岩渕真奈、ドイツの地で見せた成長の跡=「女子サッカーの盛り上がりはまだまだ」

フランソワ・デュシャト

充実したホッフェンハイムの環境

ホッヘンハイムの1部昇格に貢献した岩渕(右)。ドイツの地でまた新たな成長を見せた 【Getty Images】

 喜びがドイツの地にあふれた。岩渕真奈も歌を口ずさんだことだろう。ホッフェンハイムに所属するこの女子日本代表選手は、チームのブンデスリーガ1部昇格に貢献した。「優勝が決まった後のパーティーは、すごかったです」と岩渕は、メールを通じてのインタビューに対して答えてくれた。「日本でも盛り上がりますが、ドイツはその何倍も盛り上がるのでびっくりしました」と1部昇格への喜びにあふれていた。

 ホッフェンハイムの人口は3500人にも満たないが、クラブを支えているのは世界的企業であるSAPである。パトロンたるディートマー・ホップは近年、クラブに何百万ユーロもの大金をつぎ込み、男子チームを1部リーグへと引き上げた。だがほかのオーナーとは異なり、ホップはまず、高価なスター選手ではなくインフラ整備に投資をした。例えば、ユースの練習場などだ。

 クラブの施設には、岩渕も魅了された。だからこそ、代表選手として2011年のドイツワールドカップ(W杯)で世界一を経験しながら、ブンデスリーガ2部へ行くこともいとわなかった。ホッフェンハイムを選んだ理由を、「ものすごく熱心に誘ってくれました」と語る。さらに続けて、「また、施設も充実していて、チームも若く、1部に上がるという明確な目標があり、いいなと思いました」とチームの魅力について話した。

勝手が違った新天地ドイツでの暮らし

 東京という大都会から小さな町への移籍だったが、彼女にとっては何も問題はなかったようだ。「ドイツには3回くらい来たことがあったので、特にカルチャーショックはありませんでした」。

 ドイツは岩渕にとって、栄光を経験した場でもある。この20歳はW杯の舞台でまばゆい活躍を果たし、そして優勝を成し遂げた。だが、2部リーグを選ぶにあたって、その思い出は移籍への大きなきっかけとはならなかった。

 そうして移ったドイツだったが、新天地は勝手が違ったようだ。「言葉も全然できませんでしたし、ひとり暮らしも初めてだったので、最初のころは大変でした。でも、チームメートやチームスタッフ、語学学校の日本人の方々、また男子のホッフェンハイムでプレーしていた宇佐美貴史(現・ガンバ大阪)さんと奥さんが夫婦で助けてくれました」と周囲の助けに感謝した。

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著者プロフィール

1986年生まれ。世界最大級のサッカーサイト「Goal.com」でドイツ語版の編集長を務め、13年からドイツで有数の発行部数を誇る「WAZ」紙のサイト(http://www.derwesten.de/)でドイツ西部のサッカークラブを担当する。過去には音楽の取材もしていた。ツイッターアカウントは@Duchateau。自身のサイトはwww.francoisduchateau.net

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