小宮山悟が語る大谷翔平の可能性=藤浪よりも魅力的な身体能力の高さ

構成:スポーツナビ

1日にプロ初勝利を挙げた大谷。小宮山氏は大谷の身体能力の高さを評価し、投手で才能を伸ばしてほしいと語る 【写真は共同】

 打者として打率3割0分9厘(6月6日時点)、投手としても1日にプロ初勝利を挙げた北海道日本ハムの大谷翔平。二刀流に挑戦し、ここまで投打に結果を出した逸材に、周囲の期待値もさらに上がるばかりだ。大谷のここまでの現状と、二刀流を続ける上での課題、そして可能性について、日米両球界で活躍した小宮山悟氏が語った。(取材日 6月3日)

二刀流、ソツなくやっていて物足りない

――大谷選手を実際に見た時の印象は?

 春のキャンプで見ましたが、びっくりしました。ファームで練習している中で最もプロ野球選手らしい身のこなしをしていたので。他の日本ハムの選手たちが霞んで見えるくらいの身のこなしでした。

――小宮山さんがアメリカにいた時に、大谷選手と同じような印象を持った選手はいましたか?

 (メッツの)キャンプの時にマイナーの選手といっしょに練習をするのですが、トッププロスペクト(有望株)の選手たちは際立っています。身体能力はずば抜けていますので。その時にいたのがレイエス(ブルージェイズ)です。明らかにモノが違いました。走らせても守らせても、ボールを投げさせてもまったく違いました。

 メジャーの中のレイエスとは比較のしようがないですが、ただ、大谷くんの体の使い方は飛び抜けて良いものを持っていました。

――ここまでの大谷選手を見て、どんな印象を持たれていますか?

 けが(4月、試合中に捻挫)をしたことによって、ちょっと足踏みをしてしまいました。あんなもんじゃないという印象を持っています。ちょっと物足りない感じですね。
 ちょっとここに来て、投手と打者のどちらにシフトしているのか、あいまいな感じなので、どっち付かずになっている感じがします。基本的に投打両方やるんだというのは分かるのですが、両方やるにしても同時進行で両方ソツなくなっていることが、あやふやに見えます。

藤浪よりも大谷の身体能力の高さに魅力

――小宮山さんとしては、「投手」「打者」「二刀流」のどれをさせたいですか?

 個人的には投手をやらせたいです。

――それはなぜですか?

 身体能力がとび抜けているからです。160キロに達するスピードボールに注目が集まっていますが、スピードに関しては150キロを投げる投手の150キロですから、バッターも準備ができますし、そこまで飛び抜けた速さを感じません。それよりも運動神経の飛び抜けた感じがあるので、現状にもったいないなと感じます。

 今までに大谷選手のような選手はいませんでした。あれだけの上背、手足の長さがあって機敏な動作ができるのは稀ですから、そこをもっともっと伸ばしたいなと思います。

――身体能力、上背もあって機敏という意味では大谷選手のライバルと言われる藤浪選手も同じだと思いますが、小宮山さんから見てどちらの選手がより魅力的に感じますか?

 大谷選手ですね。バランスが取れている。藤浪選手は少し(線が)細すぎますね。藤浪くんに関しては、年々鍛えられて強さが加わって、体が大きくなると、今までと同じスピードを保ちながら、その重さに耐えうるかというと疑問が残ります。
 一方、大谷くんは肉付きが良さそうに見えますので、今の状態のまま強さを加えられるだろうと思います。大谷くんは一回り、二回り大きくなるというところを想像できますが、藤浪くんは一回り、二回り大きくなると、動くかな?という印象を持っています。

――上背があって身体能力も高い投手ですと、ダルビッシュ有投手が当てはまると思いますが、ダルビッシュと比べるといかがでしょか?

 ダルビッシュを超えることは難しいと思います。ダルビッシュと話をした印象ですと、考え方が違う。トレーニングをすること1つとっても、目的意識などを頭の中できちんと整理できている。
 スタートの段階では大谷くんの方が上かもしれません。ダルビッシュのような感性を身につけることができれば、ダルビッシュを超えることもできると思います。しかし、今のところ、ダルビッシュを超える選手は出てこないだろうなと思うくらい、ダルビッシュが抜けています。

 アウトを取る方法を、その日の状態に合わせて一瞬で自分の中で消化、対応できることは、そう簡単に身につけられるものではありません。ダルビッシュはそれができています。大谷くんがその域に達するのは2〜3年、もっとかかるかもしれませんが、それが身につけられれば、今の能力をもってすれば、鼻歌交じりにバッターを抑えられるようになりますよ。

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