過去2回とは違う、WBC米国ついに本気!? 名将トーリ「自信あり」

甲田 剛

昨季本塁打王ブラウンを擁するWBC米国代表だが、“本気度”を感じるのはそこだけではない! 【Getty Images】

 過去2大会連続で不本意な結果に終わった米国は、開催国のプライドをかけた戦いとなる。2006年の第1回大会は2次リーグで敗退し、09年の第2回大会は準決勝で日本に敗れた。今回も実力を出し切れずに敗れるようだと、米国のベースボール・ファンのWBCへの関心が完全に離れてしまう恐れもある。決勝進出が最低目標となる今大会は、ヤンキースなどで監督として歴代5位の通算2326勝の名将ジョー・トーリ氏を指揮官に迎え、本気モードを漂わせている。

短期決戦向きの実力派ズラリ

 メジャーリーガーがそろう人選でも、過去2回との「違い」を感じさせられる。マイク・トラウト外野手(エンゼルス)やジャスティン・バーランダー投手(タイガース)ら一部のスター選手が出場せず、やや派手さに欠けるが、短期決戦向きの実力派をそろえた印象だ。野手はアダム・ジョーンズ外野手(オリオールズ)やシェーン・ビクトリノ外野手(レッドソックス)ら走攻守3拍子そろった選手が多く、チームに安定感が増した。その中でも、ベン・ゾブリスト(レイズ)とウィリー・ブルームクイスト(ダイヤモンドバックス)といった内外野の複数のポジションを守れる選手が果たす役割は大きい。

 投手と捕手以外のすべてのポジションを経験済みのゾブリストは昨季も二塁と遊撃、外野を守った。2年連続20本塁打を放った打撃も勝負強く、盗塁もできる。スロースターターなのが気がかりだが、短期決戦で存在感は増しそうだ。ブルームクイストはバントやエンドランが得意な選手。所属チームでも控えのため、途中出場に慣れており、試合終盤の大事な場面で渋い働きが期待できそう。シーズン開幕直前に各チームの主力を預かる監督は選手のコンディションにも注意を払う必要があり、途中交代は自然と増える。ユーティリティー・プレーヤーの存在が柔軟な選手起用を可能にしてくれる。

スムーズな継投は大きな武器となる

 15人で編成される投手陣は、リリーバー中心にバランスのとれた布陣。クローザーばかり並べるのではなく、左腕ジェレミー・アフェルト(ジャイアンツ)、右腕ビニー・ペスタノ(インディアンス)、昨季78試合に救援登板したミッチェル・ボッグス(カージナルス)ら、左右の中継ぎのスペシャリストをそろえたのが特徴だ。WBCは球数制限があるため、早めの継投が要求される。早く肩をつくるのに慣れている中継ぎ専門の投手をそろえたことで、よりスムーズな継投が見られそう。昨季42セーブのクレイグ・キンブレル(ブレーブス)につなぐリレーは米国の大きな武器となる。

 この他にも、昨季本塁打王のライアン・ブラウン外野手(ブリュワーズ)や首位打者3度のジョー・マウアー捕手(ツインズ)らがいる攻撃陣は強力。先発陣も昨季ナ・リーグのサイ・ヤング賞を受賞したR.A.ディッキー(ブルージェイズ)と、同21勝のジオ・ゴンザレス(ナショナルズ)が軸。顔ぶれだけなら優勝候補の筆頭だろう。あとは開幕直前のこの時期にどれだけコンディションを整え、モチベーションを上げることができるか。

 トーリ監督は「選手はしっかりと準備してくれると思っている。自信はある」。本番まで、あと1週間余り。米国の本気度がもうすぐ試される。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント