小宮山悟が語る大谷翔平の可能性=藤浪よりも魅力的な身体能力の高さ

構成:スポーツナビ

1日は24時間 二刀流を続けるなら時間の工面を

5月26日に実現した阪神・藤浪との直接対決では2安打を放つなど、打者としても結果を残す大谷だが、小宮山氏は二刀流を継続するなら、時間の工面が重要と説く 【写真は共同】

――大谷選手については今後パ・リーグの「DH制」であっても打席に立つことをファンは期待していますが?

 パ・リーグの試合でDHを使わないとなるとカドが立つと思いますので、使い方が難しいと思います。外された野手の士気にも関わりますので。

――打者としても3割を超える成績を収めていますが?

 どうでしょうか、本格的なバッターと対戦している感覚を、相手が持っていないと思いますから、微妙ですよね。実際に力があることを数字は証明しているので、そこはすごいと思います。

――投手として調整しながら、打者として試合に出続けることに難しさ、やりにくさはあると思いますが?

 投手として調整も難しいと思いますが、本人にその辺の感覚はないと思います。プロ野球選手になって初めて取り組んでいる訳ですし、「プロの投手はこうするんだ」というのを知らないので、やりにくいといった感覚はないと思います。

――今後、二刀流を続けていくために何が必要だと思われますか?

 1日は24時間しかありません。その中で投手としてやらなければいけないこと、打者としてやらなければいけないことをやるとなると時間が足りなくなります。どこかで時間を工面しなくてはならないので、そこは本人の考え方次第だと思います。

 日本ハムが指名したのは、投手としても、打者としても長けているというところで、将来のチームの柱になってほしいと思ったからです。
 彼がどうなりたいかということが一番重要だと思いますが、報道で「大谷の意志を尊重して」というコメントも見られることから、投げたいという大谷くんの意志を尊重して、やれるところまで投手と打者を両立させてみようというところだと思います。

プロでの本当の勝負はこれから

――ライバルと言われている藤浪に関してはいかがでしょうか?

 順調に来ていると思います。高校記録を塗り替えるようなペースで来ている訳ですから、シーズンを終えてみたら、阪神にとって「いるといないでは大違いだった」という選手になっていると思いますよ。

――藤浪投手の良さは?

 ここまで藤浪投手が抑えられているのは初見だからだと思います。二回り、三回りの対戦でプロが対応してきた時にそこをどういう風にはねのけるかってところは注目ですね。

 強みで言うと、空振りを取れるボールがあるということですね。スライダーはなかなかバットに当てることができないと思います。

――大谷選手はプロ初勝利を挙げましたが、まだまだ課題は多いでしょうか?

 ピッチャーとしての専門的なレクチャーを受けていないでしょうから、プロでトップレベルになるためにしなくてはならないこと、消化しなくてはならないことを何もできていないでしょう。
 とりあえず両方やってみて、そこそこやれているという感覚ではないでしょうか。

――今後の大谷選手について。

 2回目、3回目の対決から、バッターは対応してくるので、プロではそこからが本当の勝負になります。いままで物珍しさが手伝って、結構バッターの方も感動のようなものを感じながらバッターボックスに入っているようにも見えます。やられた後、2回目、3回目、普通の投手として見られるようになりますから、そこから切磋琢磨してというようになればいいと思いますね。

<了>

小宮山悟/Satoru Komiyama

 1965年9月15日生まれ。千葉県出身。芝浦工大柏高−早大−ロッテ−横浜−メッツ−千葉ロッテ。183センチ、88キロ。右投げ右打ち。2年間の浪人を経て早大に入学し、4年時には主将を務めた。89年のドラフト1位でロッテに入団。正確なコントロールと抜群の勝負度胸で1年目から先発ローテーションに入り、97年には最優秀防御率のタイトルを獲得する。99年には横浜に、02年には米大リーグ・メッツに移籍。ボビー・バレンタイン監督の下でプレーする。1年間の浪人生活を経て、04年に千葉ロッテに復帰。09年に現役を引退した。日本での通算成績は455試合に登板して117勝141敗4S・防御率3.71。
 現在は野球解説者を務めながら、野球界の発展のためにさまざまな分野で活動している。最新著書「天才なのに消える人 凡才だけど生き残る人」が発売中。

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