初々しい勝負度胸、宮記念は◎松山弘平に託した=乗峯栄一の「競馬巴投げ!」

乗峯栄一

松山弘平の勝負根性に賭ける! ◎ドリームバレンチノ!!

[写真10]松山弘平には初々しいながらも秘めたド根性を感じる……高松宮記念はドリームバレンチノで勝負だ 【写真:乗峯栄一】

 しかしこの日、一番のお気に入りの写真は坂路から調教スタンドに戻ってから撮ったやつだ。
[写真10]はヒイキ松山弘平のGI初会見の様子である。

 3年ほど前、長年の知り合い日吉正和の調教師合格祝いを、乗峯幹事で、神戸でやった。阪神開催時期の日曜の夜だったし、阪神帰りのジョッキーが一人ぐらい来てくれないかと考えた。「そうだ、昨年新人賞取った松山弘平は神戸出身らしいし、松山弘平はどうだ?」と思いつく。調教終わりに自厩舎(池添厩舎)まで自転車で帰ろうとする松山弘平の前で「あいや、しばらく」と両手を広げた。まったくの初対面で、である。
 もちろん、初めはびっくりしたようだが、事情を話すと「そうですか」と納得するが、「あ、でもその日、ぼく中京騎乗ですね。たぶん最終レースまで乗ると思うし」と言う。「そうか、中京騎乗か、じゃあしょうがないね、ありがとう」と帰りかけたとき、「あ、でも」と呼び止める。「もし遅れてもいいのなら、行けますが」と言う。そして当日、中京最終まで乗りながら、午後8時には神戸の会場に駆けつけてくれた。感動した。なんていいヤツなんだ、オレが競馬マスコミの端にいる限り応援すると決意した。

 今週の初共同会見にも感動した。座るなり「どっち向けばいいですか? こっちですか? こっちでしょうか?」と隣のアナウンサーに聞くのだ。初々しさの前面攻撃だ。しかし質問には高めの声で的確に答えるし、色白の顔に微笑みも何度か出て、こう言っては失礼だが「かわいい」という雰囲気が漂う。
 先日取材した「厩舎ではおとなしいが、レース行くと勝負根性剥き出しになる」という桜花賞候補の色白芦毛馬クロフネサプライズを思い出した。
 初共同会見で「どっち向けばいいんでしょう?」などと聞けるところに、逆に松山弘平の勝負度胸を感じる。きっと大きいことをやる騎手だ。

 ということで、ロードカナロア、ダッシャーゴーゴーの安田勢は確かに強いが、ぼくは松山弘平の勝負根性に賭ける。
 松山ドリームバレンチノの3連単頭固定。ヒモにロード、ダッシャーの安田勢、前走よかったマジン、上昇気配ツルマル、それに関東のサクラとサンで計6頭、30点で勝負する。

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著者プロフィール

 1955年岡山県生まれ。文筆業。92年「奈良林さんのアドバイス」で「小説新潮」新人賞佳作受賞。98年「なにわ忠臣蔵伝説」で朝日新人文学賞受賞。92年より大阪スポニチで競馬コラム連載中で、そのせいで折あらば栗東トレセンに出向いている。著書に「なにわ忠臣蔵伝説」(朝日出版社)「いつかバラの花咲く馬券を」(アールズ出版)等。ブログ「乗峯栄一のトレセン・リポート」

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