位置づけているからだろう。

 デル・ピエロの獲得が正式決定した直後、シドニーFCのチェアマンであるスコット・バルロウは声を弾ませて語った。「われわれのクラブにとって極めて重要な契約となったのはもちろん、オーストラリアサッカー界にとっても歴史的な瞬間だ」

 そして、デル・ピエロは全盛時に比肩する活躍を披露する。加入1年目の昨シーズンは最前線の左サイドを定位置とし、リーグ4位タイにしてチームトップの14ゴールをマークした。オールスターチーム(年間ベストイレブン)にも選出されている。また、クラブが選定するプレーヤー・オブ・ザ・イヤーにも輝いた。

 ピッチ上での彼が衰えを感じさせないのは、彼のプレースタイルとリンクしているかもしれない。スピードやフィジカルより技術を強みとしてきただけに、年齢を重ねてもプレースタイルが極端に変わらないのだ。むしろ豊富な経験がスパイスとなり、持ち前の技術を引き立てている。

「シドニーでの道はまだまだ長く、ここで立ち止まるわけにはいかない」と話すデル・ピエロは「どんなゲームでも、どんな相手でも、勝利に向けて全力を尽くす」ことを自らの哲学とする。初見参となる7月24日のベストアメニティスタジアムでも、スーパースターの本質を見せてくれるに違いない。

<了>

文:戸塚啓

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