順調に見えるドイツ代表の不安な未来=予想されたU−21ユーロでの予選敗退
若き代表に何が起きていたのか
フル代表から唯一U-21ユーロに出場したホルトビーだったが、結果は予選敗退に終わった。 【Getty Images】
ヨアヒム・レーブ監督率いるドイツ代表では、多くのトップクラスのタレントが、重要な役割をこなしている。ある選手はすでにレギュラーポジションを手にしているし、ある者は出場機会を争っている。このチーム内競争は、非常に密度が濃いものだ。だからこそレーブ監督は、多くの選手をチームの一員として扱っている。最近では、ウェンブリーでのCL決勝の直後であるにも関わらず、ドルトムントのスベン・ベンダーが国外への遠征に招集され、6月2日の米国代表との親善試合にも出場したのだ。
ブンデスリーガのタレントを供給する源泉は無尽蔵であるかのように見える。新しい宝石たちが、プロチームの中心として活躍しているのだ。U−21ユーロ(欧州選手権)でU−21ドイツ代表が単なるアウトサイダーではないと考えられるのも当然だった。その大会での残念な結果は、ユリアン・ドラクスラー(シャルケ04)やマリオ・ゲッツェ(ドルトムント)の不在の表れでもあった。ぱっと見たところでは、問題は開幕前から起こっていたように見えるが、実際のところ、若きドイツ代表にとっての問題は何なのだろうか?
招集の弊害となったレーブの哲学
U−21代表のライナー・アドリオン監督は、ユーロ開幕前から厳しい立場に立たされていた。グループステージで顔を合わせるスペインやオランダと違い、シュツットガルト生まれの指揮官に起用が許されたフル代表の選手は、キャプテンのルイス・ホルトビー(トッテナム)だけ。UEFA(欧州サッカー連盟)のルールに従えば、ゲッツェ、イルカイ・ギュンドアン(ドルトムント)、ドラクスラー、マルク=アンドレ・テア・シュテーゲン(メンヘングラッドバッハ)、アンドレ・シュールレ(レバークーゼン)、トニ・クロース(バイエルン)を起用することは可能だった。負傷者もいたが、これらの選手が加われば、イスラエルの地に立つチームの顔ぶれは変わり、プレーの質も別物になったことだろう。だがレーブ監督の哲学は、こうした選手の参加を認めはしなかった。
それでもアドリオン監督とDFBが口にするのは、目標はヨーロッパのタイトルであるということだけ。他に選択肢はなかったのだ。というのも、前スポーツディレクターのマティアス・ザマーの下でDFBは、「タレントとエリートをサポートする」というコンセプトの中で、「世界のサッカー界でトップの地位につく」ことをゴールとしていたからだ。つまり、「ランキングでトップに立ち、欧州と世界の選手権、そして五輪でタイトルを勝ち取る」ということだ。