佳菜子3位 “最終披露”の場で見せた強さ=世界フィギュア・女子SP
世界フィギュア・女子SPで村上がシーズンベストで3位発進【坂本清】 【坂本清】
浅田真央(中京大)は、トリプルアクセルを決めたものの、コンビネーションジャンプの1つ目の3回転フリップが回転不足に、3回転ループが1回転になるなどして6位、コンビネーションジャンプの2つ目で回転不足となった鈴木明子(邦和スポーツランド)は7位となった。
村上が今季最高の演技で3位
それとは別に、世界選手権という大会は毎年、選手たちにとって大きな節目にもなっている。シーズン終盤の3月に開催されるため、多くの選手がここを目指して練習してくるからだ。
春から夏にかけて作ったプログラムを、体が自然に動くようになるまで覚え、試合でジャッジらの評判を聞いて修正を重ねる。そして、慣れてきたプログラムをより高度なものにするためにステップを追加して……そうやって、音楽と動きと気持ちが一体となるように滑り込んだプログラムは、まるで自分の分身のように感じられるようになっていく。世界選手権には、ここまでの1シーズン毎日練習してきたプログラムを最終披露するという意味合いもある。
今季前半、SPで出遅れることの多かった村上。だが、試合を重ねるごとに得点を伸ばし、とうとう世界選手権では最高の演技を見せるまでになった。その笑顔は真っすぐで気持ちが良い。
女子シングルSPの上位10選手のうち、今季自己最高得点を更新したのは村上、4位のケイトリン・オズモンド(カナダ)そして10位のビクトリア・ヘルゲション(スウェーデン)の3名だけだった。誰もが望んでいるけれど、そう簡単にはできないもの。今季最高の演技を世界選手権で見せられるのは、これまで積み重ねた練習と気持ちの強さがあってこそだ。
「シーズンベスト」。フィギュアスケートでは得点(シーズンベストスコア)のことを指すが、もっと広い意味で捉えたシーズンベスト……今シーズンの取り組みが実を結ぶ演技や、拍手の嵐、スタンディングオベーションなどを、16日(日本時間17日)のフリースケーティング(FS)では、1人でも多くの選手たちが受け取れることを期待したい。そしてそれに「シーズンベストスコアの更新」が加わるのであれば、それ以上のことはない。
カナダのあたたかい観客たちの大いなる祝福が待っている。
<了>
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ